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[2009年1月8日:公表]

ローリスクと勧誘されたが、想定外に大きく元本割れする可能性が生じた「ノックイン型投資信託」

実施の理由

 当センターに、一定の条件を満たせば元本が保証される「リスク限定(軽減)型」などと呼ばれる投資信託で、特殊な条件が定められた債券(デリバティブを活用した仕組債)を投資対象とする、いわゆる「ノックイン型投資信託」(以下、「ノックイン投信」という)に関する相談が寄せられた。事業者の販売勧誘において、その仕組みとリスクに関して、消費者が十分に理解するに足りるだけの説明がなされたか否かが、問題となった事例である。

 ノックイン投信については、株価の急落により、元本保証の条件が外れた契約が多数あるといわれており、今後、相談が増加することが予想される。そこで、今回寄せられた相談事例の詳細を紹介し、問題と思われるポイントを整理するとともに、消費者に注意喚起を行いたい。



相談事例

 取引のある地方銀行より、「株価参照ファンド」(投資信託)の勧誘の電話があった。既にこの銀行を通じて一般的な投資信託を購入しており、「投資信託はもういい」と断ったところ、「これなら安全。ローリターンだが、ローリスク」と勧められた。
 目論見書とパンフレットを交付され、それに沿って説明を受けた。日経平均株価の動きに応じて償還価格が決定される公社債を投資対象とするファンドであることは理解できた。株価がワンタッチ水準(ノックイン価格=当初株価のマイナス35%)を超えて下落した場合、元本割れするようなので、「日経平均が35%も下がることはないですよね」と担当者に尋ねたところ、担当者は「絶対とは言えないが、私もそう思います」「株価はあくまで参照。この商品は株ではなく、債券で運用します」という答えだった。「債券で運用するのなら、株と違って値動きが小さくて安心ですね」とさらに尋ねると、「そうですね」という答えが返ってきた。投資対象の債券は、円建てのユーロ債で為替リスクがないこともあり、500万円分を購入することにした。
 10月中旬になり、米国発の金融危機の影響により日経平均株価が急落したのを受け、この投資信託のことを思い出し、目論見書等を改めて読み、インターネット等で株価参照ファンドについて調べたところ、「ローリスク」とはいえず、ワンタッチ水準を超えて株価が下落した場合、損失に歯止めはなくなるという、隠されたリスクを初めて認識した。
 ハイリスク・ハイリターンなものと承知の上で高い収益を狙ったのなら仕方がないが、ささやかなリターン(税込みで6%程度の収益)を求めた代償として、多額な損失が確定した場合、あまりに酷な仕打ちではないか。

(08年10月受付、契約当事者:50歳代 男性 無職 福岡県)



ノックイン投信とは

 株価指数など対象となる資産の価格が、一定の範囲を超えて下落しなければ、一定の利回りが支払われるといった、特殊な条件が定められた債券(仕組債)を投資対象とする投資信託である。一定の範囲を超えて下落した場合(これを「ノックイン」という)、その下落分がそのまま投資家の損失になるというリスクがある。具体的には、日経平均株価が期間中に一定以上に下がらないという条件で、「元本償還+高利回り(預貯金金利に比べて有利な数%程度)」が保証されるが、ノックイン価格を下回ると、それ以後は株価に償還額が連動することとなる。
 一定の範囲を超えて下落した場合にのみリスクがあるという意味から、一般的には「リスク限定型」「リスク軽減型」などという呼称で販売されることが多い。



問題点

  1. (1)仕組みが複雑であるとともに、リスクを見抜くことが困難である。
  2. (2)ノックイン価格に達する可能性について、前例を踏まえて説明しなかった。
  3. (3)顧客のニーズと商品性に不適合がある。顧客に理解してもらうための説明がなされていない。


消費者へのアドバイス

  1. (1)投資信託は、預貯金とは異なり、元本が保証されたものではないことを改めて認識し、元本が割れては困る場合は購入しない。
  2. (2)「リスク限定(軽減)型」などと呼ばれるタイプの投信信託を勧められた場合は、その仕組みやリスクについて、納得が行くまで説明してもらう。それでも理解できない場合は購入しないことが重要である。
  3. (3)投資信託に関して苦情がある場合は、最寄りの消費生活センター等へ相談すること。直ちにトラブルを解決することは困難な場合が多いと思われるが、苦情相談が多く集まれば、販売方法の改善等を求める根拠となる。



本件連絡先 相談部
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。

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