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[2006年10月6日:公表]

外国の航空会社の指示によって預けた手荷物の紛失に関するトラブル(国民生活センター消費者苦情処理専門委員会小委員会助言)

消費者苦情処理専門委員会への諮問

 国民生活センターでは、消費者苦情処理業務を適正かつ効果的に遂行するため、消費者苦情処理専門委員会を設置している。

 国民生活センター理事長は平成18年5月17日付で「外国の航空会社の指示によって預けた機内持込み手荷物紛失による被害救済の考え方について」の検討を同委員会に諮問した。同委員会は検討のための小委員会を設け、苦情処理にあたっての考え方として、平成18年9月12日付で助言を取りまとめた。



助言の主旨

苦情の内容

 アメリカから日本に帰国する際、ボストンからワシントンDCへ米国の航空会社(以下、「A航空」という)の便で向かい、ワシントンDCから日本へは日本の航空会社(以下、「B航空」という)の便に搭乗することになっていた。ボストンの空港でチェックインの際、スーツケースを預け、パソコンなどが入った鞄(購入価格の総計で約80万円)は、機内持込みをするつもりで搭乗口に向かった。搭乗口を通過後、搭乗機の客室乗務員より、当該鞄を搭乗機入り口付近の通路に置いて行くよう指示を受け、指示された場所に置いて搭乗した。しかし、ワシントンDCに到着後、手荷物受取所のターンテーブルから鞄が出てこなかった。そこで、鞄の捜索が始められたが、B航空の係員から、「見つかったので、成田に送っておく」と言われたため、B航空の便に搭乗した。日本到着後、B航空の係員から、当該鞄は機内になく、引き続き捜索すると言われたため、帰宅した。
 その後、B航空とは何度かやりとりをしたが、結局、モントリオール条約の規定に基づいた約款により、1,000SDR(当時のレートで167,700円)の賠償しか支払えないと言われた。自分に落ち度があったとは思えず、約款に基づいた金額しか支払われないというのは納得がいかない。条約の適用とならないケースではないだろうか。

小委員会の結論

 相談者Xが、A航空の航空券とB航空の航空券を別々に購入していたのであれば、紛争はアメリカ国内法によって解決される。一方、Xが航空券を「通し」で購入していたのであれば、本件にはモントリオール条約(以下、「条約」という)の適用があることとなり、A航空の国際運送約款及びその前提としての条約に基づいて、紛争解決が図られることとなる。そこで、1,000SDRを上限とする同条項の適用の有無が論点となる。
 仮に、A航空又はその使用人若しくは代理人が(後二者については、職務遂行中に)「損害をもたらす意図をもって又は無謀にかつ損害が生ずるおそれがあることを知りながら行った」行為により損害が生じたことが立証されれば、責任制限規定は適用されない(22条5項)。また、旅客にまったく落ち度がなく、一方、航空会社側に、故意又は「無謀に(略)」とまではいえないとしても、かなり大きな落ち度があったことが具体的かつ詳細に立証された場合、手荷物の価額を申告して責任上限額を申告価額まで引き上げる(以下「価額申告」という)機会が与えられなかったことも考慮して、航空会社が1,000SDRの責任制限額を主張することが、信義則違反とされる可能性も否定できない。ただし、こうした事情が立証できない限り、条約の責任制限規定の適用により、1,000SDRを超える損害については、賠償請求ができないこととなる。
 消費生活センター等においてあっせんを行うにあたっては、旅客にまったく落ち度がないと認められる場合、B社の国際運送約款における申告価額の上限額である2,500米ドル(29万2,500円/1ドル=117円で換算)又はA航空の国内運送約款に基づく2,800米ドル(32万7,600円)を目安としたあっせん案の提示が妥当な場合も考えられる。
 今後の消費者トラブルを防止するためには、まず、航空会社・旅行業者において、消費者への説明義務を尽くすことが求められる。
 また、消費者も、保険をかけることの重要性を理解し、自衛策を講じることが必要である。高額品は、万が一、紛失した場合には損害填補されない可能性もあるということを理解して、必要品以外は携行しないことを心がけるべきであろう。

理由(法的考察)

1)モントリオール条約の適用の有無

2)裁判管轄等

3)損害額の算定

などについて考察




本件連絡先 相談調査部消費者苦情処理専門委員会事務局
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。

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