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[2002年11月25日:公表]

イチョウ葉食品の安全性−アレルギー物質とその他の特有成分について考える−

実施の理由

 イチョウ葉のエキスは、特に脳血液循環を改善するなどの効果が認められドイツやフランスなどでは規格化され医薬品として利用されている。最近、日本においても「頭が良くなる」等のイメージで多くの商品が販売され、その市場規模は拡大しつつある。

 イチョウ葉には有効成分といわれているイチョウ葉特有の成分の他、アレルギー物質であるギンコール酸が葉と外種皮に多く含まれており、イチョウ葉からエキスを抽出していわゆる健康食品を製造する場合には、ギンコール酸の除去を行わないと商品中に高濃度で残存してしまう。

 国民生活センターの危害情報システムには、「イチョウ葉食品」に関する相談が寄せられ、年々増加の傾向にある。中には腹痛、湿疹、下痢などの症状が出たという情報の他にアレルギー症状と見られる事例もあった。

 日本では食品として扱っているため規格がなく、イチョウ葉食品のアレルギー物質の除去や安全評価の基準になるような統一規格の作成や、商品の品質向上を要望すべく、商品中のギンコール酸、その他のイチョウ葉特有成分量や表示について調べることとした。



結果・現状

 危害情報システムより、安全・衛生、品質についての相談件数は104件で、皮膚傷害や消化器障害などの危害は22件であった。

 テスト結果より、アレルギー物質であるギンコール酸が多量に含まれている銘柄があり、特に「葉の粉砕物」を使用した銘柄に多く含まれていた。さらに、銘柄に表示されている「1日に摂取する目安量」から1日摂取量を算出したところ、ドイツの医薬品規格を満たしたエキス(1日摂取量0.6μg以下)を120mg服用した場合より遥かに多い量を摂取してしまう銘柄があることがわかった。

 その他のイチョウ葉の特有成分であるテルペノイド、フラボノイド量は銘柄によって差があり、ほとんど含まれていない銘柄もあった。茶類については特有成分の溶出が微量であったが、お茶の作り方によってはギンコール酸が溶出してしまうことがわかった。

 また、表示については「JAS法」「食品衛生法」で表示が義務付けられている原材料名、品質保持期限についての表示がない銘柄、効能・効果と受け取られる表示があり薬事法上問題となる可能性があると思われる他、消費者に過度な期待を与える銘柄があった。また、今回のテストより、ギンコール酸が含まれている銘柄があることがわかった。しかし、テスト対象銘柄すべてにギンコール酸に関する具体的な注意表示がみられなかった。



問題点

 日本におけるイチョウ葉食品には規格がないため、品質にばらつきがみられた上、特有成分の含有量表示や注意表示等がなく、統一規格を作成し、普及させる必要があると考えられた。

 また、必要な表示の徹底や消費者に過度な期待を与えるような表示がされないよう指導が必要であると考えられた。



今後の予定

 テスト対象メーカー及び関係団体にテスト結果の説明会を実施し、その際に改善点などについて要望する。また、関係機関に要望書としてテスト結果からわかった改善点について要望する。



業界の意見 −たしかな目 2003年3月号より−

「黒姫和漢薬研究所」より

 今回ご指摘いただいた点については、早急に対処させていただきます。お茶を長時間煮出すとギンコール酸が溶出するおそれがある旨の注意喚起表示を行います。お茶としての飲み方でお客様がご使用される限り安全性に問題はないと考えております。

(株)黒姫和漢薬研究所 研究室長 小松川信一

「シュワーベ・グリーンウエーブ」

「シュワーベ・グリーンウエーブ」より

 健康食品の有効性や安全性について消費者の関心が高まっている中、このような科学的な分析結果を公表することは、消費者に対して正しい情報を提供するという意味でよいことだと思います。
 ただ、任意的に対象商品を選ぶのではなく、大手を含めた影響力のある商品はすべて対象とすべきと考えます。また、テストの基準も明確にすべきでしょう。これらの情報に基づき、消費者が信頼できる健康食品を購入することにより、信頼できるものだけが市場に残ることで、健康食品やサプリメントに対し、消費者の認識が変わり、市場が正しく活性化されることを期待します。

シュワーベ・グリーンウエーブ(株)代表取締役社長 林聖男

「シュワーベ・グリーンウエーブ」への商品テスト部の見解

 今回テストを行った20銘柄は、原料に葉の抽出物や粉末等を使用したもの、形状では、錠剤・カプセル・液体・お茶等が、市場に見られましたので、これらの比較ができるように選びました。

