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[1998年4月21日:公表]

「健康住宅」に関する調査
−ハウスメーカー・公的住宅への室内汚染アンケートから−

調査目的

 最近、化学物質による住宅の室内汚染の問題がクローズアップされている。使われている 建材は外見は同じように見えても、多種多様な化学物質が使われていて、それが時には深刻な健康被害を生んでいる。しかし、その建材に何が使われているのか、消費者にはほとんど知らされていない。また、省エネルギーの観点から、「高気密・高断熱」の住宅が推奨されているが、こうした密閉性が、逆に被害を拡大しているケースもある。そこで本調査では、ハウスメーカー(公的住宅を含む)に対し、「シックハウス症候群」「新築病」などと呼ばれている被害・苦情に対する対応と、近ごろ、各メーカーがこぞって主張し始めた「健康住宅」に対する考え方とその取り組みについて、アンケート調査によって探った。



調査方法

調査対象と回収状況

調査対象団体調査対象数回収数集計対象数
総数758317(41.8%)291
ハウスメーカー
(社)不動産協会、(社)日本ハウスビルダー、
(社)日本高層住宅協会、(社)プレハブ建築協会
653227(34.8%)201
公的住宅10590(85.7%)90
住宅・都市整備公団、住宅供給公社584949
都・道・府・県営住宅474141
  • *ハウスメーカーは、4協会のいずれかに属する正会員を対象。
  • *公的住宅は、分譲・賃貸住宅両者が含まれる。

調査時期

1997年11月中旬〜12月中旬

調査方法

郵送によるアンケート調査



調査結果

「健康住宅」のイメージ

 近頃、「健康住宅」という言葉をよく耳にする。テレビ、新聞等の住宅産業のコマーシャルや住宅展示場をのぞいても、各社そろって「健康住宅」を競いあっている。と言っても、「健康住宅」という言葉に決まった定義があるわけではない。

 そこでここでは、ハウスメーカー各社および公的住宅各団体が、どのような住宅を「健康住宅」とイメージしているのか、「化学物質」「高気密・高断熱」をキーワ−ドに、それぞれ二者択一で聞いてみた。

「健康住宅」のイメージは「化学物質・薬剤を使わない住宅」9割超す

 初めに、「健康住宅」のイメージを化学物質・薬剤の使用 との関連で聞いた。その結果、「ホルムアルデヒドなどの化学物質や防虫・防ダニなどの薬剤をできるだけ使わない住宅」を選んだのが 272社(93.5%)と圧倒的に多く、「防虫、抗菌剤などの化学物質や薬剤を使用して、防虫(ダニなど)防カビなどの対策を施した住宅」は、16社( 5.5%)に過ぎなかった。

 この比率は、調査対象の「ハウスメーカー」と「公的住宅」の間でもほとんど差はみられなかった。

 ホルムアルデヒドを代表的なものとして、新建材・化学物質多用の現在の住宅のあり方が見直され始めていることだけは確かのようだ。

表1 健康住宅のイメージ(A)(総数 291)
健康住宅のイメージ割合
化学物質や薬剤を使わない住宅93.5%
薬剤を使用した防虫・防カビ施工の住宅5.5%
無回答1.0%

「高気密・高断熱で換気設備」61%、「自然に換気できる住宅」36%

 最近の住宅は、マンション、一戸建てに限らず「高気密・高断熱」化が進んでいる。そこで、この点について「健康住宅」との関連をきいてみた。

 その結果、「高気密、高断熱で十分な換気設備を設けた住宅」を「健康住宅」のイメージとして選んだのは 177社(60.8%)、「風通しがよく、自然に換気できる昔ながらの住宅」 106社(36.4%)となった。さらにこれを、「ハウスメーカー」と「公的住宅」の調査対象別にみると、「ハウスメーカー」は前者が 132社(65.7%)、後者が63社(31.3%)と2倍ほどの開きがあるが、「公的住宅」だけでみた場合は、前者が45団体(50.0%)、後者が43団体(47.8%)と、ほぼ半々となっている。

 「高気密・高断熱」住宅は、省エネルギーの観点から行政サイドの推奨もあって、ますます増えていくものと思われる。しかし、様々な化学物質が多数使われている中での「高気密・高断熱」化は、有害物質を室内に閉じ込めることになり、シックハウス症候群の原因となっていることも事実である。特に、「高気密」化は室内の湿気の逃げ道をふさぎ、結露を招いたり、カビ、ダニを繁殖させることにもなる。

 これを避けるためには、人工的な空調、換気設備は欠かせない。あわせて、換気量は十分か、床下のシロアリ駆除剤などが部屋に流れ込む危険はないか、さらには、「自然に換気できる住宅」と比べて、本当に省エネルギーとなっているのかどうかの検討も必要だろう。

