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[2009年11月27日:更新]
[2009年11月18日:公表]

ウイルス対策をうたったマスク−表示はどこまであてになるの?−

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文(PDF)」をご覧下さい。

 新型インフルエンザの流行によりマスクの需要が増加しているが、最近では「ウイルス99%カット」など、ウイルス対策をうたった商品が多く見受けられる。

 国内におけるマスクの公的な認証や基準としては、作業現場等で発生する粉じんの吸入を防ぐための防じんマスクに関するもののみであり、風邪をひいた時や花粉対策として使用されるマスクには公的な認証や基準はない。そのため、一般に販売されているマスクには、高いフィルターの捕集効率をうたった表示が氾濫しており、消費者はどの商品を選択してよいのかの判断が難しい状況にある。また、高いウイルス捕集効率をうたう商品もあるが、本当に表示どおりの性能が得られているのか疑問が持たれる。

 PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、マスクに関する相談が2004年度からの約5年間に771件寄せられており、そのうち、「新型インフルエンザ対策用の規格相当と表示したマスクを購入したが届いたのはありふれた不織布マスクだった。」など、品質や機能に関する相談が205件あった。

 そこで、ウイルス対策をうたったマスク15銘柄(プリーツ型9銘柄、立体型6銘柄)を対象に、マスクのフィルター部の性能や着用時にできる顔とマスクの隙間から空気がどの程度漏れるのか等を調べ、消費者に情報提供することとした。


主なテスト結果等

1.フィルターの捕集効率

  • ウイルス対策をうたっているにもかかわらず、フィルターの捕集効率が低いものがあった。さらに、N95マスクの基準を満たしていると受け取れる表記があっても、捕集効率が80%以下のものが3銘柄あり、消費者が誤認するおそれがあった。

2.着用時の顔とマスクの間からの空気の漏れ

  • すべての銘柄で平均漏れ率が40%以上であった。また、フィルターの捕集効率が高いものでも、顔との隙間からの漏れがあるため、ウイルス等の微粒子を完全に遮断することはできない。

3.使用感

  • どの銘柄も鼻の辺りは半数以上の人が隙間があると回答した。また、プリーツ型ではさらに頬の部分にもできやすかった。
  • 漏れ率が小さいものは、息苦しい。

4.表示

  • 全ての銘柄でウイルス対策をうたっていたが、フィルターの捕集効率が低いものがあった。また、全ての銘柄で隙間からの漏れがありウイルス等の微粒子を完全には遮断できないと考えられるため、消費者にマスクの効果を過信させるおそれがあった。
  • 「99.9%」など捕集効率と思われる表記が目立つように記載されていたが、捕集対象はウイルス、ウイルス飛沫、バクテリアなど粒子の大きさが異なるものであった。
  • 3銘柄でN95マスクの基準を満たしているかのような表記があったにもかかわらず、捕集効率が80%以下と低かった。また、1銘柄でインターネット上の広告にあった「N95規格相当」の表示がパッケージにはなかった。
  • 15銘柄中6銘柄で着用方法に関する表示がなかった。

5.価格

  • 1枚当たりの価格の安い銘柄でフィルターの捕集効率が低いものがみられたが、価格が高いものであれば性能がいいというわけではなかった。


消費者へのアドバイス

  • 症状がある人は咳やくしゃみによる飛沫の飛散を防ぐために積極的にマスクを着用するようにしよう(咳エチケット)。一方で、ウイルス対策をうたっていても、フィルターの捕集効率には差があることや、実際に着用した場合にも顔とマスクとの間には隙間ができることから、マスクをすることによってインフルエンザなどの感染を完全に予防することはできないと考えられるので、マスクの効果を過信しないように。
  • できるだけマスクと顔の間に隙間なく着用できるように、価格よりも自分の顔のサイズ、形に合ったものを選ぶことは重要である。
  • 表示されている捕集効率は、捕集対象等が必ずしも同じではないので、数値をみても商品の性能を比較する目安にはならない。


業界への要望

  • フィルターの捕集効率が80%以下であるにもかかわらず、3銘柄でN95マスクの基準を満たしていると受け取れる表記があり、消費者が誤認するおそれがあったので、表示の改善を要望する。
  • 過度に効果を期待させるような表示をしないように、また正しい着用方法を記載するなど、表示に関する基準作りを要望する。
  • マスクの効果が発揮できるよう、隙間からの漏れが少なく、また使用性のよい商品作りを要望する。


