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[1998年6月8日:公表]

温水洗浄便座の比較テスト結果

 温水洗浄便座は、清潔・快適志向の高まりから一般家庭への普及率が伸びてきているという。そこで、シートタイプ・水道直結方式で本体のタンクに水をため、温めて温水を出すタイプ3銘柄と、参考品として給水しながら直接加熱して温水を出すタイプ(瞬間熱交換方式)1銘柄についてテストした。

  • モニターテストの結果「おしり洗浄機能」における洗浄具合は、使い心地の面でやや評価に差がついたが、総合的な満足度は不満を持たれることはなかった。
  • 「乾燥機能」はそもそも能力的に不十分であり、モニターテストでもその用途はほとんどが補助的乾燥であった。この他の機能はおおむね満足の行く結果が得られた。
  • モニターの操作性に対する評価は、総合すると、取り回しや操作がシンプルなものが好まれる傾向にあった。
  • 科学テストの結果では、銘柄によって温水温度や水勢の設定幅に違いがあった。さらに、給水圧・室温などの設置環境条件により、洗浄機能の吐水動作や便座の温度特性が変化することがわかった。
  • 使用時以外は便ふたを閉めた方が経済的で省エネになる。

 ※購入:1997年10月〜11月
 テスト:'97年11月〜'98年4月

 ※このテストの結果は、テストのために購入した商品のみに関するものです。

テスト結果から

 温水洗浄便座はトイレの設備の一部であり、その使用感や操作性は使用者宅のトイレ環境や家族を含めた使用形態が大きく関係するものと考えられる。そこで、今回は使用感や操作性などはテストモニター宅で実際に使って評価を行った。また、科学テストでは、各銘柄の機能設定を変更したり設置環境条件(室温・水温・給水圧など)の違いに対する動作性や経済性などを中心に調べた。
 モニターテストの結果をまとめると、この商品の中心的機能となる洗浄機能については、洗浄具合は比較的好評で、使い心地の面でやや評価に差がついた。満足度は使い心地の影響を受けたが、不満を持たれることはなかった。また、乾燥機能はそもそも能力的に不十分であり、多くを期待されていない傾向のようだった。他の機能では概ね満足の行く結果が得られた。操作性の面では項目毎に長短が別れたものの、総合すると、取り回しや操作がシンプルなものが好まれる傾向にあった。また、科学テストでは、銘柄によって温水温度や水勢の設定幅に違いがあること、給水圧・室温などの設置環境条件や便ふたの開閉などの使用状況によって洗浄機能の吐水動作や便座の温度特性,経済性などが変化することが分かった。

アンケート調査のまとめ

 平成9年7月〜10月に「たしかな目」読者に対して実施したアンケート調査(485世帯,749名から回答)の主な集計結果や意見は以下の通りであった。(モニターテストとの重複部分を除く)半数以上の人が「便意」「便通の促進効果がある」と回答。トイレットペーパー使用量は、変わらない人(44.2%)と変わった人(48.6%)でほぼ半々であった。温水洗浄便座を使うことに対する懸念は約87%の人が「ない」と答えた。しかし、「炎症が生じたと思われる」と回答した人も見られた。

使用者の主な意見

  • 「生理時や入浴できない時などに清潔に保てる」など。
  • 「快適である」「すっきりする」など。
  • 「掃除しにくい(ノズル部分,床面など)」
  • 「他の便座が嫌」「洗浄しないとすっきりしないまたは尻がかゆくなる」「癖になる」など
  • 「痔の手術後に良い気がする」など

非使用者の主な意見

  • 「操作が複雑そうである」など
  • 「必要性を感じない」「関心がない」など
  • 「値段が高い」
  • 「掃除しにくくないか心配」など
  • 「ぜい沢だと思う」「非省エネだと思う」など