表2 健康住宅のイメージ(B)(総数 291)
健康住宅のイメージ割合
自然に換気できる住宅36.4%
薬剤を使用した防虫・防カビ施工の住宅5.5%
無回答2.8%

ノンホルムアルデヒドと「防ダニ・防カビ・抗菌」使用が同居の「健康住宅」

 つぎに、「健康住宅」のイメージを自由に回答してもらった。記入があったのは79件。その結果は「環境共生、自然素材使用」をうたったものが一番多く33件、次いで、「前問の選択肢で両者を補足したもの(両方必要で、いずれかを選べない)など」が17件、さらに、「高齢者、障害者向け住宅」9件、「日当たり」をあげたもの6件と続いている。

 なお、前問で「ホルムアルデヒドなどの化学物質や防虫・防ダニなどの薬剤をできるだけ使わない住宅」を選びながらも、「ホルムアルデヒドは問題だが、『防ダニ・防カビ・抗菌』仕様は健康住宅のイメージとして考えている」との主旨の記述が数件みられた。この点については、後に「健康住宅」の取り組みを具体的に記述してもらっているが、同様の傾向がみられた。

 「防ダニ・防カビ・抗菌」仕様は、フローリング、カーペット、流し台、洗面室、壁クロス、風呂場などその対象は広い。まれにフローリングなどで、防虫・抗菌作用を、ヒバ、ヒノキなどの天然素材に求めている場合もあるが、多くの場合は薬剤が使われいる。そして、何が使われているかはそのほとんどが不明である。

 国民生活センタ−商品テスト部が実施した(各地の消費生活センターとの共同比較テスト)「抗菌加工商品の商品テスト結果−台所・洗面所・風呂用品を対象に−」(平成9年5月)によれば、「抗菌加工商品の抗菌効果は少なく、結局は従来通りのこまめな手入れが必要」と指摘している。テスト商品の対象が住宅部品とは若干異なるが、重なる点も多く、大いに 参考になるだろう。

 ここにきて行き過ぎた「抗菌ブーム」に反省の声も聞かれる。ある住宅用設備メーカーは、自社の実験で「抗菌効果」がなかったとして、便器、キッチンカウンターなど一部抗菌仕様を取りやめた。「健康住宅」は何よりも安全性が優先されるべきと考えると、薬剤を使用した「防ダニ・防カビ・抗菌」仕様が、本当の意味での「健康住宅」にふさわしいのかどうか、ハウスメーカー、消費者ともに改めて考えてみる必要がある。

室内を汚染する化学物質

問題だと思うのは「ホルムアルデヒド」93.5%で一番

 室内を汚染する化学物質として何が問題かと思うか聞いたところ、「合板などに使われるホルムアルデヒドネどの接着剤」が一番多く 272件(93.5%)、以下、「トルエン、キシレンなどの有機溶剤」 196件(67.4%)、「ビニール壁紙に使われる塩化ビニール(可塑剤・難燃剤などを含む)」 191件(65.6%)、「木材の防腐処理(CCAなど)や防虫剤(有機りん系殺虫剤など)」 147件(50.5%)、「殺虫剤を使用した防虫畳」 127件(43.6%)、「新築の際のシロアリ駆除剤」 118件(40.6%)と続く。

 これをさらに、特に問題だと思うものをひとつ選んでもらったところ、「合板などに使われるホルムアルデヒドなどの接着剤」 160件(55.0%)が断然多く、次に、「トルエン、キシレンなどの有機溶剤」23件(07.9%)、「ビニール壁紙に使われる塩化ビニール(可塑剤・難燃剤などを含む)」23件( 7.9%)と並んで続く。

表3 問題だと思う化学物質
化学物質名問題だと思う特に問題だと思う
合板などに使われるホルムアルデヒドなどの接着剤93.5%55.0%
トルエン、キシレンなどの有機溶剤67.4%7.9%
ビニール壁紙に使われる塩化ビニール65.6%7.9%
木材の防腐処理や防虫剤50.5%2.4%
殺虫剤を使用した防虫畳43.6%2.1%
新築の際のシロアリ駆除剤40.6%3.1%
その他4.1%1.0%
無回答0.3%20.6%

新建材が使われる理由は「安価だから」が75.3%でトップ

 新建材が使われる理由を聞いたところ、「安価だから」が 219件(75.3%)で最大の理由。以下A「入手しやすいから」 177件(60.8%)、「使いやすいから」 162件(55.7%)、「外観上よく見えるから」94件(32.3%)、「行政による規制がないから」65件(22.3%)と続く。「その他」としては、「防腐・防虫効果があるから」「製品むらが少なく品質が安定している」「問題という認識がなかった」などがあげられていた。

表4 新建材が使われる理由
新建材が使われる理由割合
安価だから75.3%
入手しやすいから60.8%
使いやすいから55.7%
外観上よく見えるから32.3%
行政による規制がないから22.3%
その他3.4%
無回答0.3%

