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[2002年1月8日:公表]

「やわらかく食べやすい」ことをうたった食品の商品テスト結果

実施の理由

ここ2、3年ぐらいの間に、店頭や通信販売等で「やわらかく食べやすい」ことをうたった加工食品が見られるようになってきた。しかし、これらの商品は販売されてから日がまだ浅く、消費者側から見た「そしゃく」のしやすさ、食味、物性などの情報は少ない。「やわらかく食べやすい」ことをうたった食品(39 銘柄)について、特別用途食品(高齢者用食品)「そしゃく困難者用食品」を含めて、(1)食味テストを行い、これら食品群の全体的な特徴を明らかにする他、(2)かたさ・粘度などの物性、(3)栄養成分や表示を調べ、一般向け食品(5銘柄)や手作り料理を参考とした時の料理区分ごとの特徴等についても情報提供することとした。



結果・現状

65歳以上高齢者の食味テストでは、そしゃく力の弱い人にとっても、十分にやわらかく感じられるものが多かった。そしゃく力の違う人が同じ食品を食べた場合、かたさの感じ方に評価の違いがあらわれ、概ね、特別用途食品[高齢者用食品(そしゃく困難者用食品)]のかたさの基準値(5×103N/m2)を境に差が生じていた。おいしいとされた銘柄があったものの、あと味やニオイがよくないとされる銘柄が多かった。価格を含めた利用意欲は「やむをえない時は利用したい」程度であった。65歳未満健康成人の食味テストでは、味付け、満足度の評価は低いものが多かった。
かたさ測定用機器を用いてかたさを詳細に調べたところ、食品の形態による違いが見られ、フリーズドライ食品はやわらかく、冷凍食品はかたい傾向にあった。
44銘柄中、栄養成分表示が適正ではないものが22銘柄、また、絵表示については実際の商品よりも色鮮やかでおいしそうに見えるものが33銘柄もあった。



問題点

現在の表示では、どれくらいやわらかいのか判断できない。
「あと味がよくない」、「ニオイがよくない」などの意見が多くあり、価格を含めた今後の利用意欲は「やむをえない時は利用したい」という意見が多かった。
絵表示や写真のほうが実際よりも色鮮やかでおいしそうに見えるような商品が多かった。栄養表示基準に適合していない商品があった。



今後の予定

テスト対象メーカーにテスト結果の説明会を実施し、その際に改善点などについて要望する。



業界の意見 −たしかな目 2002年4月号より−

「旭松食品」

「旭松食品」より

  1. (1)ターゲットについて
    今回のテストパネラーの多くが軟菜食あるいは荒きざみ食が向いている元気な高齢者のように見受けられますが、弊社の"やわらか百菜"は「極きざみ食、あるいはやわらかな食事しか食べられない方」を対象として品質を決めています。このような極きざみ食しか受け付けられなくなった方は、そしゃくだけでなく、えん下にも機能低下が見られるケースが多いので、なおさら尚更一般家庭で作るのが難しくなっています。
    「価格を含めた今後の利用意欲」に"購入したい"という意見がほとんど見られなかったのは喫食者の機能がまだそれだけ正常に近いためと思われます。
  2. (2)どんな品質が喜んで、安心して食べさせる気になっていただけるのか、食べてもらえるのかについて
    こうした食品は特殊な機能が要求されますので、通常の商品開発とは違います。品質については、現場の栄養士が実際の患者、入所者の生理的ニーズに合わせた要求、コンセプトに合わせて決めています。例えば弊社の商品のかたさが他社と比べてかたい、という評価が出ていますが、そしゃくすることが身体機能へも良好に作用するという医師のアドバイスにより、商品設計しております。
    表示面では、やわらかさとえん下を合わせた分類が消費者にとって便利な表示ではないかと考えております。
  3. (3)味付けについて
    いくら栄養成分ですぐれたものでも食べていただかなければ何の意味もなしません。食べてくれることのポイントはおいしいということ、飲み込みやすい、ということです。おいしいということに関しては、人間の本能なのでしょうが、好きなもの、美味しいものなら少々無理をしてでも食べたい、食べてしまうということです。もっと厳密に言えば、"おいしいもの"というよりも"好きなもの"をいかに作るか、ということになるかと思いますが、個人の嗜好性もあり大変難しいところです。

