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[1997年12月5日:公表]

シーズン到来・・・大怪我になりやすい!スノーボードの事故

消費者被害注意情報(危害情報システムから)No.16

 近ごろ、人気がうなぎ上りのスノーボード。日本スノーボード協会によると、スノーボード人口は現在約80万人。98年2月開幕の長野からオリンピックの正式種目にもなり、ますます注目されることが予想される。しかし、このスノーボードによる事故が危害情報システムに多数寄せられている。しかも1995年度以降急増、96年度はそれまでスノーボードよりはるかに多かったスキーの事故件数を抜いた。そこで、本格的なシーズンに入る前にスノーボードによる事故の実態をまとめ、消費者に事故の未然防止を呼びかけることにした。

事故の概要

95年度以降、急増! スキーによる事故より多くなった

 危害情報システムに寄せられたスノーボードによる事故情報は、92年度〜97年度の5年半に375件(スキーは同期間で765件)。このうち、協力病院から寄せられた情報は 368件、全国の消費生活センターに寄せられた情報は7件である。  年度別に見ると、92年度1件(スキーによる事故:110件)、93年度1件(同173件)だったが、94年度になると30件(同153件)に増加し、95年度は98件と前年度の3倍以上になった(同126件)。96年度は172件(同152件)で、初めてスキーによる事故より多くなった。97年度(10月現在)は73件である(同51件)。

表1 年度別件数
年度929394959697
スノーボード11309817273
スキー11017315312615251

20代男性が圧倒的に多い

 スノーボードの事故は、年代別にみると20歳代が375件中295件と圧倒的に多い(78.7%)。性別では男性が255件と多く、特に20歳代の男性だけで198件、全体の52.8%を占める。それに次ぐ10歳代の52件と合わせると10〜20歳代で92.5%になる。スキーによる事故が2歳から70歳代まで幅広く、男女の差も極端に開いていない(男性480件、女性285件)のに対してきわめて特徴的である。

表2 年代別・性別件数
年代10代20代30代40代
35198193
179751

けがは上半身に多く、骨折が100件以上も!

 けがの内訳は、「擦過傷・挫傷・打撲傷」が141件(37.6%)と最も多いが、次が「骨折」で118件(31. 5%)もある。以下、「脱臼・捻挫」70件、「筋・腱・血管の損傷」24件、「刺傷・切傷」15件で、「内臓損傷」と「神経・脊髄の損傷」が各2件、「頭蓋内損傷」が1件ある。

表3 けがの内訳(スノーボード)
けがの種類件数
過傷擦・挫傷・打撲傷141
骨傷118
脱臼・捻挫70
筋・腱・血管の損傷24
刺傷・切傷15
内蔵・頭蓋内損傷等5
その他2

 けがをした身体の部位で最も多いのが、「上腕(肩)・前腕」111件(29.6%)、次いで「頭部」58件(15.5%)である。さらに、「胸部」28件、「顔面」9件などを加えると、上半身で約70%を占める。(スキーによる事故は半数近くが「大腿・下腿」、「足関節」の「足部」である。)

表4 けがの部位(スノーボード)
けがの部位件数
上腕(肩)・前腕111
頭部 58
大腿・下腿 43
足部(足関節) 42
手・指 37
胸部 28
腰部・臀部 24
顔面・頚部 18
その他 14
表5 けがの部位(スキー)
けがの部位件数
上腕(肩)・前119
頭部 61
大腿・下腿249
足部(足関節) 83
手・指 73
胸部 55
腰部・臀部 44
顔面・頚部 59
その他 22

ジャンプして転倒、他のボーダー、スキーヤーと衝突など原因はさまざま

 なぜ、事故が起きたのか原因がわかるものは少ないが、「ジャンプして転倒したため」などジャンプ時にけがをしているケースが、わかっているものだけで62件(375件中、16.5%)ある。また、ほかのスノーボーダーと衝突して、あるいは、スキーヤーとぶつかってけがをしたケースが20件ある。  受診患者のうち、連絡のとれた56人に「けがの原因は何だと思うか」について聞いたところ、ほとんどの人が「自分のテクニックが原因」と答えた。自分の技量以上のことをしたり、無理をしたことがけがの原因と思っている人が多いようである。  一方、消費生活センターに寄せられている7件の情報は、「バインディングベルトが切れていたことと関係があるのではないか」、「バインディングの前ベルトが滑走中に外れ、修理したが再発」、「バランスを崩したときにバインディングが割れた」など製品の問題性を訴えているものが多い。

