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[1999年7月5日:公表]

食用食物油の比較テスト結果
−におわない、使用量が少ない、など、使用性に特徴を持たせた食用植物油−

実施の理由

 最近、「におわない」、「いつもの約1/2の使用量」、「酸化・加熱安定性が良い」、「冷めても衣はサクッと」など、使用性面での特徴をうたった食用植物油が見られるようになってきた。

 そこで、におわない、使用量が少なくてすむ等、使用性に特徴を持たせた食用植物油を中心に、栄養面、酸化安定性などの品質および使用性についてのテストを行い、どのように油を使いこなしていけばよいのか情報提供する。



結果・現状

 におわないことを強調したもの3社3銘柄、使用量が少ないことを強調したもの2社2銘柄、その他1社1銘柄、参考品3社3銘柄、計5社9銘柄をテストした。その結果、使用性に特徴を持たせた油について、使用性の評価を主に官能テストで行ったところ、表示通りであることを確認できたのは「におわない」だけであった。

 参考品を含めた全9銘柄の新しい油と繰り返し使用後の油を比較したところ、脂肪酸組成はほとんど変化がなく、繰り返し使用後の油にもビタミンEは約半分残っており、変質の程度を示す酸価も低かった。また、繰り返し使用後の油で揚げた揚げ物の味、色、歯ざわりは、新しい油で揚げた場合とそん色なかった。参考品も含めて、差し油しながら油を10回以上繰り返し使用しても、十分に使用可能な品質を維持できることがわかった。



問題点

 「いつもの約1/2の使用量」、「酸化・加熱安定性が良い」、「冷めても衣はサクッと」等の使用性の特徴をうたった銘柄については、必ずしも表示通りであると確認することはできなかった。消費者に誤認を与えないよう、具体的な使用条件を示すなど、適切な表現が望まれる。



今後の予定

 テスト対象メーカー及び日本植物油協会にテスト結果の説明会を実施し、その際に改善点などについて要望する。



業界の意見 −たしかな目 1999年10月号より− ※1999年9月6日追加

「味の素」

「味の素」より

「衣花咲く揚げ油」で揚げたものが、ほかの油で揚げたものに比べておいしそうに見えないという記載についてですが、「衣花咲く」というのは、天ぷらの衣が花が咲いたような揚げあがりになることを表現したもので、これは、天ぷらの専門店でおいしそうに揚がった感じを表現するときに形容する言い方として使われています。掲載されている写真を拝見した感じでは、揚げあがりの状態は、ほかの銘柄の油で揚げたものに比べ違いがある(専門店で作るように衣の花が咲いたように揚がっている)ように見え、弊社では、この揚げあがりの違いを目指し商品を開発いたしました。

 また、「少ない量でコツいらず」については、使用後の廃棄のことを考慮して、乳化剤の働きにより効率よく衣の水分を飛ばすことにより他の油に比べて少ない量の油でも揚げものが可能であることを表現しています。ご指摘のように少ない量にした場合は、揚げ鍋を小さくするなどのくふうが必要となりますし、また一度に今までと同じ量の揚げものを揚げると温度変化が大きくなり、うまく揚がらないこともありますので、種物の量についても、具体的な説明が必要だと思います。説明が不十分なところは、今後対応を検討したいと考えます。

 現在の使用実態からすると、揚げ油は2〜3回で廃棄されているのが実態のため「繰り返し使う」というよりは「極力少ない油で揚げることができる油」をと考えたのがこの商品です。本文中では、繰り返し捨てないで使用することを勧められていますが、廃棄しないことを勧めるのか、使用実態から極力、廃棄量を減らすというように考えるのか提案のしかたに違いはありますが、考え方は近いのではないかと思われます。

 弊社調査では、天ぷらを家庭で行う月平均の回数は、約1〜2回/月であり、繰り返し油を使用する際に保存したものを使うと時間の経った油になることもあり、一概に再使用をお勧めできないこともありますので、極力、油の廃棄量を減らすことを弊社では考えました。

 最後に、評価表についてですが、「表示」の「使用性について誤認を与えるような表示事項はないか」の評価方法が○△等の記号による説明では、わかりにくく、読者に誤認を与えるのではないかと思われます。具体的な説明による評価、例えば、「表示どおりの商品」または「表示には問題なし」というようにしていただいたほうがよいのではないかと思います。