ホルムアルデヒドの指針値について

「知っている」は65%、「守らなければいけない値」は半数

 厚生省が、ホルムアルデヒドの室内濃度指針値を提案したことを「知っている」のは、 189社(64.9%)、「知らない」は 102社(35.1%)。

 さらに、この指針値についてどのように考えているかを聞くと「住宅の建設に当たって、守らなければいけない値と考えている」のは半数の 147社(50.5%)。以下、「指針値に過ぎないので参考程度に考えている」64社(22.0%)、「わからない」57社(19.6%)。「その他」6.2%となっている。

 この結果から言えば、室内濃度指針値を実行あるものにするには、ハウスメーカー、公的住宅への周知をはかるとともに、何らかの規制力を持たせることも検討の必要があろう。

表5 指針値の認知度(総数 291)
指針値の認知度割合
知っている64.9%
知らない35.1%
表6 指数値をどう考えるか(総数 291)
指数値をどう考えるか割合
守らなければいけない値 50.5%
参考程度        22.0%
わからない       19.6%
その他          6.2%
無回答          1.7%

室内汚染被害について

「苦情を受けたことがある」13.1%

 「シックハウス症候群」という言葉には、定まった定義はない。ここでは、新築・リフォ−ム時において、「刺激臭がする、目がチカチカする、頭痛がする、吐き気がする」などの症状、被害を「シックハウス症候群」と定義づけ、聞いてみた。

 その結果、最近1年間にシックハウス症候群の「苦情を受けたことがある」という回答が 38社(13.1%)あった。この38社を調査対象別にみると「ハウスメーカー」31社(15.4%)、「公的住宅」7団体( 7.8%)と前者の比率が2倍ほど高くなっているが、これは「公的住宅」の場合は、借家を含んでいるのですべて新築とは限らないという調査対象の性格も影響しているものと思われる。

 「苦情を受けたことがある」という38社の苦情件数(総数 169件)の内訳を見ると、「1〜2件」が一番多く24社(63.2%)。以下、「3〜5件」が4社(10.5%)、「6〜10件」2社( 5.3%)、「11件以上」2社( 5.3%)、無回答6社(15.8%)となっている。この回答の中で一番苦情件数が多かったものは「75件」。この数字は、ある大手メーカーのものだが、販売規模も大きければ、これだけの苦情(被害)が起こり得ることを示しており、「シックハウス症候群」の被害が決して一部敏感な人たちだけのものではないことがわかる。

表7 苦情の有無(総数 291)
苦情の有無割合
ある 13.1%
ない 86.6%
無回答 0.3%
表8 苦情件数(総数 291)
苦情件数割合
1〜2件63.2%
3〜5件10.5%
6〜10件 5.3%
11件〜  5.3%
無回答  5.3%

苦情を受けた時期は「入居後3ケ月未満」が6割

 「新築病」とも呼ばれるように、やはり入居後すぐに被害を受けるケ−スが多く、「入居後3ケ月未満」が、27件で約6割を占めている。しかし、3ケ月を経ても苦情は続き、「入居後1年以上」たっても苦情件数は6件(13.6%)みられる。これは、図10にあるように、苦情原因の半数をしめているホルムアルデヒドの特性によるものと思われる。「ホルムアルデヒドの汚染は長期にわたり、少なくとも築1〜2年間の汚染濃度は高い」「室内温度、換気によって濃度は大きく変化する。例えば、夏の暑い時期や、冬場に部屋を閉め切って暖房を入れれば濃度は高くなる」ことが実証されている。このようなことが、苦情が長い期間にわたっている原因と推測される。そしてこの室内汚染の長期化が、時として「シックハウス症候群」の被害を深刻化させている。

表9 苦情の来た時期(総数 44)
苦情の来た時期割合
入居後3ケ月未満 61.4%
入居後3〜6ケ月 11.4%
入居後6ケ月〜1年13.6%
入居後1年〜   13.6%

苦情の原因の半数はホルムアルデヒド

 苦情のあった38社のうち約4分の3の29社が、苦情原因を調査している。それによれば、一番多いのは「ホルムアルデヒドによるもの」で26件(苦情原因の総数52件)で、ちょうど半分を占める。以下、「キシレン、トルエン、などの有機溶剤によるもの」が8件(15.4%)、「シロアリ駆除剤によるもの」3件( 5.8%)となっている。「その他」5件( 9.6%)で具体的に挙げられているものとしては、「n−ヘキサン」「パラジクロロベンゼン」「防虫剤(スミチオン)」があった。また、原因不明が10件(19.2%)ある。

表10 苦情の原因(苦情原因の総数52件に対する割合
苦情の原因割合
ホルムアルデヒドによるもの50.0%
キシレン、トルエンなどの有機溶剤によるもの15.4%
シロアリ駆除剤によるもの5.8%
その他9.6%
不明19.2%



本件連絡先 総務企画部調査室
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。


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