消費者へのアドバイス

購入者の家族構成や住居条件などから見た商品選択について

(1) 使用便器やトイレの広さ・形状に合った商品を選ぶことが大切

 一般に、便器には標準(普通)サイズと大型サイズの2種類があり、温水洗浄便座にもそれぞれのサイズに応じた商品が多いので、使用便器のサイズを把握することが必要である。なお、今回の参考品のように両サイズ共用の商品もあるが、標準サイズの便器に取り付けた場合、便ふたを開けた時にロータンクの手洗い部分に便ふたがはみ出して使いにくくなることがある。
 タンク貯湯式のものは、今回の3銘柄を見てもその形状や寸法は様々であり(今回のモニターテストでは壁の形状により設置できない銘柄があった,写真2参照)、日常のトイレ空間はもちろん、トイレ内を掃除する時のこと,コンセントの配置なども考慮して、設置するトイレの広さや形状に合った商品を選ぶことが大切である(アンケート調査では、購入時に設置条件を気にしない人の割合が半数以上であった)。

(2) 家族構成に見合った商品を選ぶことが大切

 4〜5人家族を対象として実施したモニターテストでは、タンク容量が小さい銘柄(容量1.4L)の時に「洗浄時の温水温度が徐々に下がる」ケースが生じるようであった。朝などに家族が続けて洗浄機能を利用するなどの使用形態にもよるが、タンク貯湯式の場合は4人家族で概ね容量1.7L を目安にするとよい。また、瞬間熱交換式の参考品も、温水の維持の点でほぼ満足されていた。

(3) 給水圧の影響が出やすい商品は、吐水動作が安定しない可能性がある

 給水圧が低い家庭(2階以上のトイレに設置する場合など含む)や水圧変動の大きい家庭(トイレ使用時間帯に洗濯機を使ったり洗い物により多くの水を使う場合など)では、給水圧の影響が出やすい商品は、吐水動作が安定しない場合(弱い水勢設定でノズルが出ない,吐水量が変動するなど)があり、給水圧に応じた水勢の設定が必要である。

(4) 温風乾燥機能付きのものが必要かどうか考慮する

 今回のテスト結果では、各銘柄とも短時間で乾燥させるのに十分な能力は持ち合わせていないようであった。あまり効果を期待できない機能と考えられるが、痔などにより紙で拭くことに負担を感じる人にとってはある程度必要な機能と思われる。乾燥機能が付いていない商品も多く売られているようなので、購入時には使用者にとっての必要性を考慮した方がよい。購入前に各家庭のアンペア契約容量を確認する今回の対象銘柄では、タンク貯湯式のもので5〜6A程度,瞬間熱交換式の参考品は10A以上の電気が一時的に流れる。購入時には、各家庭のアンペア契約容量を確認し、商品選択あるいはアンペア契約容量の変更などの必要性を考慮する。

使用にあたって

(1) 経済的で省エネに使うには

 待機時の消費電力量には便座の温度設定の影響が大きいことや、便座の温度設定が高い時には座っているうちに熱く感じてくることがあるので、温度設定は低めにした方が経済的で省エネになる。また、使用時以外は便ふたを閉めた方が経済的で省エネになる。

(2) 便座や温水に関する節電機能が設けられた銘柄もある

 今回テストした銘柄には、節電を目的とした以下のような機能が一部の銘柄に設けられていた。このような機能を上手に使うことによって、経済的で省エネにつながる使用を心がけたい。
「任意の時間帯に温水及び便座ヒーターを切る節電スイッチ」
「便座に座っていない時に温水及び便座の温度が「低め」のレベルになる節約運転」

(3) 電源スイッチをOFFにしても若干の電気を消費している

 電源(運転)スイッチが設けられた2銘柄は、スイッチをOFFにしても若干の電気を消費していた。電源スイッチがない銘柄も含め、長期間使用しない時には、コンセントから外すことが望ましい。

(4) 着座スイッチのしくみを理解して意図しない作動を防ぐ

 温水洗浄便座には、着座していない時に誤って洗浄機能などが作動しないように、着座スイッチが設けられている。しかし、そのしくみは銘柄によって異なるので、意図しない作動や使いたい時に動かないことがないよう、そのしくみを理解する必要がある。今回の銘柄の着座スイッチのしくみは以下の通りであった。

シャワートイレ:
便座のタッチセンサーにより便座に人が触れたことを検知する。
ウォシュレット:
本体操作部の赤外線センサーにより人の有無を検知する。
クリーンシャワレ:
便座裏面の便器との接触個所(手前側1個所)の重量センサーにより着座を検知する。
参考品:
便座の可動部(右側)の重量センサーにより着座を検知する。