事故事例

事例1

スノーボードで滑走中、斜面の凸凹で転倒し、左肩部を斜面に打って負傷。左上腕骨骨頭脱臼骨折で入院。(95年1月・25歳 男性)

事例2

スノーボードでジャンプし、着地に失敗、転倒した。雪面にぶつかり、胸部を骨折。(96年1月・28歳 男性)

事例3

スノーボードをしていて転倒、後頭部を打ち、意識を失った。2ヶ月ほど経ってから頭痛がするようになり、さらに右足のしびれ、言葉のもつれがあるため受診。頭蓋内損傷で入院した。(96年1月・24歳 男性)

事例4

スノーボードで競争をしている最中、急斜面から緩斜面に切り替わる境目あたりで 逆エッジ(※) になり、背面側に転倒。かなりのスピードが出ていて雪面にたたきつけられたため、むちうちのようになった。(96年12月・23歳 女性)

※逆エッジ
スノーボードの滑走中、バランスを崩したときなどに、谷側のエッジが雪面にひっかかる場合がある。逆エッジといい、その反動で身体が投げ出され、後頭部を強打することが多い。両足をつかまれたまま思い切り後ろに倒されるのに似ていて、初心者のほとんどが経験するといわれる。
スノーボードによる初心者の死亡事故のほとんどは、この逆エッジによる後方転倒で、頭部を強打し、脳内出血を起こしたためといわれるので、注意が必要である。(日本スノーボード協会等編集『全日本スノーボード教程』より)

事例5

スノーボードで緩斜面で停止しようとしたとき、バランスを崩して転倒した。左手をついた際に関節を骨折した。

事例6

ハーフパイプ(※)でスノーボードをしていて、転倒し手首を骨折した。(97年1月・28歳 男性)

※ハーフパイプ
ドラム缶を縦半分に切ったような形に雪が固められたコース。この曲面を利用して技を競う。

事例7

スキーをしていたところ、スノーボードをしていた人と衝突。スノーボードが足にあたり、ひどい切り傷を負った。

事例8

スキーをしていたところ、後方から滑ってきたスノーボードの人にぶつけられて足をすくわれ、転倒し頭を打った。当初は意識がもうろうとして、気分が悪くなり、ほぼ一日安静を必要とした。頭痛は4、5日残った。(97年2月・33歳 女性)

事例9

スノーボードをしていて転倒。腹部、頭部を打撲し、ひ臓破裂で入院した。(97年2月・16歳 男性)

事例10

スノーボードをしていてバランスを崩し、転倒。左ひじじん帯損傷で入院した。(97年3月・20歳 女性)

事例11

スノーボードをしていて、ジャンプ台で飛んだところ、空中でエビぞり状になって、ボードが頭にあたり、そのまま転倒し、頭部を打撲した。(97年3月・19歳 女性)

業界の動き

日本スノーボード協会(JSBA)

 1982年に発足、文部省体育局生涯スポーツ課が所管する任意団体であり、国際スノーボード連盟の日本における唯一の加盟組織である日本スノーボード協会(JSBA)は、イベントや競技会の開催、インストラクターの検定・認定、公認スクールの普及、ゲレンデ開発などの事業を行っている。

 スノーボード人口の急増に伴う最近の事故の増加を重視し、同協会では、 指導者の育成が社会的急務であり、地区協会などと連携し、指導者の養成にさらに努める(注1) スノーボードパトロールの育成やスノーボードの安全に関する講師の派遣 雑誌等を通じてマナーやルールをスノーボーダーに呼びかけていくといった方策を打ち出している。

  • 注1:JSBAでは、バッジテストやインストラクターの試験を行い、合否を判定する「公認検定員( A・B・C級)」や 「インストラクター(A・ B級)」の資格制度を管理している。A級インストラクターはJSBA公認スノーボードスクール(スキー場に常設されているスクール)を、B級インストラクターは認定スノーボードスクール(非常設)を校長として開校することができる。現在、A級インストラクター資格所持者228名、B級インストラクター資格所持者は605名で、スノーボード人口の急激な増加にはとても追いつかないのが現状である。 なお、スノーボード滑走可能ゲレンデは、全国で553個所、そのうちスクールを設置しているスキー場は264箇所である。(JSBA公認・認定スクールのみではない)(1997年5月現在)

