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[1997年11月6日:公表]

下駄箱のミステリー?! ウレタン底の靴

消費者被害注意情報 No.11

 いくらも履いていない靴なのに、歩行中突然靴底が壊れた、ある日履こうとしたら靴がボロボロに欠けていた…。
 こんな苦情が、PIO−NETに 440件も入力されている(1997年10月26日まで)。それが原因で転倒しけがをしたケースもある。靴底がウレタン製の靴は、軽くてクッション性があり磨耗に強いが、使用頻度には無関係に一定期間が経過すると、靴底のウレタンが加水分解(※)を起こして破損するという欠点がある。長期の保管には適さない旨や、短期間でも保管方法に注意することなどを表示しているメーカーもあるが、苦情は一向に減少しない。

(※) 加水分解---ウレタンのような化合物が水・空気中の水分等によって分解する反応。


苦情件数(440件)

下表にみるとおり、苦情は増加の傾向にあり、96年度は65件であった。

年度8788899091929394959697*
件数1926374037435440556524

* 10月26日現在



靴の種類(440件)

紳士靴が最も多く71%を占める。また、テニスシューズ、ジョギングシューズ を含め運動靴が61件(14%) ある。

種類紳士靴婦人靴テニス
シューズ
ジョギング
シューズ
その他の
運動靴
その他
・不明
件数3144724162118


破損時の状況(分かっているもの294件の内訳)

78% (229件)は靴を履いているとき(歩いているとき)に靴底が壊れており、このうち4件はけが(足首から先・骨折1件、靱帯損傷1件、捻挫2件)をしている。
「靴を履こうとして」「保管中に」など靴を履く前に破損に気づいたのは22%(65件)であった。



購入から破損に気づくまでの期間(分かっているもの168件の内訳)

ウレタンの加水分解による劣化は、製造時点から始まるのだから、「製造から破損に気づくまで」の期間が重要なわけであるが、消費者には自分の買った靴がいつ作られたのかは分からないので、ここでは購入後の期間をまとめた。購入後2〜3年たって破損に気づくケースが多いが、購入後1年未満というものも 33件(20%) ある。「購入後1年未満」でも製造からはかなり経っていると思われる例も少なくない。

期間7日未満1月未満3月未満6月未満1年未満1年2年3年4年5年6年7年8年以上
件数88548122327132214816
4.84.83.02.44.87.113.716.17.713.18.34.89.5


相談事例

ケース1

2年前に買ってまだ2回しか履いていなかった婦人靴を履いていたら、突然靴底が破損した。その場で脱ぐわけにもいかず、しばらく歩き続けたところ、右足首を捻挫して歩けなくなってしまい、医者にかかっている。販売店に苦情を申し出たら「長い間履かないでおくほうが悪い」と言われた。(95年 67歳 女)

ケース2

買って2、3回履いただけのテニスシューズの靴底が割れて、足をくじいてしまった。(97年 35歳 男)

ケース3

6カ月前に購入した靴を履いていたところ、転んでしまった。靴底をみると、ウレタン製の底が欠けており、細かい亀裂が沢山入っていた。メーカーは「流通段階での保管の悪さなどにより靴底が劣化していたと思われる」と言っている。(93年 53歳 女)

ケース4

5年前に購入した紳士靴。冠婚葬祭用として大事に履いていたのに、底がひび割れ、歩いた足跡に粉状のものが落ちている。(96年 41歳 男)

ケース5

3年前、通販で2足セットの靴を購入。最近2足目を下ろしたら、履いて2日目に底が裂けて履けなくなった。(受け付けたセンターが問い合わせた結果、5年前の製造であることがわかった。)(96年 43歳 男)

ケース6

数カ月前店じまいバーゲンで、数足購入した紳士靴を順繰りに履いた。約20日間履いただけでいずれも底がボロボロになり、紙のようなかかとが出てきた。(96年 67歳 男)

ケース7

1年前に購入した夏用の紳士靴。箱に入れたまま置いてあった。履こうと思って取り出したところ底がボロボロで履けない。(97年 60歳 男)

ケース8

2〜3年前に購入した有名メーカーのスポーツシューズ。1、2回履いてしまっておいたら靴底がボロボロで履けなくなった。(受け付けたセンターが調べた結果、14年以上前に輸入された商品であることがわかった。)(96年 50歳 女)



靴メーカーの対応

全日本履物団体協議会傘下の業界団体である日本靴工業会に加盟する靴メーカーは、説明書に「発泡ポリウレタン底は(略)長期間の保管をすると使用回数にかかわらず経年変化を生じ、破損する場合があります。」と記載している。メーカーによっては、靴底にウレタン底である旨を表示したり、「風通しのよい場所に保管すること」「長期間の保管を避けること」などの説明書を入れているところもある。また、同工業会によると、近年ウレタンの中でも経年変化を生じにくい材質に変えるメーカーも増えているとのことである。



靴メーカーへの要望

靴底の破損による事故等を防ぐため、靴メーカーの関係団体に対し以下の要望をする予定である。

ウレタン底の長所を損なわず、かつ破損しにくい材質の靴底を開発し使用すること

ウレタン底の靴に以下の表示をすること

  1. 【1】靴底の材質がウレタンである旨
  2. 【2】ウレタン底は経年変化で破損する旨
  3. 【3】保管方法
  4. 【4】ウレタン底の品質保持期限(年月)

ウレタン底だけを簡単に安価に交換できるような靴の構造にすること



消費者へのアドバイス

ウレタン製の靴底は加水分解により劣化して破損するので、以下のような注意が必要である。

  1. 購入するとき、靴底の材質について表示を確認するか、表示がない場合は販売店で聞くこと
  2. 長期間の保管には適さない商品なので、購入したら頻繁に履くほうがよい。
  3. 短期間でも保管するときは、風通しのいい場所に置く。
    靴箱に入れる場合は箱の横に穴を開けて入れる(ビニール袋で保管するのは最も悪い)。雨の日に履いたら水気を拭き取っておく。
  4. 礼装用や季節性のあるデザインの靴などたまにしか履かない靴は、ウレタン底でないものを選ぶ。



※この情報は、全国の消費生活センターから PIO-NET(全国消費生活情報ネット・ワークシステム)に報告された消費者の申し出情報を統計分析したもので、消費者に被害防止のための注意を促すことを目的に提供するものである。


本件連絡先 消費者情報部
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。


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