「大日本製薬」より

 当社で発売しております健康食品の開発コンセプトは「欧米等で医薬品あるいは医薬品と同等に扱われている素材で、臨床データ等でその有効性、安全性が確認されているものを使用する」であり、素材はもとより最終製品についても厳重な品質管理の下で消費者に安全に使用していただけるよう配慮しております。
 今回の貴センターにおける「イチョウ葉食品の安全性」につきましても「ギンコール酸」の含有量がドイツ医薬品規格に適合するよう、イチョウ葉原料からの抽出工程でギンコール酸の削除処理を行っております。その結果、当社製品中からは貴センターでも測定の通り、検出限界以下(検出限界値:0.2ppm)の成績を得ております。
 また、有効成分である「テルペノイド、フラボノイド」につきましてもドイツの医薬品規格に準拠した含量を設定しております。
 今後も厳重な品質管理下で消費者の安全を確保しながら健康維持の一助となるよう努めてまいりたいと考えております。

大日本製薬(株)ヘルスケア部部長 徳岡清司

「ナチュラルウェイ」

「ナチュラルウェイ」より

 原則として健康食品の安全性について検証することは重要であり、積極的に歓迎する考えです。しかし、〈アレルギー物質検出〉が主な内容となっているため、イチョウ葉食品=安全性に問題ありの構図となり、消費者に無用の不安を与えてしまっています。イチョウ葉食品を販売しているメーカーの主なる原料メーカーのエキス末はアレルギー物質を除去しており、安全性に問題ない事が前提条件ですので、一部粗悪品を販売している原料メーカーを事前に調査し、対象原料メーカーを指導すれば済むことと考えます。それでも改善が見られなければ発表するというような手順はとられているのか疑問です。国民生活センターは、この発表が消費者に与える影響を配慮して行われるべきです。

ナチュラルウェイ(株)代表取締役 佐々木憲一

「ナチュラルウェイ」への商品テスト部の見解

 国民生活センターは、国民生活に関する調査およびテストを実施し、消費者被害の未然防止・拡大防止のための情報提供を行っています。今回、イチョウ葉食品については、ギンコール酸の存在や説明・注意等が表示にも見られず、情報が充分ではないと思われましたので、情報提供の必要性を感じ、消費者に対し購入、使用する上でのアドバイスをし、イチョウ葉食品の目安となる統一規格の作成を業界へ要望致しました。

「ノラ・コーポレーション」

「ノラ・コーポレーション」より

 今回のテストで定められた検査基準が、世界共通の唯一の基準ではなく、例えば、サプリメント先進国アメリカにおいては、個別の安全性と有効性の理解があることをここにお知らせ申し上げたいと存じます。
 アメリカにおいて、ハーブの安全性の基準となっている書籍「メディカルハーブ安全性ハンドブック」には、ギンコール酸のアレルギー作用の記述はありません。また、公的性格をもつ「アメリカハーブ薬局方」の最新版に発表される予定の基礎論文においても、自然界に存在しているイチョウ葉とほぼ近似値にある条件(高フラボノイド量で低テルペンラクトン量)のもとに加工した製品を、「経口投与」する場合、「ギンコール酸」はアレルギー物質としては作用しないということが述べられております。また、ドイツの論文は、注射による投与の場合のみのアレルギー作用を問題にしており、当該報告で用いられた「経口投与によるイチョウ葉食品の安全性」に関する論拠にはなりえないと考えます。
 当社は、イチョウ葉加工食品を8年にわたり、生活者に比較的近い状態で販売して参りましたが、当該報告にありましたようなクレームは1件もございません。このことが、他社に比べての優秀性を論じる根拠になるとは申しませんが、逆に、当社の製品が安全性において問題があるというような報告には一石を投じたいと考えます。
 生活者の安全性を確保することが、第一優先であることは当然で、ここで異論をはさむつもりは毛頭ございません。しかしその安全性基準を決定するもしくは、このたびのような報告をなさる際は、さまざまな基準と開発・製品理念があることも合わせて報告いただき、生活者の賢明な判断をサポートするような記述をしていただくことを強く希望いたします。

