[本文へ] 消費生活・消費者問題に関する事例や対処方法を紹介しています。

現在の位置 : トップページ > 注目情報 > 発表情報 > 知っていますか?こんな危険 パウダースプレー式の殺菌消毒薬は、キズをひどくすることがあります!

[1998年6月18日:公表]

知っていますか?こんな危険
パウダースプレー式の殺菌消毒薬は、キズをひどくすることがあります!

消費者被害速報(危害情報システムから) No.6

 手軽でしみない殺菌消毒薬としてパウダースプレー式殺菌消毒薬が人気を呼んでいる。この殺菌消毒薬で「かえって化膿した」「凍傷になった」などの事故情報が危害情報システムに寄せられている。


パウダースプレー式殺菌消毒薬とは

 傷口にスプレーすると、殺菌消毒薬が粉状について傷口を乾燥させる。傷口の乾燥を早めるという点で従来の液状の殺菌消毒薬とは異なるタイプの医薬品である。発売以降6年弱の間に 1,500万個以上発売されているとのことである。きり傷、すり傷、さし傷、かき傷、靴ずれなどが対象で、効能・効果は、創傷面の殺菌・消毒である。



事故の内容

 1993年11月に1件目の事故が報告されて以後、現在までに31件報告されている。事故は、94年までは年間3件であったが、95年5件、96年11件、97年6件となり、今年も既に2件発生している。

 事故に遭った人は女18人、男13人、15歳以下の子どもが1/3、残り2/3は60歳代までの各年代にわたっている。事故は「化膿した、傷がひどくなった」25件、「凍傷(低温やけど)」5件、「爪の皮がむけ爪が抜けた」1件である。なかにはシミやケロイドなどの跡が残ったものもある。



メーカー等の対応

 メーカーは発売当初から、添付文書(以下、能書)に「使用に先立って傷口の泥などの汚れを水できれいに洗い落とすこと」「傷口から10cmくらい離して吹きつけること」「同じ箇所に3秒以上スプレーしないこと」といった注意表示を記していた。

 しかし、あるメーカーは、苦情が寄せられたこともあって「顔面には使わないように」との表示を加える(95年8月)、能書やスプレー缶本体に、傷口の洗浄について赤字・枠囲みなどで強調した表示をする(96年6月)、「傷の深い場合は医師の診察を受けるように」などの表示に加えて赤字・太文字などで強調する(98年2月)、テレビコマーシャルに傷口を水洗いするシーンを入れる(96年5月)などの対応をしてきたという。また、他のメーカーも外箱に水洗いの絵表示シールを貼付したり、事故などが起きた場合にメーカーに連絡するためのアンケートはがきを販売時に配付しているとのことである。

 

 なお、厚生省も表示等について、数回にわたって改善の指導をしている。



事故が起きる背景

粉状殺菌消毒薬の問題点(1.〜4.は、危害情報システム協力病院の専門医の見解)

1. 粉状殺菌消毒薬は、細菌を封じ込める

 傷口の洗浄が不充分だと、細菌が増えて化膿するおそれがある。しかし、洗浄で細菌が完全に除去されたか否かは、使用者には分かりにくい。粉状の殺菌消毒薬は傷口を覆ってしまうため、洗浄が不充分だと残った細菌を内部に封じ込めることになり、これが事故の原因になっていると思われる。

2. 固まった薬が落としにくいため、2度目以降につける薬の殺菌効果が期待できない

 薬剤が患部を覆ってしまうと重ね塗りしても薬剤が二重三重になるだけで、傷口まで行き渡りにくくなる。2度目につけるときは先につけた薬剤を落としてからにすべきだが、一定時間(6〜8時間)を経過すると石鹸等を用いても先の薬剤が取れにくいため、つい重ね塗りしてしまう。このため、2度目につけた分の殺菌効果が期待できずますます細菌が増える。
傷口を乾燥させることがうたい文句であるため、滲出液や出血があると「乾燥していないのはつけ方が足りないため」と思えて、多量使用しがちになる。傷口が濡れていると薬剤も多量に固着し、一層落としにくくなる。

3. 薬が傷口を覆い、傷の経過がわからないため、手当てが遅れ、ひどくしてしまう可能性がある

4. スプレー式なので、1箇所に噴霧しすぎると凍傷を起こすことがある

殺菌消毒薬に限らずスプレーにはLPガスが使われているものが多いが、LPガスは冷やす力が強いため、同じ箇所に多量に噴霧しすぎると凍傷になる危険性がある。
なお、ある自治体の教育委員会は、学校医部会からの意見もあり、学校保健室での使用を見合わせる申し合わせを行った。

表示・広告上の問題点

1. 簡単に安心して使えるとイメージさせる広告

 従来の液状の殺菌消毒薬に比べて手軽に使用できるため、表示や能書を読まずに使用しがちである。また、かつてのテレビCMなどのイメージから、患部の汚れを落とさなくてもスプレーしただけで殺菌消毒されると思ってしまう消費者もいると思われる。

2. 守るのが難しい注意表示

 「患部から10cm離して使用する」と表示されているが、10cm離して傷口に焦点を当てるのはなかなか難しく、守りにくい表示といえる。また「化膿している場合は、使用を中止するように」といった注意書きもあるが、消費者には化膿しているのかいないのか判断がつきにくい。

3. 表示が不十分

 用法では1日1〜数回使用することになっているが、2度目以降につけるとき、先の薬剤を完全に落とさねばならないことや、先の薬剤の落とし方についての説明などが不十分である。



消費者へのアドバイス

  1. パウダースプレー式殺菌消毒薬は、傷口の汚れや血液を十分洗い落とし清潔なガーゼで水気を取ってから使うこと。
  2. この殺菌消毒薬は、同じ箇所に噴霧しすぎないこと。冷えすぎて凍傷になる恐れがある。
  3. 次につけるときは、先につけて固まった分を完全に落としてからつけること。
  4. 傷の程度がひどいなどの理由で医師の治療を受ける可能性がある場合は、その前にこの殺菌消毒薬を使わないこと。X線を通さない成分を含んでいることや傷口の状態を確認しにくくなることが、医師の診断の妨げになる。
  5. 薬は使い方を誤ると大事を引き起こす危険性が高いものであるから、簡単に使えそうな薬であっても能書などの表示をよく読んでから使うこと。



※この情報は、国民生活センター「危害情報システム」に報告された事故情報をもとに提供するもので、早期に消費者に危険を知らせることを目的とするものである。


本件連絡先 消費者情報部
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。

※[PDF形式]で作成した文書を開くにはAdobe Readerが必要となります。PDF形式の閲覧方法について


発表情報トップページへ

ページトップへ