旭松食品(株) 医療用食材部 部長 石野 啓造

「旭松食品」への商品テスト部の見解

  1. (1)ターゲットについて
    今回のテストでは、モニターのそしゃく力について、モニターに「何でもかめる」、「なんとかかめる」、「かたいものはかみにくい」の中から選んでもらい、「何でもかめる」と回答した人(53.9%)を「そしゃく力の正常な人」、「なんとかかめる」、または、「かたいものはかみにくい」と回答した人(それぞれ、23.3、22.1%)を「そしゃく力の弱い人」としました。貴社の商品は、今回のテストでは全銘柄とも、そしゃく力の弱い人にとっても「ちょうどよい」かたさと評価され、また、全体的に今回の商品はそしゃく力の弱い人にとっても十分やわらかいと言えました。ところが、見た目や味付けに関しては、評価の高かった銘柄があったものの、あと味のよくない銘柄が多く、また、においがよくないものもあるため、食味テスト結果では決しておいしいものとは言えませんでした。食品100gあたりの価格に関しては、これら商品群のほうが「一般向け食品」よりも若干高いことがわかりました。
    以上のような理由で、「価格を含めた今後の利用意欲」に"購入したい"という意見がほとんど見られなかったのだと思います。

「伊藤ハム」

「伊藤ハム」より

各メーカーへの希望の項目において、各商品のやわらかさについて表示がなく判断できないため、業界全体で自主基準作りに努めるべきであるというご意見がありました。
弊社が、この分野での食品を販売し始めてから、既に3年になりますが、以前から消費者が商品を選択する際の判断基準となる、業界としての自主基準の必要性は痛感しておりました。
このような状況の中で、昨年9月に「日本介護食品協議会設立準備会」が結成され、今春までに「日本介護食品協議会」として正式に発足させる予定で準備作業が進められております。弊社もこの「設立準備会」に加わり、商品を選択する際の判断基準となるやわらかさと飲み込みやすさの目安と区分について、作成作業を進めているところです。

伊藤ハム(株) ヘルスサイエンス事業部 HBCグループ HBC開発室 室長 矢野 幸男

「伊藤ハム」への商品テスト部の見解

現状の表示では、どれくらいのかたさであるのかわかりにくく、また、そしゃく力には個人差があるため、自分のそしゃくレベルに合わせた商品を購入することも困難な状況です。
これら商品群は、高齢社会において今後も消費者のニーズが高くなってくると思います。業界団体を設立されるということですが、自主基準の作成を進め、商品の品質等、より充実させていくよう期待します。

「キユーピー」

「キユーピー」より

現在、各社が独自の基準で製品化していますが、そしゃくやえん下機能の軽度低下の人向けに作られた食品は、重度の人では食することは難しく、誤えんの原因となったりいたします。そのようなこともあり、消費者の混乱を防ぐことを目的として、統一基準の自主規格を作りたく、日本介護食品協議会の設立を進めております。

  1. (1)今回のテスト結果についてはやわらかさ(そしゃく)の視点から報告されており、えん下のしやすさの視点からの報告はほとんどありません。
    やわらかさ(そしゃく)と飲み込みやすさ(えん下)を訴求した商品に求められる製品特性は、「やわらかさ」「大きさ」「まとまり」等と考えております。「やわらかさ」のファクターだけでは、製品を正しく評価することはできないと思います。
  2. (2)今回の食味評価において、パネラーとなった高齢者の方の構成と対象となった食品のレベルが一致していないように思われます。健常な方が食されても風味や見栄えさらには食べやすさ、飲み込みやすさを正しく評価されることは難しいと思います。
  3. (3)表示について読みにくいとご指摘いただいております。よりわかりやすいよう改善していきたいと思います。印刷の文字の大きさについても、スペースが許す限り大きな字体を用いていきます。しかし、限られた面積ですので、見やすさを優先するのか、情報提供を重視するのか検討していきます。
  4. (4)栄養成分表示が、実際の含有量と異なるものがあると指摘されております。栄養成分の分析では、表示と異なる値が出た場合は確認のため再度分析されていると思います。どの程度のバラツキであったのか、分析の検体数は幾つ行ったのかお教えください。
  5. (5)弊社商品は栄養充足という機能についても重要と考え、たんぱく質、カルシウム、食物繊維を強化しております。これらの栄養素は高齢者にとって重要で、不足しがちであるため、風味、価格とのバランスを考慮し、食べやすさと栄養を付与し、商品設計を行っております。

キユーピー(株)広報室 部長 大山 敏雄

「キユーピー」への商品テスト部の見解

今回テスト対象とした商品群は、「やわらかい」、「きざみ」、「そしゃく力の低下した方」など、「やわらかく食べやすい」ことを意識させるようなもので、飲み込みやすいなどのあきらかにえん下に関してうたっていると受けとれる表現はありませんでした。今回は、えん下に関して問題のある方はテスト中に誤えんの恐れがあるため、モニターには含めませんでしたので、テストは、そしゃくのしやすさ(商品のかたさ)に着目して行いました。

