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[2007年10月5日:公表]

住宅ローン借り換えに伴う団体信用生命保険の加入時に、病歴等を告知しなかったため、被保険者の死亡に際し、告知義務違反により保険金が支払われないトラブル
(国民生活センター消費者苦情処理専門委員会小委員会助言)

消費者苦情処理専門委員会への諮問

 国民生活センターでは、消費者苦情処理業務を適正かつ効果的に遂行するため、消費者苦情処 理専門委員会を設置している。国民生活センター理事長は平成19年5月15日付で「住宅ローンの借り換え契約に当たり、金融機関は、団体信用生命保険の脱退及び再加入に伴うデメリットに関して、契約上の説明義務を負うかについて」の検討を同委員会に諮問した。同委員会は検討のための小委員会を設け、苦情処理にあたっての考え方として、平成19年9月14日付で助言を取りまとめた。



助言の主旨

苦情の内容

 平成11年から住宅ローンを返済してきた。平成17年に、A銀行(地方銀行)の行員から借り換えを勧められた。何度も勧誘があったため断りきれず、同年10月、契約を行った。その際、行員の指示に従って、何枚もの書類に署名・捺印をした。その中に保険契約書(告知書)もあった。夫は前月から肝硬変で通院、投薬治療を受けていたが、夫も私も保険加入時の「告知義務」について重要であるとの認識がなかったので、告知書に病歴を記入しなかった。翌年5月、夫が食道静脈瘤出血、肝硬変で死亡した。その後、保険会社が調査をし、告知義務違反があったとして、銀行への保険金の支払いを拒否した。その結果、今後も住宅ローンを支払い続けることになった。

 友人から、もし借り換えをしていなければ最初の借り入れ時に加入していた団体信用生命保険から保険金が支払われたのではないかと言われた。また、借り換え時に行員はメリットばかりを説明し、借り換えに伴うデメリット(告知の重要性、告知義務違反をすると保険金が支払われないこと、借り換えをすれば最初の借り入れの際の団体信用生命保険は脱退となり、その後の保障は受けられないことなど)に関する説明はまったくなかった。デメリットについて説明があれば、借り換えはしなかった。銀行にはこうした説明をする責任はないのか。

(債務者・被保険者:50歳代(死亡時)男性、相談者:男性の妻、50歳代)

小委員会の結論

 住宅ローンを与信する金融機関(本件ではA銀行)は、[1]借り換えにより、団体信用生命保険が新たな契約になり、前回の保険が失効すること、および、[2]借り換え時の健康状態によっては新たな団体信用生命保険契約は締結されない可能性があること、[3]新たな団体信用生命保険の加入に際して告知義務違反があると保険の利益を享受できなくなるリスクがあることについて説明義務を負う。また、金融機関と一体となって団体信用生命保険の運用を行っている保険会社も、金融機関と共同して、この説明のための適切な書面作成など、共同して金融機関による説明を助けるべき義務を負うと考えるべきである。

 このような考え方を前提とすれば、A銀行ないし保険会社の説明義務違反により消費者は保険金相当額の損害を被ったことになるから、消費者は保険金相当額の損害の賠償を請求できる。すなわち、前回のローンがそのままであれば、今回の被保険者の死亡があっても、ローンが保険により完済しえたという利益を失わせたという損害を与えたことになるため、不法行為ないし契約締結上の過失を理由に損害賠償請求することができる。ただし、この損害賠償が認められるとしても、消費者も病歴について告知義務違反をしているから、相当額の過失相殺がなされるべきである。

理由(法的考察)

 1)団体信用生命保険の仕組みと契約関係、2)本件における当事者の法的(契約上の)立場、3)事業者の説明義務、4)紛争解決に当たっての考え方 などについて考察




本件連絡先 相談調査部消費者苦情処理専門委員会事務局
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。

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