味の素(株) 調味料・油脂事業本部 油脂部 家庭用グループ グループ長 加治 秀基

「味の素」への商品テスト部の見解

 今回「衣花咲く揚げ油」を含めた計3銘柄について、どの天ぷらの衣に天ぷららしさ、おいしさを感じるかを調べました。油温180℃で天ぷら7食材(えび、なす、さつまいも、しいたけ、かぼちゃ、大葉、ピーマン)を揚げ、盛りつけたあとに5人のモニターが比較を行ったところ、特に「衣花咲く揚げ油」だけが、おいしさを感じたり、食べたい、ということはありませんでした。また、参考までに天ぷら3食材(えび、なす、さつまいも)については、揚げたあとに室温下で2時間放置し、同様に5人のモニターが比較を行いましたが、同じ結果が得られました。

 当センターの「食用植物油の商品テスト結果('92年6月発表)」のアンケート調査でも、多くの消費者が油を捨てる際の判断基準として、使用回数(2〜3回)を回答していました。環境面から考えると、われわれも油の廃棄量を極力減らすために、使いきることを提案しました。

 評価表中の○△等の評価方法については、一般的な評価の意味と、△については具体的な問題点を欄外に示して、誤認を与えないよう配慮したつもりですが、より読者にわかりやすいよう今後も検討したいと思います。

「花王」

「花王」より

(1)においの強さの評価について
 加熱したときのにおいの評価で、どのようなにおいがしたのかをご教示願います。弊社「エコナにんじんカロチン入りコーン油」で加熱したときのにおいの強さの評価結果が「やや強い」となっていますが、弊社のテストでは、油くささは認められていません。天然のにんじんカロチンを含んでいますので、そのにおいではないかと推定されます。
(2)使用量半分に対する試験結果について
 試験で用いられた油の量や鍋や食材の選定根拠を記載願います。「エコナ揚げ油」を上市するときに弊社で調査した結果、一般家庭での揚げ物に使用する平均的な油の量は700〜800gでした。弊社では、油400gでアンケート調査を行いましたが、カラッと仕上がるとの好評の声をいただき、上市に至っております。今回の試験では油1200gを設定されて、その半量の700gで評価されておりますが、そのときの揚げた直後の食感の評価結果をご教示願います。また、一般家庭で揚げ物に使用する平均的な油の半量での試験も行っていただきたいと思います。
(3)酸化・加熱安定性結果について
 弊社では、酸化により発生する揚げ物調理時のにおい(油くささ)を中心に評価および調査を実施したうえで上市しており、今回の評価の中でも、繰り返し使用後の風味では、高い評価をいただいております。CDM法で得られる結果は脂肪酸組成が大きく寄与しており、調理のような高温での安定性を示すものではないと考えられます。また、加熱後の油の品質を調べるために、多量の食材を連続12回調理した油を使用されていますが、実際の家庭ではこのような使用は考えにくいのではないでしょうか。このような試験を設定された根拠を教えていただきたいと思います。
(4)指摘された表示について
1)使用量に対する表示
 エコナ揚げ油の使用量の目安・使い方について、ボトル裏面に絵などで具体的に記載してあります。よりわかりやすい表示に関しては今後検討していく予定です。
2)酸化または加熱に強い等の表示
 エコナ揚げ油:「いたみにくい油です<揚げる時の油くささが気になりません>」、エコナにんじんカロチン入りコーン油:「油の鮮度を保ち、いたみをおさえます」「くり返し使っても油くさくない」。以上のように弊社商品では、「油くさくない」を訴求点としておりますが、その点での評価結果がありません。油くささとCDM法の結果、酸価、過酸化物価は直接的には関連するものではないと考えております。

花王(株) 消費者相談センター 所長 中曽根 弓夫

「花王」への商品テスト部の見解

(1)について
 においの強さについては、実使用時には普通でしたが、加熱のみでは、油温が160℃、180℃の2とおりで官能テストを行ったところ、やや強いと評価されました。その際のにおいについての意見は、ツーンとくる、油くさい、など各銘柄共通した意見のほか、異質なにおい、などでした。
(2)について
 食材は冷凍食品を含め約30種類を調理、試食し、官能テストに最適と判断された食材を選びました。加熱には条件が一定になるよう、電磁調理器を用い、鍋は一般家庭用電磁調理器専用天ぷら鍋としました。使用油量1200gについては今回の試験で用いた鍋の約5分目量であり、食材をちょうど覆うぐらいの油量は700gでした。
 揚げた直後の食感については、油800gで揚げた場合で評価を行いました。評価表にもあるように、「エコナ揚げ油」でのり天ぷらを揚げたときのみ、カラッとする点で評価がよかったものの、ほかの食材では差がありませんでした。また、使い勝手を調べる際は、油400gおよび600gでも試験を行いました。
(3)について
 CDM法は、加熱を伴わない保存中の酸化安定性の評価法として採用しました。加熱後の油の品質は、「食用植物油の商品テスト結果('92年6月発表)」を参考に条件設定を行いました。確かに一般家庭での使用実態とは異なりますが、前回のテスト時に、実際に家庭で10回調理したあとの油の品質(酸価とカルボニル価)を調べた結果と、テスト室で今回と同じ条件(週5回)および週1回調理する条件で計12回繰り返し使用した結果とでは、油のいたみ具合はそれほど変わりませんでした。そこで、今回は週5回の条件としました。

