独立行政法人国民生活センター

検索メニュー

×閉じる

現在の位置:トップページ > 注目情報 > 発表情報 > 喉や食道を切る! うっかり飲んだ薬の包装シート

ここから本文
[1998年1月7日:公表]

喉や食道を切る! うっかり飲んだ薬の包装シート

消費者被害注意情報(危害情報システムから) No.18

 薬を包装シートごと飲んでしまい、喉や食道などを傷つける事故が30件報告されている。事故は、薬を常用する機会が多く、また注意力が散漫になりがちな高齢者に多く発生しており、なかには、大量に吐血して一時呼吸停止に陥った例もある。薬を飲むときは、包装シートに十分注意してほしい。

大半はPTP包装による事故

薬の包装には、

  1. (1) 一瓶に何錠もの薬を入れて必要な分量を取り出して飲むもの、
  2. (2) ハトロン紙などで作った袋の中に1回分ずつ粉薬、顆粒が入っているもの、
  3. (3) プラスチックシートにアルミを貼り付けた1枚のシートの中に、錠剤やカプセルを閉じ込めているもの(Press-Through-Pack:PTP包装)
  4. (4) 1枚のシートの中に錠剤やカプセルを閉じ込めている点はPTP包装と同じであるが、シートが柔らかいセロファン様(アルミコーティングしたものもある)の材質のもの(ストリップ包装)などがある。

30件の危害のうち、14件はPTP包装であることがはっきりしており、他の16件は包装の種類が明記されていない。しかし、この16件も症状等から大半はPTP包装であったと思われる。

事故件数

 93年度以降、30件の事故(協力病院から29件、消費生活センターから1件)が報告されている。年度別にみると、93年度4件、94年度7件、95年度7件、96年度5件、97年度7件(年度途中)である。

危害の程度

 怪我は、喉や食道を切ったというものであり、重篤症(注1)1件、中等症、(注2)5件など重い怪我もある。30件中、医師の治療を受けたものは28件あり、このうち、通院治療が必要なものは9件、入院が必要なものは8件ある。

  • 注1 重篤症:生命に危機が迫っている状態
  • 注2 中等症:生命に危険はないが入院を要する状態

部位

 怪我をした部位は、食道が最も多く20件、腹部(胃など)5件、咽喉4件などである。

事故にあった人

 40歳代2件、50歳代8件、60歳代8件、70歳代7件、80歳代5件で、生活習慣病などで薬を常用する機会の多い高齢者に多い。

 男性14件、女性16件で男女にあまり違いはない。

事例

●事例1
病院からもらった薬を服用する際、錠剤の薬を包装してある錠剤シートの一部が薬に付着しているのに気づかず、薬と一緒に飲み込んだため、食道にひっかかり苦しくなった。(94年4月 81歳女)
●事例2
カプセル入り胃薬をパッケージから出し、1錠口に入れたら、水で濡れていた指に付いていたパッケージも一緒に口に入れたらしく喉元に角が引っかかった。病院で待っている間に咳き込んで取れたが傷がついた。(94年6月 62歳女)
●事例3
疲れていたうえ、急いでいたため、常用していたホルモン剤のカプセルをうっかりシートのまま飲んでしまい、咽喉にひっかけてしまった。(94年12月 60歳女)
●事例4
投薬された2種類の薬を3錠一緒に服用する際、1錠だけシートから出さずにそのまま飲んでしまった。吐き出そうとしたが咽喉につかえて吐き出せず、診察を受けたところ食道にあることが分かった。処置中胃に落ち、翌々日排便時に原型のまま出てきた。(95年5月 68歳男)
●事例5
高血圧や心臓の薬をまとめて5個手にのせてテレビをみながら一度に飲んだところ、食道に痛みを感じた。包装アルミが1個足りないので、近くの医者にかかり内視鏡でとってもらおうとしたが取れず、救急センターで胃カメラで取り出した。(96年9月 68歳女)
●事例6
常用している薬を飲んだ後、口や鼻から出血。救急車内で大量吐血した際、PTP包装されたままの錠剤が吐出した。搬送中に呼吸停止等重篤な症状となり誤飲性肺炎で入院した。(97年2月 63歳女)
●事例7
胃薬を銀色の包装ごと飲んでしまった。咽頭に異物感があり、カメラで異物が確認され、手術をするため入院した。
●事例8
病院で処方された薬を7種類飲む際、うっかりして1錠だけシートのまま飲んでしまった。手術で取り出し2日入院した。誤飲を招く形状は問題ではないか(97年9月 50歳男)

業界への要望

 PTP包装の事故の多発に対応して、平成10年以降に製造されるものはミシン目を縦か横どちらか一方向だけに入れるよう改善の申し合わせがされたところであるが、更にシートの材質を柔らかくて傷が付かないものや溶けやすいものにすることを検討してほしい。

消費者へのアドバイス

  1. (1) 薬を服用する際に注意が他に向けられていると、薬の包装(特にPTP包装)を誤飲することがある。ゆとりを持って意識して服用すること。
  2. (2) このような事故を防ぐためには、PTP包装のシートを1個ずつバラバラに切り取らず、大きなシートのまま、中の薬剤を取り出すようにするとよい。
  3. (3) 薬を包装と分けて薬だけを紙などに広げ、薬だけであることを確認してから飲む習慣をつける。
  4. (4) 暗いところで薬を扱わない。

※この情報は、全国の消費生活センター及び協力病院から、国民生活センター「危害情報システム」に報告された事故情報を分析したもので、消費者に被害防止のための注意を促すことを目的に提供するものである。


本件連絡先 消費者情報部
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。