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[2002年5月9日:公表]

折りたたみ自転車の安全性

実施の理由

 折りたたみ自転車は、収納や搬送が容易なことや比較的安価な銘柄が増えたこともあって、近年販売台数が伸びている。一方、PIO-NETでの苦情・問い合わせ件数も最近の3年は2桁に増加している。その内容は折りたたみ機構に関連したものが多い。そこで、メーカー希望小売価格が3万〜4万円の折りたたみ自転車について、全国の9消費生活センターと共同で、フレームやハンドルの強度や制動性能、耐候性を加味した折りたたみの耐久性、安全な走行に着目した乗りやすさ、組み立てやすさ等をテストした。

 また、インターネットや通信販売等で購入した低価格品での事故も見られるので、インターネットで購入した実売価格が安い(1万円未満)折りたたみ自転車について、フレームの強度や耐久性などの安全性をテストした。



結果・現状

メーカー希望小売価格が3万〜4万円の折りたたみ自転車について

  1. (1)JIS規格への適合を調べたところ、フレームの強度が不足していたものが1銘柄、ハンドルステムの強度が不足していたものが2銘柄あった。自転車を傾ける角度が小さくてもペダルが路面に接触してしまうものが1銘柄あった。
  2. (2)6ヶ月間屋外に放置しながら走行と折りたたみを続けたところ、ハンドルの折りたたみ機構が摩耗して組み立てられなくなったものが1銘柄あった。
  3. (3)タイヤが最小径の銘柄は運転姿勢が不自然で、直進時や旋回時の安定性が劣っていた。
  4. (4)組み立て・折りたたみ操作の手順が多く大きな力が必要で操作しにくいものが2銘柄あった。

実売価格が安い(1万円未満)折りたたみ自転車について

  1. (1)JIS規格への適合を調べたところ、フレームの強度が不足していたものが4銘柄、ハンドルやハンドルステムの強度が不足していたものが5銘柄あった。自転車を傾ける角度が小さくてもペダルが路面に接触してしまうものが2銘柄あった。
  2. (2)5ヶ月間屋外に放置しながら走行と折りたたみを続けたところ、走行中に不具合が発生したものが4銘柄で計5箇所、組み立て・折りたたみ操作中に不具合が発生したもの2銘柄で計3箇所あった。


問題点

  1. 1.業界は、完成車としてのJIS規格に適合するまたは低価格品であっても同規格を参考にするなどした安全性の高い、折りたたみ自転車の普及に努めることが必要である。
  2. 2.フレームやハンドル等の折りたたみ機構部分の耐久性のような折りたたみ自転車固有の項目をJIS規格に追加する必要がある。


今後の予定

 消費者が安心して折りたたみ自転車を選択できるよう、JIS規格やSGマーク、TSマーク制度を積極的に活用するよう、業界、行政に要望する。



業界の意見 −たしかな目 2002年8月号より−

「出来鉄工所」より

 過日、折りたたみ自転車の商品テストにおいて、ご指摘いただきました不具合点の改善等下記のとおりご報告させていただきます。
 ハンドルポストの強度不足につきましては、弊社テスト結果では2200N以上の結果を得ており、現在原因の究明を行い、十分な強度を有するよう、改善させていただきます。
 取扱説明書につきましては、表記方法の見直しを行い、図につきましても、見取り図に改め、ユーザーにわかりやすい取扱説明書に改善させていただきます。
 ペダルの踏面が片面しか踏めず、踏む面の形状が悪く踏みづらいとのご指摘をいただきましたが、折りたたみ車の性質上、よりコンパクトにするため、ペダルも折りたたみ形式のものを採用しております。しかしながら、ご指摘いただいた踏みづらさを解消し、かつコンパクトになるような、新型のペダルが必要不可欠であることを認識いたしました。
 コンパクトで、実用性の高いペダルの開発を進めていく所存でございます。

(株)出来鉄工所 技術部課長代理 中島義一

「ブリヂストンサイクル」より

 モニターテストの結果、「乗っているときの姿勢が不自然なものがあった」となっていますが、

(1)ハンドルの幅について
 弊社商品「トランジットコンパクト」のハンドルは狭いとされていますが、小径車輪の場合、大きい車輪に比較した場合、前輪の慣性モーメントが小さくなりますので、ハンドル幅を広くしますと逆に走行安定性が悪くなります。
 必ずしもハンドル幅が広ければよいということではありません。
(2)乗車姿勢について
 乗車姿勢は、背筋を伸ばして乗るのがよいとされていますが、自転車の構造および用途によりまして変わります。
 背筋を伸ばしてサイクリング等の長距離走行を行えば尻が痛くなり、また悪路走行においてはハンドルを取られやすいため、前傾姿勢でハンドルをしっかり押さえる必要があります。
 また、「トランジットコンパクト」のような小径車輪になりますと、ホイールベースが短く、背筋を伸ばして乗車しますと後輪の上に座るようになり(前輪で受ける荷重が極端に小さくなる)、段差乗り上げ時等、前輪が浮き上がるおそれもあり危険です。乗車姿勢は自転車の種類、用途によりまして変わります。