  1. (4)について
    栄養成分については、複数のパッケージ内の試料を混合して均一化(試料量200〜300g)し、分析を行いました。測定は2回行い、分析値にバラツキがあった場合は再測定を行い、今回のテスト結果としました。

「白十字」

「白十字」より

  1. (1)味覚について
    当製品は、高齢者の方が濃い味付けを好まれるという調査結果のもと、商品の味付けを設計いたしました。しかし、健康管理上、塩分、糖分の過剰摂取は高血圧等生活習慣病を引き起こす原因にもなり、調味料類の摂取は慎重に行わなくてはなりません。
    弊社の商品は、濃くうまみのあるだし汁を使うことにより、味にメリハリをつけ、塩分を控えてある設計にしております。高齢者のために専用設計をした商品ですので、今回の「高齢者と健康成人の味付けに関するアンケート結果」のギャップについては、上記のような理由から考えます。
  2. (2)価格について
    弊社の商品[「おかずシリーズ」(単品8メニュー)]は、そしゃく困難な高齢者の方々に安心して召し上がっていただくために、厚生労働省が許可する「特別用途食品高齢者用食品そしゃく困難者用食品」を介護食レトルト形態刻み食の分野で唯一取得しております(2000年10月現在)。
    この許可を取得の際には、厚生労働省が定める厳しい規準(かたさ、栄養バランス等々)をクリアする必要があり、一般食品よりもさらに厳しい徹底した品質管理が求められます。また、お客様にご安心いただける素材の厳選、一般食品とは異なる特殊な調理行程による費用はもちろんですが、それ以外に「特別用途食品」取得のためのテストおよび分析費用等が商品価格に上乗せになってしまう理由上のもと、やむをえなく現在の定価設定にさせていただいております。しかし、メーカー努力により、もっとお客様がご利用しやすいようコストダウンに向けて努力していきたいと思っております。
    お客様から頂いた商品のご利用方法としては、セット食については、忙しいときやお出かけの際に、また、単品おかずにつきましては、何か一品メニューを追加したいときなどにご利用いただいております。メーカーサイドといたしましても、365日毎日こちらの商品をお使いくださいとの提案ではなく、上記場面などの理由上、やむをえない場合にお使いくださいとのご提案をしております。
  3. (3)かたさについて
    厚生労働省許可基準としては、「ゾル中に固形物」の基準では、固形物の大きさが3mm以上の場合は、その固形物のかたさについても、かたさ基準を満たす必要があり、本製品についてはこの基準を満たしております。今回の試験では製品全体を測定しての結果となっておりますが、当社の愛情厨房は厚生労働省の許可を受ける際、具材の一つ一つのかたさ基準も満たしております。
  4. (4)栄養成分表示について 今回の調査では、「第6次改定日本人の栄養所要量」を引用されていますが、弊社の商品は厚生労働省の指導要領(平成13年3月27日付け)により「第5 次改定日本人の栄養所要量」に基づいて現在製品裏面の「一日あたりの所要量、目標摂取量に対する割合」のグラフを表示しております。
    食塩相当量については、厚生労働省が定める1日の食塩の摂取目安量は10g以下が理想とされています。愛情厨房のセット食は1回の食事を想定しているので、1/3程度に抑えることができます。
  5. (5)ミネラル類について
    今回の分析の中で、Na含有量と表示が合っていないとのご指摘がありましたが、現在の商品については、正しい数値が表示されております。

白十字(株) 開発技術部 開発課 高橋 俊文

「白十字」への商品テスト部の見解

  1. (1)味覚について
    65歳未満健康成人の食味テスト結果では、65歳以上高齢者の食味テストと比べて、全体的に評価が厳しく、差が顕著に現れ、味付け、介護の立場からの満足度の評価は低くなりました。このことは、65歳未満健康成人の方がご指摘のとおり味覚には敏感であり、高齢者に比べ差がより顕著なものになったと考えます。しかし、実際商品を選択するのは65歳未満の方の場合も多いと思われますので、このテストを実施しました。
  2. (3)かたさについて
    かたさの物性値の測定は、製品全体だけではなく、具材の一つ一つについても行いました。その中で原材料として使用頻度の高かった、にんじん、たまねぎ、じゃがいも、牛肉の4食材については報告書のほうに記載しております。



本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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