「吉原製油」

「吉原製油」より

 今回のテストに関しましては、「油のイヤなにおいが少ない」、「高オレイン酸」、「酸化安定性が高い」点を評価していただいておりました。しかしながら「加熱安定性に差がない」と判断するには、今回のテストでは不十分ではないかと考えますので以下にその理由を述べます。

  1. (1)揚げ物を行った油は、酸化、重合、加水分解等の複雑な劣化現象を起こします。この複雑な現象を、例えば、加水分解の測定項目である酸価だけをもって判断することはとてもできないと考えられます。学会発表、文献等では、このような場合、酸価はもとより、カルボニル価、アニシジン価、粘度上昇、酸化酸、発煙点、発泡性、よう素価の低下、揚げ物の風味低下等を複数測定して、総合的に判断しています。弊社が「ライトプラスの加熱安定性が従来の約2倍」と表示しておりますのは、モデルフライ実験(再現性を重視したフライ実験)と現実的な実用フライ実験を行い、酸価、粘度上昇、揚げ物の保存性、揚げ物の風味の維持等を測定し、総合的に判断した結果、加熱安定性が従来の大豆油・菜種油またはその調合油対比で約2倍と判断したからです。特にフライ油の劣化現象を最も端的に示す測定項目は「油の重合」すなわち「油の粘り」を測定する粘度上昇率であると考えており、弊社モデルフライ実験、実用フライ実験では、ライトプラスは粘度上昇率が従来油対比約1/2でした。
  2. (2)油の加熱安定性測定に関しては、学会等でもその正確かつ再現性のよいフライ方法を何にするかで議論が分かれており、統一された方法はありません。その理由として、モデルフライ実験の再現性のよい条件設定が非常に難しい点があげられます。すなわち、揚げ物(加熱安定性)はその加熱の仕方、加熱時間、揚げ鍋の材質・形状、揚げ種の種類・数量、バッター液(揚げ物の衣液)の種類、温度条件等の要因の影響を受けやすいからです。1つの加熱方法だけで行い、また、再現性チェックのための実験が行われていない状況で加熱安定性を判断するのは、危険であると考えます。

吉原製油(株) 取締役 研究開発室長 水島 健一

「吉原製油」への商品テスト部の見解

(1)について
 ご指摘のように、加熱油の品質を調べる試験方法は複数あります。'92年6月発表の「食用植物油の商品テスト結果」では、色調、酸価およびカルボニル価を測定しました。また、80年発表のテスト時には、発煙点、粘度の測定も行いました。その結果、どの測定データも使用回数に伴ない漸増しましたが、「弁当及びそうざいの衛生規範」の油交換指導基準を下回っていました。また、結果の評価に大きなくい違いは見られませんでした。そこで、今回は酸価を加熱安定性の1方法として選びました。12回使用後の油の酸価は、前回のテスト結果(0.3〜0.4)と差は見られず、再現性はあると判断されます。

