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[2002年9月6日:公表]

暖房器具の安全性等

実施の理由

 住宅の気密性向上や暖房器具の性能の進歩など、暖房を取りまく状況も大きく変わり、多種多様の暖房器具が販売されている。一方、暖房器具の安全性に関わる過去5年間の相談をPIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)で調べると、「やけど・低温やけど」に関するものや「暖房中の頭痛や吐き気」、「中毒」などが見られた。そこで、エアコンやファンヒーター、FF式石油暖房機、床暖房など7タイプの暖房器具について、「やけど」の危険性を調べるほか、燃焼排出ガスによる汚染(CO、CO2、NOX、VOC)を測定する。また、ファンヒーターでは、燃焼中の給油タンクキャップの締め付け不足などで油漏れ火災が発生しているため、給油タンクキャップの構造や安全機構を調べる。そのほか、暖房器具の性能・快適性(暖房速度や温湿度、温度むら等)や経済性(暖房費用)などについてもテストを実施し、消費者に情報を提供する。

結果・現状

 やけどの危険性は、ファンヒーターやFF式石油暖房機などの温風吹出口が100℃以上でやけどの危険があったほか、温風や床暖房では「暖かい」と感じる程度の温度でも、長時間同じ状態でいると低温やけどや脱水症の心配があった。また、燃焼ガスを排出するファンヒーターでは、室内の空気が二酸化炭素などで急速に汚れるほか、VOC(揮発性有機化合物)も排出されていた。石油ファンヒーターの給油タンクキャップは、操作性や確実性に違いがあったほか、調査した限り「給油時自動消火装置」が装備されているものはなかった。快適性では、床暖房が「頭寒足熱」で快適性が高かった。また、暖房時の湿度は、エアコンなど単に空気を暖めるものは、40%程度と低めで加湿の必要があった。一方、ファンヒーターは、水蒸気が燃焼ガスとともに排出されるため、湿度が60%以上と高めでよいが、結露やカビの発生する心配があった。経済性では、購入・設置費が6〜65万円と違いがあり、暖房費用(1ケ月)は、石油ファンヒーターやエアコンなどが約2,000円/月と低廉だが、床暖房は快適な温度のとき約6,500円/月であった。

問題点

 石油ファンヒーター・ストーブなどでは、燃焼中の給油で油漏れを起こし火災となる事例がある。高齢社会の現在、安全のため操作がしやすく油漏れを生じない安全確実な機構・構造の給油キャップの採用、若しくは、給油時自動消火装置の装備が必要と考えられた。また、高温になる温風吹出口に植毛加工を施しやけどをしにくい対策をしたものもあったので、やけど事故防止のため対策が必要と考えられた。

今後の予定

 テスト対象メーカー及び工業会に対しテスト結果の説明会を実施し、その際に問題点などの改善を要望する。

業界の意見 −たしかな目 2002年12月号より−

「日本ガス石油機器工業会」より

1.暖める速さについて

 暖める速さを左右する要因としては器具本来の暖房能力が関係しますが、その点については記事中のどこにも記載されていません。
 ガスファンヒーターが石油ファンヒーターより速く暖まった主な理由は、機種それぞれの暖房能力の最大が、前者が5・81kWで後者が4・50kWの違いによるものであり、石油ファンヒーターが遅いとは限りません。

2.業界へ望むことについて

(1)「給油タンクを内蔵する器具は安全性強化を」について

 ファンヒーターでは芯式ストーブのような裸火でなく、燃焼部分がケースで覆われているため給油時の火災事故はまれです。操作が容易で油漏れの危険性のない構造の給油キャップの採用は、ファンヒーターの構造上同一方式での対応はできませんが、より安全を期するために、各社各様の方式で検討・実施しています。
 また、給油タンクを外すと自動的に運転がストップする給油時自動消火装置の標準装備は現時点では考えていません。基本的には、給油時に消火操作をすることがまず大切なことです。

(2)「吹出口には、やけど事故防止のための工夫を」について

 ファンヒーターの特徴である暖房感を得るために、吹出口温度はこのレベルになっています。現在、吹出口ルーバー部に植毛加工している製品もありますが、業界としてもやけど事故防止について安全を期するために、今後検討してまいります。
 なお、どのメーカーも本体吹出口付近に「やけど防止」に関する注意表示をしていますが、ご使用にあたっては取扱説明書をお読みくださいますようお願いいたします。

(社)日本ガス石油機器工業会 技術部長 櫻橋晴雄

商品テスト部の見解

1.について

 確かに暖房能力の違いは、暖める速さに影響します。しかし、暖房能力だけでなく、器具のタイプにより、暖める速さも変わってきます。例えば今回のFF式石油暖房機の暖房能力は4・95kWで石油ファンヒーターより大きいですが、温風が吹出すまで時間がかかるため、暖める速さは石油ファンヒーターより遅くなっています。また、テストしたガスファンヒーターは暖房能力が大きいのも事実ですが、数秒で温風が吹出すことも暖める速さに影響します。
 今後のテストでは、貴重なご意見を参考にさせていただきます。

2.について

 給油の前には必ず消火する旨は、取扱説明書にも記載されていますが、消火しなかったため火災事故となったケースも見られます。単に消費者の誤使用と考えるのではなく、業界として安全確実な給油キャップの採用や給油時自動消火装置等の安全装置の採用が必要と考えます。
 なお、石油ファンヒーターの一部の銘柄には、給油時自動消火装置を装備しているものもあるようです。


本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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