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[2008年7月3日:公表]

乗用車の視界−プライバシーガラスの視認性とAピラーの死角を中心に−

 乗用車の視界は、走行中はもちろんのこと車庫入れなどの際も安全性を確保する必要がある。道路運送車両の保安基準では、必要な視界が確保されるように規定がなされている。例えば、窓ガラスに関しては、前面および前席の窓ガラスの可視光線透過率が70%以上なければならないとされているが、後席の窓ガラスについては透過率に関する規定はない。そのため、最近の乗用車では、プライバシーの保護や車内の温度上昇の抑制等の観点から、後席や後面の窓に黒や茶色等に着色したプライバシーガラスが標準で装備されていることが多い。一方、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)には「スモークガラスのせいで運転中、窓を通して後方の安全確認をしにくい」といった情報が寄せられている。そこで、プライバシーガラスを通した対象物の見えやすさ(視認性)に問題がないか調査した。また、参考にAピラー等によって生じる死角の測定やモニターテストも合わせて実施し、事故の防止に資するため、消費者へ情報提供することとした。


プライバシーガラスの視認性に関する調査結果

消費者アンケート

 消費者1124人を対象にアンケートを実施した。現在所有している車について聞いたところ、約5割の人の車にプライバシーガラスが装備されていた。ガラスの色の濃さについて聞いたところ、8割近くの人がちょうど良いと回答した。プライバシーガラスを選んだ理由としては、「外から車の中が見えにくいから」が7割以上で最も多かった。一方、プライバシーガラスを選択しなかった人のうち、6割以上の人は「見通しの悪化」という理由で透明なガラスを選んでいた。

メーカーアンケート

 国内の乗用車メーカー8社にアンケートを実施した。プライバシーガラスを採用する車種は約9割であった。プライバシーガラスの採用理由は、車内の温度上昇の抑制、エアコンの使用が減ることによる燃費改善などのほか、プライバシーの保護や消費者からの要望が多いことが挙げられた。プライバシーガラスの可視光線透過率について聞いたところ、概ね20〜30%の範囲であった。一方、テストでプライバシーガラスの透過率を測定した結果、22〜29%であった。

テスト結果

 ガラスの色の濃さについてモニターテストを行なった結果、夜間でもガラスの色が薄ければ、ある程度対象物を確認できたが、色の濃いガラスになると、多くの人が確認することが困難になった(写真1、2参照)。


写真1.対象物が見えている様子(透明なガラス)
写真1

写真2.対象物が見えにくい様子(濃い色のガラス)
写真2



Aピラーの死角に関する調査結果

消費者アンケート

 消費者1124人を対象にアンケートを実施した。3割の人が車のデザインや構造によって視界が妨げられることがあると認識していた。そのうち7割の人が右折時に、また、6割の人がAピラーによって視界が妨げられると感じていた。

メーカーアンケート

 ボディーの衝突安全性の確保および乗員の頭部保護のため、Aピラーは以前と比べて太くなる傾向ではあるが、Aピラーによる死角を軽減するために、ほとんどのメーカーで視線方向の断面を細くする工夫や三角窓の追加・拡大などで視界の確保に取り組んでいることが分かった。

テスト結果

 Aピラーの死角を測定した結果、三角窓が大きい銘柄では視界が確保されていた。また、車両と対象物との距離が離れるほどAピラーの死角は大きくなり、大人も隠れる場合があった。さらに、視認性についてモニターテストを行なった結果、車種に関係なく過半数の人が右側のAピラーによる死角を気にしていることが分かった(写真3参照)。


写真3.Aピラーで車が見えにくくなる様子(左右の視界の合成画像)
写真3



消費者へのアドバイス

  • プライバシーガラスを装備した車を運転するときは、暗い夜などでは後方の子供や障害物などが確認しにくくなるので特に注意する。
  • 隣や前方の乗用車がプライバシーガラスを装備しているときは、トラックやバスなど大型車両のときと同様に車の向こう側が見えにくく、歩行者の行動や周囲の交通状況をつかみにくいことがあるので運転に注意する。
  • 安全運転のためには、昼・夜を問わず前後左右の視界が良好である車を選ぶ。
  • 右左折などの際、歩行者などがAピラーに隠れて見えなくなることがあるので、頭を動かして安全を確認する。


業界への要望

  • 車種によっては透明なガラスを選択できない場合があった。プライバシーガラスを望まない消費者が購入時に選択できるよう要望する。
  • プライバシーガラスのデメリットについてもカタログや購入前の説明で消費者に周知することを要望する。
  • 安全の観点からプライバシーガラスの可視光線透過率の引き上げについて検討を要望する。
  • Aピラーによる死角の低減を要望する。


行政への要望

  • ガラスの可視光線透過率については、前面および前席しか規制がないことから、乗用車については後席以降も規制の必要性について検討を要望する。


要望先

国土交通省 自動車交通局 技術安全部 技術企画課
社団法人 日本自動車工業会



情報提供先

内閣府 国民生活局 総務課 国民生活情報室
経済産業省 商務流通グループ 消費経済政策課
経済産業省 製造産業局 自動車課




本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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