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[2002年8月7日:公表]

一回使い切りタイプの殺虫剤の室内残存量を調べる

実施の理由

 PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)によれば、くんじょう剤(今回対象とした一回使い切りタイプの殺虫剤もこのカテゴリーに含まれる)に対する事例は123件で、そのうちの3分の1以上が危害・危険に関するものである。最近は一回使い切りタイプの殺虫剤を家庭で使用する機会も多くなり、そのバリエーションも多いが、これらの商品は、手軽に害虫を駆除できる一方で、使用量が調節できず、使用後の室内にどれくらいの殺虫成分が残っているかは目で見ただけでは分からない。そこで、一回使い切りタイプの殺虫剤の殺虫成分やその量の分析や、部屋内で使用した際の拡散性や残存量を調べた。また、パッケージや添付文書の表示事項についてもまとめ、あわせて情報提供する。



結果・現状

 一回使い切りタイプの殺虫剤は、1回に散布される殺虫成分の量は、害虫に対して直接散布するスプレー式殺虫剤の約1本分に相当する。

 室内に床板・壁紙などを配置し、殺虫剤を散布したところ、充分換気をすることで、室内空気の殺虫成分は顕著に減少するが、それ以外のカーテン、壁紙、床板などに付着した殺虫成分の量は減少せずに残存していた。

 使用方法は簡単で、商品の表示には手軽であることがうたわれている。しかし、添付文書には、殺虫剤を散布する前にしなければならないことが多く記載されており(平均で30項目)、手軽に使用できる商品とはいえない。



問題点

 今回対象の殺虫剤は、殺虫成分が使用後に室内に残存することに関して、室内環境の面から消費者に対する十分な説明がなされているとは言い難い。もし、殺虫剤を使用後に殺虫成分を残留させることで効果を狙っているのであるならば、メーカー側はその旨を消費者にも分かるように明記すべきである。また、パッケージ上に手軽さだけを強調するような表示は控えてほしい。

 表示上医薬品と雑品扱いの商品に分かれているが、両者に使用されている殺虫成分に大差がないことなどから、消費者が安全に使用できるよう、雑品扱いの商品に対しても、医薬品と同様に規格化する等、行政は、何らかの規制を行ってほしい。



今後の予定

 テスト対象メーカーにテスト結果の説明会を実施し、その際に改善点などについて要望する。関係省庁については、報告書を提出する。



業界の意見 −たしかな目 2002年11月号より−

「日本家庭用殺虫剤工業会」

「日本家庭用殺虫剤工業会」より

1.「使い切り殺虫剤」は、定められた使用方法に従った換気をしても床面等に薬剤が残留する旨のご指摘は妥当と存じます。この意味については検討いたしたく存じます。

2.貴センターの責務は、消費者への適正な情報提供であるとのこと、この点を考慮いたしますと、「使い切り殺虫剤」の使用による床面等への薬剤の残留が人の安全性上(特に経皮曝露による)どのような意味を持つのか、文献値や妥当な仮説を含め、もう少し考察されるべきであったと存じます。

  1. (1)ご説明ではADIと床面残留量や製品中の成分量とを直接比較されておりましたが、ADIは人が一生涯、毎日摂取するときに許容される1日の摂取量であります。一方くん煙剤や全量噴射型エアゾールは一生涯にわたって毎日使用する(あるいは薬剤が落下した食品を毎日食べる)ようなものではありません。従って毒性値としては亜急性毒性値(NOEL)、それも同一経路の曝露での毒性値で比較をするべきであると存じます。
     メーカーではありませんので特定の製品についての詳細なデータをもってはご説明できませんが、一般的な議論として文献値や多少の仮定に基づいた計算を致しますと、今回の床面残留薬剤量の安全率は亜急性経皮毒性値(NOEL)に比較して10万倍以上となり、しばしば安全性評価に使われる安全率100倍をはるかに上回ります。このようなことがご説明なり考察に含まれてしかるべきであったかと存じます。
  2. (2)一方、どうしてもADIとの比較をされるのであれば、ADI本来の意味から単に床面残留量とを直接比較するのではなく、床面に残留する薬剤の経時変化をもとめ長期的に人が摂取するであろう量を算出し、これがADIの中にいかほどを占めるかを求めるべきです。