ブリヂストンサイクル(株) 品質保証本部主査 田中一元

商品テスト部の見解

(1)ハンドルの幅について
 「トランジットコンパクト」(車輪径12.5インチ)のハンドル幅は実測465mmであり、他の銘柄(車輪径16〜20インチ)が実測496〜598mmであった中で最も狭く、モニターテストでは「幅が狭く違和感がある」との意見が出ました。ハンドルの幅は肩幅より若干広い程度がよい、との話もあります。ハンドル幅が狭いのは事実で、これは12.5インチという小径タイヤに起因する特性と言えるかと思います。
(2)乗車姿勢について
 ご指摘のとおり、乗車姿勢は車種や用途により異なります。例えば高速走行や長距離走行を目的としたスポーツモデルなどは、さまざまな理由から基本的に乗車姿勢が大きく前傾しますし、日常の通勤・通学や買い物などを目的とした軽快車には、スポーツモデルほど乗車姿勢が前傾したものはあまり見かけません。モニターテストの結果、「トランジットコンパクト」は「ハンドルの高さが低く違和感がある」との意見が出ました。「トランジットコンパクト」がどのような用途・ユーザーをメインに想定して開発されたモデルかは当センターではわかりませんが、少なくともスポーツモデルになじみのないモニターの中には、前傾姿勢に違和感があった人がいました。

「ヨコタサイクル」より

 今回のテスト結果を踏まえて弊社の品質管理の体制につきましてご説明いたします。
 今回のテスト商品は弊社にてアッセンブルを行い日本国内で塗装、組み立てしております。
 2002年2月より販売いたしておりますが、弊社といたしましても特に折りたたみ車の特性を考慮し耐衝撃あるいは乗車時の負荷にも十分耐えられる自転車作りを念頭に置き、実施して参りました。
 特にフレーム耐振性には十分注意をはらい厳重にテストも繰り返し発売した商品です。
 フレーム生産のつど弊社上野工場のフレーム振動試験機によるテストを重ね問題ない商品であると確信いたしておりました。
 また、ハンドルにつきましても海外品では品質面でばらつきがあるという判断で国内生産のハンドルメーカーを採用し日本車両検査協会の検査も実施し現在に至っております。
 なお、最新の車両検査協会の試験につきましても弊社の試験結果を再確認するために実施いたしました(2002年モデル/2002年4月22日実施)。また、現在まで強度面でのクレームは1件も発生いたしておりませんし問題はないと確信いたしております。
 現在の商品は2001年10月よりストッパーの位置を下側に変更、2002年1月より大きくなりすぎたフレームサイズを100mm小さく(シートポストを500mmより400mmに変更)仕様変更をしたことにより、強度面と安定性のアップを図っており、今回のテストの結果は非常に残念なことだと思います。
 今後は市販車を再度テストしその結果により弊社なりの判断をしたいと考えております。
 なお今回の結果につきましては真摯に受け止め消費者のニーズにあった万全な自転車作りをいたしますのでよろしくご指導のほどお願いいたします。

ヨコタサイクル(株) 上野工場 品証部 生産本部長 西村信一

「東興商会」より

  1. (1)当社の製品はすべて低価格車であり中国3工場にてOEM生産し、当社ブランド“TOKO”で国内販売しております。
  2. (2)中価格車の日本メーカー名のブランド車(海外生産を含めて)に比べて厳しいテスト結果を知りました。低価格車であっても中高価格車に比べて安全性の面で落ちることがあってはならないと思っております。なぜなら低価格車は大衆車であり、中高価格車に比べても販売数量が圧倒的に多いからです。
  3. (3)当社では現在中国3工場(3会社)で生産している製品について部品チェック、組立時の工程管理等あらゆる面で下請メーカーと品質管理に、より徹底していくしだいです。現在、当社は独自に日本車両検査協会や、中国での検査基準に合わせて生産しておりますが、日本の規格SG、JISの取得を行うように計画しております。

 日々改良を重ね、より安全な商品を提供して行くよう努力する所存です。

(株)東興商会 代表取締役 岡野靖

「自転車協会」より

 このたびのテスト結果にある「業界への要望」について、(社)自転車協会よりコメントいたします。
 2002年6月号「たしかな目」73ページの掲載記事にありますように、自転車には(1)JISマーク、(2)SGマーク、(3)TSマークの3つの制度があり、すべて運用については、自転車業者および消費者側の任意による取り扱いになっているため、おのおのの普及率が低い状況にあります。
 一方、近年自転車の輸入が急増し、’99年426万台、2000年623万台、2001年709万台と増加傾向が続いており、国内生産と輸入が2000年に逆転し、国内生産は2000年468万台、2001年418万台と減少傾向を示しております。このような状況下、低価格・低品質自転車の増加に伴い、製造、材質および構造不良を主要因とする製品事故が増加傾向にあり、消費者の身体生命に対する危険性の増大が懸念されるため、当会では(財)自転車産業振興協会と協力し、2000年度から自転車の試買テストを実施し、2001年度は、軽快車32台、折りたたみ自転車5台、MTB類形車3台、計40台を対象に試買テストを実施しました。この結果、フレーム強度不足9件、スポーク張力不足8件、各部(ハブナット、クランク軸等)の固定力不足18件、前照灯なし8件と安全上において問題があることが判明しました。
 このため、当会としては、上記3つの現状における制度では、消費者への安全性を確保することが困難なため、消費生活用製品安全法によるPSCマーク制度に自転車が対象となるよう「自転車安全基準」を当会で作成し、同制度導入の際の基準に採用されるよう2001年12月に経済産業省に提出し、PSCマーク制度への早期導入をお願いしております。今回の国民生活センターによる試験結果からも消費者への安全性確保が現状の制度では困難なものと思われますので、このPSCマーク制度導入に賛同くださるようお願い申し上げます。

(社)自転車協会 理事長 島野喜三




本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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