行政への要望

  • フィルターの捕集効率が低いにもかかわらず、3銘柄でN95マスクの基準を満たしていると受け取れる表記があり、景品表示法上問題があるおそれがあるため、監視・指導の徹底を要望する。
  • 過度に効果を期待させるような表示をしないように、また正しい着用方法を記載するなど、表示に関する基準作りをするよう業界への指導を要望する。


要望先

消費者庁 消費者情報課 地方協力室
社団法人日本衛生材料工業連合会



情報提供先

社団法人日本通信販売協会



業界の意見 ※2009年11月27日 追加

「有限会社エージェントワン」、「株式会社ケンユー」、「株式会社スピーデリック」、「中国投資開発株式会社」、「株式会社豊産業」

「有限会社エージェントワン」より

 この度は、たいへん誤解を生む表記につきご迷惑をおかけ致しました。当「ウイルス」表記の商品は、2009年7月までに出荷した商品で、すでに廃盤としています。

 2009年8月からの商品は、本社所在地の薬務課のご指導の基に「飛沫ウイルス」の文言を表記し、改善しています。また、今後表記について正確な指導を受けたいと思っております。

有限会社エージェントワン 取締役 池内 俊哉

「株式会社ケンユー」より

 この度御商品テスト部様よりのテスト結果文書によると、当社(テスト銘柄一覧 No.4)について特別な記載は無いように解釈いたしていますが、当社の意見を述べさせて頂きます。

 貴部のテストは、防塵マスクDS2による試験方法の結果と解釈いたします。当社は、FSC・Fサージカルマスク(以降当社マスク)、微細ウイルス防御マスクを販売しているものです。このマスクは、NPO国際感染症医療要員養成センター会長であり中国投資開発株式会社社長牧野長生様が製造されているマスクです。このマスクは米国軍規格によるVFE(生ウイルスを使用)及びFDAの基準試験での、PFE(0.1μサイズのラテックス微粒子を使用)による遮断試験の結果、99%以上の遮断効率があると証明されました。この証明は、米国のN95基準及び米国防総省の研究機関であり、同国食品医薬品局(FDA)の個人保護用具遮断効率の試験を行う試験場である、NELSON LABORATORIES、Incの試験結果により同試験場より証明されたものです。

 当社販売のマスクはパッケージに上記試験結果及び装着は「顔に密着させる」と表記しております。当社販売のマスクのパッケージ表記事項は正しいものであると確信いたしております。