日本家庭用殺虫剤工業会 専務理事 川上 由紀夫

「日本家庭用殺虫剤工業会」への商品テスト部の見解

2.本テストでは、殺虫成分の残存量を調べており、量としては消費者に比較的身近な分かりやすい数値(ADI)と比較しました。また、日常生活において、乳幼児等では、殺虫剤の付着したおもちゃなどを口にすることが想定されますし、床等に付着した殺虫成分を経口的に摂取する可能性があるため、ADIの数値が参考となると考えました。これらの殺虫剤は、家庭内で使用される製品であり、市場に医薬品等として販売されている商品ですので、残存している殺虫成分が、経皮的に摂取しても安全なレベルであるというのは、当然と思われます。さらに昨今、化学物質過敏症の人が増えていることを考えると、動物実験による亜急性経皮毒性値(NOEL)の数値を用いることで、安全性に対する十分な評価がなされるとも思われません。

「アース製薬株式会社」

「アース製薬株式会社」より

1.製品(エアゾールタイプ)の内容量について

 製品の内容量は、使用する容積に応じて有効性等を考慮して各社が定めた充填量です。一方、缶の容積は、使用者の使い易さ等を考慮して各社が選択した形状やサイズによって定まるものであり、内容量と缶容量は一致するものではありません。
 内容量は製品に記載されており、殺虫成分量(または濃度)も医薬品では法律に基づき記載されています。また、雑品扱いの製品でも製品中の殺虫成分量を分析すれば、内容量から濃度は算出でき、劇物に相当するか否かといった検証は容易に出来ます。

2.農薬が使われている

 雑品扱いの製品にプロポクスルやエトフェンプロックスといった農薬が使われていると記載されていますが、両成分共に医薬品として使用されている殺虫成分であり、農薬という表現は消費者やマスコミの誤解を招く表現です。また、今回試験に供された医薬品6品目のうち4品目に配合されているペルメトリンは、農薬として使用されている殺虫成分でもあります。

3.消費者へのアドバイス

 「1回使い切りタイプの殺虫剤は、一度に300ml入りスプレー式殺虫剤1本分の殺虫成分を散布するに等しい」「1回使い切りタイプの殺虫剤は、大量の化学物質を室内の広範囲に散布する商品であり、取り扱いには細心の注意をはらうべきである」との記載がありますが、これらの製品は人がいない状態で使用するものです。上述の文章は使用時にあたかも大量の化学物質に被爆すると受け取られ、消費者に必要以上の危惧感を擁かせる表現と思います。むしろ、定められた使用方法や使用量を守ること、添付文書を含め製品表示を必ず読んで、正しく使用することを消費者へのアドバイスとして啓発すべきではないでしょうか。

4.行政への要望

 衛生害虫を駆除するための製品は薬事法で医薬品となりますが、不快害虫を駆除するための製品は薬事法の範疇外のため雑品扱いとならざるを得ず、法律上2つの区分に分かれてしまいます。「消費者が安全に使用できるよう、雑品扱いの商品に対しても、医薬品と同様に規格化するなど、何らかの規制を行ってほしい」との記載がありますが、雑品扱いの製品でも各社厳しい規格を設け、品質、安全性、有効性等を評価したうえで製品化していることは申し上げるまでもありません。また、雑品扱いの製品に対して、厚生労働省医薬局審査管理課化学物質安全対策室は、これらの製品の品質及び安全性の向上に資することを目的として、安全確保マニュアル作成の手引きの策定に着手しております。

アース製薬株式会社 開発部 取締役開発部長 目崎 潤一郎

「アース製薬株式会社」への商品テスト部の見解

1.同様の形状の殺虫剤である以上、医薬品、雑品扱いの商品に関わらず、使用されている殺虫成分の量は具体的に明記すべきと考えます。また、一般消費者にとって、今以上に分かりやすい表示方法を、今後もご検討いただければと思います。

2.雑品扱いの商品に使用されている殺虫成分には、農薬として広く使われている化学物質が使用されているという意味で「農薬」という単語を使用しました。医薬品に使用されている殺虫成分より危険であるという意味での使用をしてはおりません。

3.1回使い切りタイプの殺虫剤に関する情報として、1回の使用でどのくらいの殺虫成分が散布されるのか、具体的には分かりにくいと思われたため、消費者になじみのある、害虫に直接散布するタイプの殺虫剤と比較しました。また、残存性の結果も踏まえ、これらの商品は、使用する際には十分な注意が必要と思われます。添付文書の記載を必ず読んで正しく使用してほしいという点に関しては、消費者へのアドバイスに取り入れております。

