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[2004年6月8日:更新]
[2004年6月4日:公表]

根拠法のない共済(いわゆる“無認可共済”)をめぐる現状等について

はじめに

 我々の日常生活には疾病や災害、事故など、さまざまな危険(リスク)が潜んでおり、これらのリスクに個人が対処するための方法として保険や共済がある。いずれもリスクに対する担保という目的を有するが、その制度や関係法令等には異なる点がある。さらに、共済は、根拠法のある共済(いわゆる認可共済。以下「認可共済」という)と根拠法のない共済(いわゆる無認可共済。以下「無認可共済」という)に分けることができる。

 近年、無認可共済は、安価な掛け金や加入の容易性などが消費者ニーズと合致し、注目を集めている。しかし一方で、保険業法は適用されないと解されており、個別の法律もないことから、保険や認可共済と比較した場合、適切に共済金が支払われるのか、万一経営破綻した際の加入者保護が図られるのか等、その信用性に不安を感じる消費者も少なくないようである。また、無認可共済を連鎖販売取引(いわゆるマルチ商法)的な勧誘方法を用いて販売するケースも見受けられる。
 こうした状況を反映し、当センターや各地の消費生活センターには、無認可共済に係る相談が寄せられている。現在のところ、相談件数はそれほど多くなく、また、相談内容も大半が業者の信用性やマルチ商法的勧誘方法に対する問い合わせであり、苦情は少数である。今後、苦情が増加するかどうかの予想は難しいが、リスクに対して経済的な担保を図るという本来の目的を鑑みれば、問題が顕在化する前に何らかの方策を検討すべきである。

 この問題に対する社会的な関心の高まりを受け、金融審議会金融分科会第二部会において議題に取り上げ、無認可共済の適正なあり方について本格的な議論を開始している。その他、総務省は「根拠法のない共済に関する調査の実施 行政評価・監視計画」に基づき、2004年4月より調査を実施している。また、先般、当センターは金融庁の金融トラブル連絡調整協議会に対して、無認可共済をめぐる状況や問題点等について報告を行った。

 当センターは2003年2月、ホームページ上に「マルチ商法的勧誘方法で加入させる根拠法のない共済」を掲載して以来、マスコミ等を通じて消費者への注意喚起に努めてきたところであるが、今回、改めてその現状や今後の課題等をまとめた上で、情報提供することとする。



今後の検討課題

 1)保険業法上の「特定」「不特定」について、明確な基準がないこと
 同法にいう「特定」「不特定」の判断基準は、一般に(1)組織化の程度、(2)加入要件についての客観性・難易の程度、(3)本来的事業の実施の程度等を総合的に考慮して判断するとされているが、「特定」「不特定」の基準に関する事務ガイドラインがなく、また、過去に判例もないため、実質的に不特定多数を対象としていても、保険業法に違反しているか否かの判断が困難である。
 2)法規制が及ばないため、ディスクロージャーや募集人の研修制度等が整備されておらず、加入者保護の観点から懸念があること
(1)契約前の問題点
 無認可共済にはディスクロージャーが義務づけられていないため、業者が自主的に提示する経営内容等の情報しか消費者は知ることができない。
(2)契約時の問題点
 保険会社には募集人登録制度があるが、無認可共済ではこのような制度はない。そのため、商品等の知識が必ずしも十分でない者が消費者に説明することになり、不適切な説明や説明不足等による誤認を誘発する可能性も否定できない。特に、マルチ商法的な勧誘方法を用いて無認可共済を販売する場合、マルチ商法に顕著なトラブル(マージンを得るため強引な勧誘が行われやすい、人間関係を利用した勧誘等)と複合的に絡むことがあり、その解決を図ることが難しくなるおそれが高い。
(3)破綻時の問題点
 無認可共済には責任準備金制度がないため、経営破綻した場合の加入者保護が図られない事態を招く懸念がある。
 3)無認可共済事業を開始するに際して何ら制約がないこと
 共済本来の趣旨は、一定の地域や職域でつながる者同士が相互扶助の精神に基づき、リスクに対処しようとするものであるため、法規制のない無認可共済だからといって、一概にその信用性を否定することはできないが、その趣旨、理念を逸脱したものであっても無認可共済として事業を展開できてしまう現状がある。
 また、無認可共済には監督官庁がないが、保険会社や認可共済は経営全般の監督を受けており、国民の財産に関する極めて重要な契約という同質性を鑑みれば、加入者保護の観点から不安がある。


行政へ望むこと

 1)保険業法上の「特定」「不特定」についての明確な基準を示すこと
 現状においては、同法にいう「特定」「不特定」の判断が不明瞭であるため、この基準を事務ガイドライン等で明確化する必要がある。その結果、同法にいう「不特定」の範囲が確定し、無認可共済に同法が適用されるか否かの疑義が解消するため、消費者も同法に違反する業者かどうかの判別が容易になると思われる。
 2)無認可共済に対しても、ディスクロージャーや募集人の研修制度等を法律上義務づけること
 元来、消費者と業者との間には情報の量や質などに格差があり、その構造的なアンバランスを是正するために各種法令等を通じて消費者保護が図られているところである。しかし、無認可共済においては保険業法の適用の可否が不明瞭であったり、個別の法律がないため、消費者が不利益を被る可能性は高いといえる。特にディスクロージャーと募集人制度の義務化は早急な検討を要すると思われる。
 ディスクロージャーが義務づけられていないことにより、消費者が業者に関する情報を入手する方法としては、業者の自主的な情報開示に依存するしかない。これでは情報の格差は拡大する一方であり、公正な取引がなされない懸念がある。
 また、保険会社には募集人登録制度があるが、このような制度があっても募集人の説明不足等に起因するトラブルが発生しており、制度化されていない無認可共済ではなおさらにトラブルが起きる蓋然性は高いと考えられる。実際、消費者から寄せられる相談のなかにも勧誘者の不適切な説明等に端を発するものも見受けられる。
 3)加入者保護の方策を検討すること
 無認可共済は、保険や認可共済と比べ、加入者保護を図る制度(責任準備金制度など)がないため、万一破綻した場合などにリスクに対する担保という本来の目的を達成することができない可能性がある。そのため、加入者保護の観点から何らかの方策を講じるべきである。


消費者へのアドバイス

 無認可共済への加入は、保険会社や認可共済の違い(ディスクロージャーや商品審査制度、責任準備金制度等の有無など)について消費者自身が調べて、納得した上で契約することが望ましいが、不安や疑問があれば契約しないといった慎重な態度も大切である。

 また、マルチ商法的な勧誘がなされた場合、そのトラブルが複雑化し、解決を図ることが難しくなることも予想されるため、特に注意が必要である。




本件連絡先 相談調査部
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。

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