(5) 炎症などが生じた場合には

 アンケート調査において、女性から「洗浄部位に炎症を生じたことがあった」との回答があった。また、全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)でも同種の事例が2件見られた。件数としては希なケースであり、同商品との因果関係も確認されてはいないが、万一、洗浄部位に炎症が生じた場合には、医者の診断を受けることを薦める。

業界への要望

  1. (1) 今回テストした瞬間熱交換式の機種(参考品)はモニターテストの評価が全般に低めだった。理由としては「洗浄水が最初冷たい」「洗浄範囲が狭い」「作動音がうるさい」などが目立った。温水タンクを用いない方式として経済性などの面では優れた面もあり、基本的な使用感の向上にも努めて欲しい。
  2. (2) 今回のテスト対象銘柄のうち最もタンク容量の小さい機種は、4人家族のモニター宅で、トイレが混み合う朝の時間帯に、おしり洗浄とビデを連続して使用する女性のモニターから「湯温が徐々に下がる」と意見され、温水が持続しないケースがあった。しかし、カタログには使用に適した人数は明記されていなかった。また、他のメーカーのカタログにも、使用に適した人数(何人ぐらいの人が快適に使えるのか)のような表記は特に見当たらなかった。利用可能人数のような数値は、利用される条件にも左右される面があり一概に決め難いこともうかがえるものの、商品を購入する時の重要な選択肢の一つでもあり、消費者にとっては、購入時に是非欲しい情報である。業界統一の条件による参考利用人数の表示を要望する。
  3. (3) モニターテストで「着座センサーの反応が敏感すぎて扱い難い」と意見された銘柄があった。着座センサーに関しては、その反応に方式による違いがみられ、利用者の意図しない時に着座センサーが反応したり、逆に着座を検知せずにうまく作動しなかったりすることがあるようだった。技術的な検討により、作動が確実なセンサーの開発を望む。また、意図しない作動の防止のためのものであることから、使用者に分かりやすいようにそのしくみを取扱説明書に記載して欲しい。
  4. (4) 参考品の標準・大型サイズの便器共用タイプは便ふたが邪魔で手が洗えないなどと意見されていた。便器を選ばない構造は、引越しなど状況によって有利であるが、使い勝手が犠牲にされるのは好ましくない。形状などの改善を要望する。
  5. (5) モニターテストにおいて、集合住宅のトイレの壁のコーナー部が配水管などの敷設により出っ張っているモニター宅(No.1495 設置できないケースもあるトイレの形状(写真)参照)で、その個所に便座の温水タンクへの吸水口が干渉して設置できない銘柄があった。この様な便座の形状や寸法上の問題は購入時に想定できない事が多いと思われる。いざ購入して、設置できないということがないよう、本体からの出っ張りを少なくする,または購入時に取り付け可能なトイレのサイズなどが容易に分かるようにするなどの配慮がほしい。
  6. (6) 温水タンクの水抜きや便座の取り付け取り外しなどについて、構造上の配慮に欠ける銘柄が見られた。使用頻度は少ないものの、狭い場所での操作が必要なので構造上の配慮を望む。
  7. (7) 吐水中に洗浄用以外に水が流れる銘柄が見られた。水の有効利用の観点からも、使用水量が更に減るような構造にして欲しい。
  8. (8) 瞬間熱交換式の銘柄は、タンク貯湯式の銘柄に比べて消費電力量が少なかった。洗浄水の加熱方式の検討に加え、便ふたによる便座の保温性や温水の保温性を高めるなど、消費する電気が更に減るような構造にして欲しい。

テスト商品一覧

銘柄型式製造または販売者名価格(円)洗浄水加熱方式タンク容量(リットル)
シャワートイレ CW-1050 INAX 98,000円 タンク貯湯方式 1.4
ウォシュレット TCF 770 東陶機器 119,000円 タンク貯湯方式 1.6
クリーンシャワレ CH642S1 松下電工 110,000円 タンク貯湯方式 1.7
参考品
ビューティ・トワレ
DL-GX3 松下電器産業 139,000円 瞬間熱交換方式 タンクはなし

本件連絡先 商品テスト部
電話 0427-58-3165