消費者へのアドバイス

スノーボードを始めるにあたって

  • スノーボードはストックを持たずに、バランス感覚を楽しむスポーツであり、また、ジャンプ等のフリースタイル的な滑り方もする。そのため、バランスを崩して上半身から転倒するので上半身のけがが多くなる。さらに、スノーボードは転倒時にボードが外れにくく、足に負担や無理がかかる場合が多いので、骨折などの大きなけがになりやすい。スノーボードは、一度事故が起きると大きなけがにつながる比率が高いということを知っておくこと。
  • 協力病院の受診患者56人に、どのようにしてスノーボードの滑り方を覚えたかについて聞いたところ、「自己流」や「友人・知人に習った」「ビデオやテレビ、本で覚えた」というケースが多く、スクールや専門の指導者にきちんと習った人は少なかった。スノーボードを初めてするときは、スノーボードスクールなどでインストラクターからの指導を受けることが望ましい。

用具やウエアについて

  • スノーボード用品を購入するときは、スノーボードについてよく知っている販売店や熟練者などにアドバイスを受けながら自分に合った用品を選ぶ。
  • スノーボードをするときの服装はファッション性だけでなく、安全性も考えること。頭や上肢のけがを防ぐために厚手のグローブや帽子を必ず着用し、肩当て、ひじ当てなどのガードもするようにしたい。特に、初心者は頭部に厚手のビーニー(ヘッドプロテクター)をかぶること。
  • 滑る前には、バインディングやビスが緩んでいないか、ボードなどに破損箇所がないかなど道具をチェックする。
  • 誤ってボードを流したりすると、他人にけがをさせる事故につながるので、リーシュコード(流れ止め)は忘れずに、必ず付けること。さらに、スケーティング(*)のときなど乗せた後ろ足が滑らないように、デッキパッド(滑り止め)も付けるようにしたい。

ゲレンデで

  • できるだけスノーボード専用ゲレンデを利用する。本来なら、スキー用ゲレンデとスノーボード用ゲレンデが分かれているのが望ましいが、現状では難しいと思われるので、自分の能力に適した斜ハ(斜度、広さ、混雑度)を選んで滑るようにする。
  • 自分の技術程度をよく知り、無理な滑走やジャンプはしない。
  • 他のスキーヤーやスノーボーダーに十分気をつける。転んだらその場に座り続けずに、コースの端へ。ほかの人の迷惑になるばかりでなく、衝突される危険がある。

もし頭を打ったら

 スノーボードは頭を打つケースが多いが、頭部を強く打つと、外傷はなくても脳に障害が起きたり、内出血している場合がある。頭を打ったら必ず専門医の診察を受ける(下記注のような症状があるときは特に注意)。
 また、前日に何回も転倒しているうちに頭痛が現われ、次の日になっても頭痛が残るという状態は、すでに頭蓋内出血が起こっていることがあり、次の転倒で大出血を起こす場合もあるといわれる。滑走前の頭痛は要注意である。
注:
1.異常な眠気 2.絶え間ない吐き気、むかつき 3.時間や場所、名前の混乱 4.激しい頭痛 5.手足の異常なけいれん 6.ものが二重に見える 7.鼻汁、耳だれ 8.腕、脚の脱力感、9.首の硬直

その他

 事故が起きた場合、自分だけの傷害ならともかく誰かを巻き込むと、相手への賠償責任を負うことにもなる。そんな万一の場合に備えて、スノーボード等を対象にした保険に加入するのも一つの方法である。自分のけがや第三者のけが、盗難や破損などの用具の事故が対象になっており、損害保険会社から発売されている。保険は、スノーボード用具店や旅行代理店でも扱っており、気軽に加入できる。

※ この情報は、全国の消費生活センター及び協力病院から、国民生活センター「危害情報システム」に報告された事故情報を分析したもので、消費者に被害防止のための注意を促すことを目的に提供するものである。


本件連絡先 消費者情報部
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。