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[2009年1月13日:更新]
[2004年4月21日:公表]

消費者取引分野の違法行為による利益の吐き出し法制に関する研究
−損害賠償、不当利益吐き出し、金銭的制裁の日米比較−

実施の理由

 消費者取引の分野においては、違法な事業活動によって事業者が利益を得ていながら、これらの利益がそのまま事業者の手元に残されたり、損害賠償責任を事実上まぬがれてしまうことにより、本来吐き出されるべき金銭が事業者の手元に残ってしまうような消費者被害が多発している。

 これは、消費者被害の救済ばかりか、違法行為の抑止や消費者取引の適正化という観点からも看過できない問題である。今回、専門家4名からなる研究会を設けて、違法行為による利益の吐き出し法制が進んでいる米国と日本を比較し、日本の法制度への提言を行うこととした。



調査結果

 日本では公法すなわち、取締り法規を活用した行政は未来の違法行為の是正は行うが、すでに生じている消費者の被害救済には関与しない。事業者規制を担う官庁は、違法行為の是正にも積極的ではなかったし、また、消費生活センター等の支援行政では、苦情相談を申し出た当該消費者の以外の被害救済あるいはその原因となった事業者の不当利益の吐出し等には関与できない。

 私法は、個人の被害救済には寄与してもあくまでそれは私的な損害の回復が目的であるとの前提のもと、原告適格は限定的に解釈され、集団的な消費者の利益を訴訟によって保護することはまだできない。さらに損害賠償請求訴訟においては消費者の過失が安易に認められるために過失相殺によって賠償額が減じられやすい

 このような状況から事業者が違法行為を行なって行政処分を受けたり、損害賠償請求訴訟を起こされても事業者の手元に不当な利益が残ってしまう法制度となっている。

 一方、米国の消費者法はまず、消費者個人の違法行為による損害賠償請求権を明示し、さらに下記のような制度が認められている。
(1)個別被害額が少なく、訴訟の動機に乏しいが社会的にみてその総額は大きい場合に活用される「クラスアクション」
(2)補填すべき実質的な損失が認められない場合にも損害賠償を可能にする「名目的損害賠償」(定額の賠償)
(3)一つの違反が一人の消費者に与える損害は小さくても法違反者が得る不当利益は大きい場合に、私訴の公益への貢献を評価し、それを促すため、実損額の2倍、3倍の賠償を認める「重畳賠償」
(4)非道なことを行った者及び当該行為を処罰し、当該行為者及び他の者が将来において同様な行為を行うことを抑止する目的を持った「懲罰的賠償」

 また、消費者取引分野における違法行為による不当利益の吐出しあるいは制裁は、私人のイニシアティブによる民事訴訟に限らず、連邦政府、州政府も重要な役割を果たしている。その中心は連邦レベルでは連邦取引委員会(FTC)及び証券取引委員会(SEC)であり、州政府においては司法長官府である。こうした組織の権限のひとつは日本には見られない違法行為者に課す民事制裁金である。さらに米国の行政権限の特徴として行政が被害を受けた消費者に代わって損害賠償請求訴訟を起こし、賠償金を被害者に分配するいわゆる父権訴訟、及び違法行為者から民事裁判あるいは行政命令により不当な利益を吐き出させてそれを政府の財政に組み入れたり被害者に分配できるディスゴージメントを挙げることができる。

 このように米国では私人、行政がそれぞれ法のエンフォースメントに重要な役割を果たすことによって違法行為のやり得を許さない制度ができあがっている。日本においても、事業者が違法な行為を行なえば決して得にならないようにするための損害賠償、不当利益吐き出し、金銭的制裁の各機能を有機的に結合させた法制度を実現する必要があろう。



報告書の入手方法

 報告書名:「消費者取引分野の違法行為による利益の吐き出し法制に関する研究−損害賠償、不当利益吐き出し、金銭的制裁の日米比較−」A4版,96頁,定価800円(消費税込み)。
本報告書は完売致しました。




本件連絡先 相談調査部調査室

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