(有)ノラ・コーポレーション 代表取締役 金田郁子

「ノラ・コーポレーション」への商品テスト部の見解

 イチョウ葉に含まれている主要なアルキルフェノール類であるギンコール酸はアレルギー等を生じさせるといわれ、イチョウ葉エキスを医薬品として用いている多くの国々で、これらの物質を除去したエキスでなければ服薬する医薬品として許容されておりません。なお、今回各商品に含まれるギンコール酸等の目安として用いたのは、イチョウ葉エキスが医薬品として広く利用されているドイツの医薬品規格です。
 また、2001年には「イチョウ葉粉末を食べたら体中に湿しんが出た」との苦情について当センターでテストを行いました結果、当該商品には自然界に存在しているイチョウ葉と同じ濃度のギンコール酸が含まれていたという事例もありました。
 そこで健康食品であっても、信頼性のある規格によって商品化されることで、消費者がより安心してイチョウ葉食品を利用できると考えております。なお、2002年11月29日に、(財)日本健康・栄養食品協会よりイチョウ葉エキスおよび、イチョウ葉エキス食品について、ギンコール酸を5ppm以下にすることを項目に入れた規格基準が公表されております。

「ビーベスト」、「松浦漢方」、「ユニコ」

「ビーベスト」より

 弊社のイチョウ葉エキスは、充てん剤であるイチョウ葉の若葉を除くことで解決するので、国民生活センターの要望するギンコール酸を除去した別の充てん剤を入れて、来年度より発売することに決定いたしました。さらに、ラベルにも「ギンコール酸除去」という記載をすることに決定しました。こうした、目で見える信頼性こそが、消費者にやさしいメーカーだと確信したからです。
 あらたなスタートでよりよい製品をドイツの薬品と同じ基準にあわせて、今後は販売いたしますので、今後も見守っていただければと思います。

(株)ビーベスト 代表取締役社長 石川康子

「松浦漢方」より

 弊社と致しましては、今回のテスト結果を真摯に受け止め、問題のある商品(ロット)については、直ちに市場から回収する作業を行っています。
 今回の発表を受けた後、弊社が過去5年間に発表したすべてのロットについて、改めて試験を行ったところ、全12ロットのうち最も初期に発売した2ロット(J01E,J01I)についてギンコール酸を検出しました。
 弊社では’98年11月にギンコール酸を検出する試験法が確立でき、それ以降、本品に使用する原料であるイチョウ葉エキスの段階で、ドイツの医薬品規格5ppmを下回る1ppm以下のものを使用しています。
 このたびのテストで使用された検体は、ギンコール酸検出試験を行わないまま出荷しました商品であり、発売後5年を経過していることから、既に市場からなくなっているもので推測しておりました。
 発売当初のギンコール酸を含む2ロットについてはすべて回収を行い、’98年11月以降に発売したそれ以外の製品については、ギンコール酸が検出されないイチョウ葉エキスを使用していますので、弊社商品についてはご安心してお召し上がりいただきたいと思います。

松浦漢方(株)常務取締役 原田邦夫

「ユニコ」より

 ドイツにはEGB761の他にC14などのイチョウ葉エキス生薬製剤のモノグラフィーが存在するほか、テポインフォルテ、レカン、ギンコプール、ギンコスタバ、ペリフォン、ヴェノテポニンが、製薬製剤として薬局で市販されています。いずれも製法や含有成分、そしてモノグラフィーもそれぞれ異なります。
 今回のイチョウ葉食品安全性のテストは、ドイツで医薬品として規格化されているEGB-761製薬製剤を基準に、イチョウ葉食品のアレルギー物質ギンコール酸の除去を行わないと商品中に高濃度で残存するとしている点に疑問を抱いています。また、WHOのモノグラフィーも、WHOの薬剤の形態及び薬用からの引用文献であり、生薬製剤としてのイチョウ葉乾燥エキスの規格基準なので、食品として流通している無添加のイチョウ葉濃縮(圧搾)エキスを、これに当てはめることは矛盾が生じます。また、イチョウ葉乾燥エキス製剤のモノグラフィーを適用することも問題があるのではないかと疑問を抱いています。それは言い換えれば人間や自然界の生物を規格基準化することができないのに等しいと思います。

(株)ユニコ 代表取締役社長 一ノ宮京子

「ビーベスト」、「松浦漢方」、「ユニコ」への商品テスト部の見解

 前述いたしましたとおり、本テストで紹介しておりますドイツの医薬品規格は、基準として適用しているわけではなく、目安として用いております。また、この医薬品規格は、ドイツ医療における健康保健薬の認定を行う機関であるKommission Eより出されているモノグラフに記載されている規格を用いております。なお、前述の通りイチョウ葉エキス食品については(財)日本健康・栄養食品協会より規格基準が公表されております。

※今回、意見を掲載する際、誌面の都合上、一部を割愛、あるいは、同様の趣旨の意見については、まとめさせていただきました。




本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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