株式会社ケンユー 代表取締役社長 占部 明雄

「株式会社スピーデリック」より

1.マスクの捕集効率について
 今回のテスト結果報告書には「マスクのフィルター部によるウイルスの捕集効率を調べる公的な機関は無いが」と記載されておりますが、世界で最もポピュラーなマスクの捕集効率検査機関は米国ネルソン検査研究所であると弊社は認識しております。ゆえに弊社製品は品質管理のために半年に一度(最新検査は2009年10月)BFE、PFE等の検査を実施しております。以上のエビデンスを取っているにも関わらず、「N95基準を満たしていないのに基準をクリアしているかの表示をしている捕集効率のとても低いマスク」と同等に、弊社マスクが「効果の無い製品」として誤った認識をされる可能性のある文章表記、漏れ率、テスト機関・方法の表記などでプリーツタイプのテスト商品の中では最も良い結果が出ているにも関わらず、「誇大広告のマスク」として一括りに消費者に受け取られる事は誠に遺憾であり、文章の修正もしくは補足を要望させていただきます。
2.パッケージの表記について
 弊社のパッケージにある「空気中のウイルス飛沫より小さい微粒子濾過率99%以上」という表記に対し、「社団法人日本衛生材料工業連合会のマスクの表示・広告自主基準では、(中略)その表記を99%までとしている。しかし(中略)7銘柄(弊社商品を含む)では捕集効率の表記が99.99%であるなど、自主基準に適合していなかった」と記載されています。
 弊社はこの「社団法人日本衛生材料工業連合会」様の連合参加会社ではないので「自主基準に適合していなかった」と書かれる根拠もございませんし、弊社がそれに準じなければならない根拠も不明でございます。さらにこの基準になっている「社団法人日本衛生材料工業連合会」様は大手マスクメーカーの方々も要職を務めておられ、その大手メーカー様の商品は今回一つも取り上げられておりません。これらの事実をみただけでも、本来公平に行われるべき商品テストに何らかの偏りを感じざるを得ません。
 マスク業界を消費者の目線で俯瞰的に見る必要があるテストなのですから、調査している商品業界の大手メーカー様が役職に付かれている団体様の自主基準を基準にするのは、公平ではありません。消費者の誤解を招く可能性のある他団体の名前は控えるべきだと弊社は考えます。
 更に弊社は2009年6月の段階で本社所在地の保健所や薬事指導係に商品パッケージを持参し、表記などのご意見を伺っております。その際に「ウイルス・花粉○○%遮断のような正式な検査結果に基づく物理的な事実に関する表記は問題ない」との見解も伺っております。
3.マスクの繰り返し利用について
 「新型インフルエンザ専門家会議の報告書では、「不織布マスクは原則、使い捨て(1日1枚程度)とする」としている」と書かれています。弊社としましては、「繰り返し使用する場合は1日(約12時間)使用後、48時間の陰干ししてください」と表記しており、ウイルスが48時間あれば死滅する事実から、環境問題・リユースなどを企業指針としている弊社としては、マスクの再利用をお客様にご提案させていただいております。(ウイルスの死滅時間に関しての情報は国の研究機関の研究員や行政機関などに伺っております)
 マスクは正しい使い方をすれば、再利用が可能ですし弊社にお電話頂いた消費者の方々には更に詳しい再利用の仕方をお伝えしております。一日に1千万人の人がマスクを使い捨てしたら、毎日1千万枚のゴミも出ます。使い捨てにして得をするのは沢山売り上げが出るメーカーであって、消費者ではありません。消費者の目線から判断なされるのであれば、「正しい再利用の仕方」を調査報告して欲しいと願うばかりです。
 最後になりましたが、マスク業界には事実として粗悪品も存在し、消費者の方からの苦情が激増しております事実、国民生活センター様からのご意見・ご報告は真摯に受け取らなければならないと思っております。表記方法の正しい基準など、今一度検討しなおし、より良い商品を提供すべく努力を重ねていく所存です。

株式会社スピーデリック 代表取締役社長 安田 潤司

「中国投資開発株式会社」より

1.フィルターの捕集効率試験に関して
 テスト報告書で、N95マスクの認定試験に関し、「産業用防塵マスクについて、わが国でも国家検定が行われており、DS2というクラスのものがN95マスクと同等の検定基準とされている」として、DS2が採用されているのは、明らかな誤りであると解されます。 ご承知のとおり、N95はWHOでウイルス保護のための個人保護用具として認められた規格であり、その数値は、76ナノ〜100ナノを基準とされております。一方、国家検定DS2規格は防塵規格試験であり、その数値は60ナノ〜100ナノを基準としております。したがって、N95において95%以上という数値が出ても、DS2においては、その90%しか数値が出ないのはむしろ当然のことでございます。
 また、現在、アメリカにおいては、ウイルスに関しては、VFE試験及びPFE試験が基準とされております。VFE試験は、生体ウイルスを使ったウイルスに対する遮断効率を測定することを目的とした試験であり、PFE試験はウイルスサイズのラテックス微粒子を使用し、その遮断効率を測定する試験です。このような試験をも無視する今回の調査は、国際的な標準を対象としないものであり、N95の問題も含め、仮に、公表されれば、弊社に著しい損害が生じることの他、国際問題に発展する可能性もあるものと解されます。
2.弊社製品に関して
 このマスクを作るにあたり、本社所在地の地方行政機関、国の関連行政機関ともご相談させていただきました。特にウイルス関連の表記は何度となく協議を行い、「国内検査のBFE試験の結果でウイルス対策を訴求することは問題である。ウイルスを訴求するならウイルスを使った試験を然るべき機関で行う必要がある。」ご指導を受け、米国ネルソン研究所にてVFE試験、PFE試験を実施しました。
 「ウイルスに対する効果」を調査するのであれば「ウイルス」で調査をし、国民に公表することこそが本当の情報開示になるのであり、DS2というクラスのものがN95と同等の基準検査とされているとして公表するのは消費者に多大な誤解を生じさせるものであります。また、当社を含め、多くの会社でもこの米国ネルソン研究所のデータを用いてマスクの性能評価をしていますが、これもすべて否定されることになります。弊社は中国においてWHOが推奨するTSI MODEL8130を使用し、NaCl 76ナノレベルの遮断効率試験を行い、中国政府の公証をいただいたデータを有していますが、これすらも否定される結果となります。
3.業界への要望
 マスクをしていれば大丈夫です、と言うような安易な販売トークは一切行わず、マスクをしていても隙間からの侵入を防ぐことは難しいので、マスクの効果を過信せず、感染者には近づかない、蔓延時の外出自粛、こまめな手洗い、うがいの徹底などの啓蒙を行っていきたいと思います。
 最後に貴社が消費者に正しい情報を開示していくことは理解しております。インフルエンザの世界的な蔓延後、色々な販売者が参入してご指摘いただいている様な粗悪な製品が市場にも散乱している状況を見逃すわけにはいきません。少なくとも当社は関係各省庁へ足を運び、消費者が安心して商品選択ができる事を当社としても願っております。そのために、今一度テスト方法を再考していただき、製品評価をしていただくことを強く要望します。