4.消費者にとって、使用されている殺虫成分にほとんど差がなく、同様の形状で販売される商品の記述が全く異なるという点は、理解しにくいと思われます。また、雑品扱いの商品の安全性評価について、各社で異なるのであれば、各社の商品を安全性の上で比較できなくなります。使用方法や殺虫成分に大きな違いがない商品であるならば、すでに公的な規格基準のある医薬品に準じた方がよいと考え、要望として提示しました。

「大日本除蟲菊株式会社」より

1.弊社1回使い切りタイプの殺虫剤について

 弊社製品につきましては、くん煙タイプ、エアゾールタイプのいずれについても気中濃度の推移を測定し、薬剤濃度が検出限界以下になりその後も再揮散がないことを確認した上で、換気時間を「十分に」と表示しておりました。消費者にとって分かりやすくするために具体的な換気時間を定めるよう表示を改善いたします。また、壁、床等の殺虫成分の残存についても推移を測定し、使用後の注意等、表示を検討いたしたいと存じます。

2.最近のエアゾール殺虫剤について

 先般「使い切りタイプの殺虫剤により散布される薬剤の量が、通常の使い切りでないエアゾール式殺虫剤1本分相当である」との指摘がございました。
 尚、厚労省からも安全性の見直し、特に気中濃度の経時的推移と安全性の確保についてご指導を受け、現在、日本家庭用殺虫剤工業会技術部会で検討を行っているところです。
 最近、通常のエアゾール殺虫剤について2つのタイプが市販されています。
 300ml1缶の噴射時間が8分以上の従来タイプと、2〜3分前後の多量噴射型のタイプです。
 両者の間には、単位時間当たりの噴射量の差から薬剤の気中濃度の経時的推移に当然大きな差があります。
 その点も考慮して安全性を見直す必要があると考えます。

大日本除蟲菊株式会社 中央研究所 技術管理室 課長 大島 俊哉

「フマキラー株式会社」

「フマキラー株式会社」より

1.缶表示において、殺虫剤名を記載していない点については、以下の理由により記載しませんでした。

  1. (1)他の有効成分である消臭成分、除菌成分と表示を合わせた。
  2. (2)「フェノトリン」という記載よりも「ピレスロイド系殺虫剤」の方が消費者に認知されやすい。
  3. (3)フェノトリンは人体用としても使用されている安全性の高い薬剤であり、一般的なピレスロイド系殺虫剤である。特別に記載する必要性はないと判断した。

2.室内残存について

使用後に落下して残った薬剤の定量を実施し、その安全性を十分に確認したうえで商品化しています。

フマキラー株式会社 開発本部 取締役開発本部長 村上 幸雄

「フマキラー株式会社」への商品テスト部の見解

1.消費者が購入する際の参考となるよう、雑品扱いの商品でも殺虫成分についてはその名称・量等が具体的に明記されるべきと考えます。

2.この点に関して、消費者に対する説明が十分になされていないことが問題です。また、化学物質過敏症等のことを考慮すれば、殺虫成分が残ること自体が明記されるべきと考えます。

「生活害虫防除剤協議会」

「生活害虫防除剤協議会」より

1.雑品扱いの製品に対する適正な使用方法の啓蒙は、生活害虫防除剤協議会の自主基準において、これの徹底を図っております。

2.冊子「たしかな目」(9月号)42ページ・テスト1の末尾の文章:「捨てる際には注意が必要だ」の根拠がわかりません。東京都は、エアゾールは中身を使い切って、と指導しています。テスト製品は中身を出し切っていますので、この文章はいかがなものでしょうか。

生活害虫防除剤協議会 専務理事 水崎 雅史

「生活害虫防除剤協議会」への商品テスト部の見解

2.特にエアゾールタイプに絞った指摘ではありません。添付文書に記載のある銘柄もありますが、使用後には分別して廃棄することが必要なものもあります。その際、パッケージ内の薬剤が完全に散布されずに残っている場合や、パッケージ周りにも、散布した殺虫成分が付着している場合が考えられます。これらの場合は注意が必要です。

※今回、意見を掲載する際に、誌面の都合上、同様の主旨の意見については、まとめさせていただきました。また、個別の銘柄に対する意見については、一部を削除させていただきました。




本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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