「(社)日本植物油協会」

「(社)日本植物油協会」より

(1)対照品の取扱い方が不適切
「対照に用いた商品」について、よい悪いという表現は適切でないと思われます。なぜなら、機能をうたってないものは、機能をうたった商品と比較して、その機能に関しては特徴をもたないことがあるので、それをもって特定の商品名をあげて「評価が悪い」ということばを使うことは、その商品自体がよくないと判断されることになり、一般の消費者に対して悪いイメージを与えることになりかねません。あくまでも、対照品と比べて選定した商品の機能がどうであったかにとどめるべきだと思います。
(2)酸化安定性の解釈が違います
「繰り返し使用後の油の酸化安定性は、全銘柄とも平均水準以下または、平均的水準を下回っていた」の表現は不適切です。なぜなら、この特徴をうたった3銘柄が、他の6銘柄(5銘柄がC)と比較してどうかということが大切であり、貴センター独自の絶対評価スコアー「B」をもって平均ということは当たらないと思います。当方では「この3商品(B)は他の5つ(C)と比べてよい」と判断します。
(3)加熱に対する安定性の評価方法が問題です
 表題に対して、「酸価」と「過酸化物価」のみで評価することは、基本的に適切ではありません。東京都消費者センターが、平成5年に行なった調査では、「酸価」、「過酸化物価」のほか「ヨウ素価」、「カルボニル価」、「極性物質」、「酸化酸」、「粘度」、「色」を測定して評価しているのと比べると、あまりにも安易な評価で結論を出しています。特に「酸価」は、揚げ物の水分や揚げ回数との関係が深く、1つの油についてどの程度加水分解したかを見る尺度であり、精製のよい油では油の種類によって差は少なく、酸化安定性を比較するのには不適当な指標です。過酸化物価は、今回のテストでも見られるように、加熱によって分解するので、揚げ物の油の評価には向きません。貴センターで厚生省の「菓子の製造…指導」を引用していますが、油で処理した菓子は製造後の時間の経過によって過酸化物が生成されるので、フライ油の基準にはなりません。同「弁当そうざい規範」では、揚げ油の評価として、酸価、過酸化物価のほかに、発煙点、カルボニル価、かに泡、粘性等を見るように指導しています。このように、揚げ油の評価はいろいろの角度で検討するものであるにもかかわらず、上記のように意味の乏しい項目のみで判断することは適切と言えません。
(4)官能テストのおいしさは疑問です
「揚げ物はおいしくなる傾向」と表現していますが、これは普遍性に乏しいことと思われます。なぜなら、揚げ種の成分が油に溶解して風味に影響することは否定しませんが、一般に家庭で揚げる種は千差万別で、一様にこのような結果になるとは限らないと思われます。確かに貴センターの調査では鶏のから揚げ、とんかつ、天ぷらが多いが、それぞれの素材の品質は一様でありません。例えば、魚の天ぷらやフライといっても、揚げる魚の種類や鮮度によってフライ油への影響は違うはずである。この点を無視して、限られた揚げ種モデルでの結果をもって、おいしくなる傾向と言うことは短絡的であり、誤解を招きやすいと思われます。
(5)フライのテスト方法
 12回のテスト方法は一般的なモデルではありません。貴センターの前回の調査でも毎日揚げものをする家庭はわずかに2%で、平均は1週間に2.4回(3日おき)ということです。ちなみに、平均の人で12回ということになると36日間使うことになり、週1回という家庭では3か月の期間に相当します。また、「3食材をこの順番で繰り返して各食材4回ずつ」としていますが、実際の使用ではあるいは通常のテストでは、3つの種を同時に揚げて1回とするのが普通であり、その点では12日にわたる4回の揚げテストと解釈されます。以上の点を配慮せず、連続フライの結果によって「12回」というだけでは、消費者に誤解を与える可能性が大きいと思います。

(社)日本植物油協会 理事・技術担当 浜島 守男

「(社)日本植物油協会」への商品テスト部の見解

(1)について
 今回のテストの主な目的は、「使用性に特徴を持たせた」ということに重点を置いており、銘柄間での特徴を明らかにするとともに、参考品に対して、使用性面でどのような特徴があるのかを比較する必要があり、評価を行いました。評価方法で、ご指摘の「評価が悪い」という表現は「C」評価と解釈しました。なお、A、B、Cでの評価を行うと、消費者に対して誤認を与えやすいと思われるテスト項目に関しては、評価を具体的な文章で表現しました。
(2)について
 評価表中のA、B、Cのランク付けは、「たしかな目」評価表右下にも記述がありますように、テストした商品(9銘柄)のみに関するものであり、酸化安定性がB評価というのは、新しい油および繰り返し使用後の油を総合的に相対評価したときの平均的水準を意味します。
(4)、(5)について
 今回のテストでは、差し油しながら12回繰り返し使用した油と、新しい油で調理した天ぷらの味を5人のモニターが比較した結果です。確かに、ご指摘のように、すべての条件において、この結果が当てはまるとは言えないかもしれませんが、12回繰り返し使用した油で調理した揚げ物でも、味覚の点から決して劣るものではないことを消費者へ伝える必要があると考えました。また、繰り返し使用回数で、1食材とは一般家庭4人分に相当するもので、3食材で1回分ではありません。



本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

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