中国投資開発株式会社 代表取締役 牧野 長生

「株式会社豊産業」より

 試験いただいた「SQ-3」は福建省薬品検査所で試験を受けN-95相当の認定を受けた品物です[2007年12月]。同じ材質で3年間製造しております。基準は0.3 μmの雑菌、95%カットです。御社の試験では0.06〜0.1 μmの粒子で試験とのことですので、整合性はいかがでしょうか?

 ろ過密度を高めることは可能かと思います。メーカーの方では、あまりろ過率を高くすると、息苦しくなりますので95%カットで通気性も加味し、今回の仕様に致しました。

 然るに、今回のような結果になりますと、日本のガイドラインを作成し、その試験に通ったものだけ、●●●●を謳えるというほうが、すっきりすると思います。

株式会社豊産業代行 シノ・アメリカン・ジャパン株式会社 営業部 土倉 冨男

「有限会社エージェントワン」、「株式会社ケンユー」、「株式会社スピーデリック」、「中国投資開発株式会社」、「株式会社豊産業」への商品テスト部の見解

1.フィルターの捕集効率の試験方法について
 国内においてはフィルターのウイルスの捕集効率を調べる公的な方法がありませんが、「新型インフルエンザ流行時の日常生活におけるマスク使用の考え方」(新型インフルエンザ専門家会議)では、新型インフルエンザの患者に接する可能性の高い医療従事者については、N95マスク(防じんマスクDS2)の着用が勧められていますので、今回は防じんマスクDS2の規格に基づく方法でテストしました。
 なお、防じんマスクDS2では捕集効率を測定するのに、0.06〜0.1 μmの塩化ナトリウム粒子を使用しますが、N95マスクにおいても0.075±0.020 μmの塩化ナトリウム粒子が使用されていることから、この2つのマスクはほぼ同等の規格として扱われています。NIOSHの認定を受けている参考品のN95マスクの捕集効率の表示値と今回のテストの値もほぼ一致しています。
 また、今回は、いくつかの銘柄で捕集効率を示すのに使われているVFE(ウイルス濾過効率)、PFE(微粒子濾過効率)、BFE(細菌濾過効率)等に関してはテストを実施していませんので、今回の結果と比較することはできません。
 このように、現状では、消費者にとっては難解な様々な評価方法での捕集効率が記載され、適切な商品選択が難しい状況にありますので、表示に関する基準作りを要望しております。また、フィルターの捕集効率が高いものでも、顔とマスクの間の隙間から漏れが生じるため、消費者にマスクの効果を過信しないようにとのアドバイスとともに、捕集効率がフィルター素材に関するものであることを明確に表示するなどの基準作りも要望しております。
2.フィルターの捕集効率の記載方法について
 今回のテスト対象銘柄の製造者等がすべて社団法人日本衛生材料工業連合会に加盟されているわけではありませんが、国内で唯一、一般的に使用されるマスクの表示に関する自主基準を定めておられましたので、参考にさせていただきました。この基準は既に平成20年3月1日より施行されているものですが、移行期間が3年間とされています。
 銘柄選定については、報告書に記載した条件に則って行いましたので、特定メーカーに配慮しているというようなことはありません。
3.繰り返し利用について
 消費者が使用したマスクの衛生状態を的確に判断し、適切に取り扱うことは難しいと考えられますので、「新型インフルエンザ流行時の日常生活におけるマスク使用の考え方」の通り、原則として使い捨てがよいと考えております。



本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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