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[1997年11月6日:公表]

靴の危険を見直そう!

消費者被害注意情報(危害情報システムから)No.15

 靴は、ほとんどの人が人生のほとんどの期間履き続けるものであり、しかも、全体重を支え続けるという重要な役割を担っている割には、とかく無造作に買ったり使ったりしがちな商品である。「たかが、靴」と思ってはならない。全国の消費生活センターには、靴による事故情報が数多く寄せられており、かつ急増している。以下に、靴による事故情報を分析した。

事故件数等

 靴にかかわる危害情報は、1989年4月〜97年8月の8年5カ月間に176件寄せられている。

年度別に件数をみると

94年度までは毎年度10件前後であったものが、95年度は40件と急増し、96年度も52件と増加した(表1)。

表1 年度別件数
年度899091929394959697
件数9131512811405216

* 97年度は8月までとする。

靴の種類別にみると

「紳士靴」17件、「婦人靴」84件、ジョギングシューズ、テニスシューズ等の「運動靴」71件、「雨靴」3件である(革靴で性別不明1件)。「婦人靴」が多いのは、ファッション性が優先されることが多く、他の靴に比べて転倒などのトラブルが起きやすいということであろう。

購入から事故発生までの期間は

最も多いのは「購入直後(新品の靴)」に事故にあったというもので55件、次いで「1週間以上1カ月未満」の36件である。「1週間未満」の13件を合わせると104件(64%・期間が分かる162件中)が、購入後1カ月以内の事故である。

事故にあった人を、性別・年代別にみると

男性49件、女性 101件、不明26件で、女性が男性の2倍以上である。年代は、30代38件、40代31件、20代26件の順に多い。20〜40代で64%(年代が分かる148件中)を占める(表2)。

表2 年代別男女別件数
年代 10歳未満10代20代30代40代50代60代70代
6121156621
442523251071
合計10162638311692

けがの種類・部位・程度は

「擦過傷・挫掾E打撲傷」78件、「皮膚障害」25件が多く、「筋・腱・血管の損傷」11件、「脱臼・捻挫」11件と続く。「骨折」も11件ある。
当然ながら「足首から先」のけがが 132件と最も多いが「大腿・下腿」8件、「腰部・臀部」7件と続き、「顔面」「腕・肩」「手」「頭」も3件ずつある。けがが足だけでなく体の各部位に及んでいるのは、転倒の結果である。
けがの程度がわかる 133件をみると、「医者にかからず」が67件(50%) で最も多いが、治療期間「1カ月以上」のけがも18件(14%) ある。

事故の概要

 靴による事故は、1.「靴」が直接、身体を傷つけた事故、2.靴が原因でバランスを崩した結果、身体を傷つけた事故、3.その他の事故に分けることができる。

「靴」が直接、身体を傷つけた事故( 104件)

中底からクギなどが出てきた(28件)

中底(靴内部の底面)やかかと部分から、クギ(16件)、靴の芯(6件)、針金(3件)などが突き出てきてけがをしたというもの。28件の靴の種類は、婦人靴12件、紳士靴6件、革靴で性別不明1件、運動靴9件である。

  • 2カ月前に購入し、通学に使用していた運動靴の中のプラスチック製固定板が、スポンジを破って露出し、足から出血した。(95年 15歳 男)
  • 1カ月半前に購入した牛革紳士靴の中底かかと部分から、びょうが出てかかとに刺さり出血した。靴底に打ってあるびょうのようだ。(96年 50歳 男)

靴の中に針などが刺さっていた(入っていた)(10件)

中底(3件)、かかと部分(2件)、ひも通し部分(1件)、つま先(1件)などに、針(9件)が刺さっていたり、ガラス片(1件)が入っていたためけがをしたというもの。10件の靴の種類は、婦人靴2件、紳士靴2件、運動靴6件(うち子供運動靴4件)である。

  • 男子用スニーカーを購入。かかとが痛いというので、よく見たら糸のついた針が斜めに刺さっていた。(95年 13歳 男)

縫い目が当たる、縫製が不良、材質が弱いなど(11件)

靴芯の縫い込み不良などの縫製不良や材質が弱い(6件)、縫い目が当たる(5件)などが原因でけがをしたというもの。11件の靴の種類は、婦人靴1件、運動靴10件である。

  • 布製のキャラバンシューズ風のスポーツ靴。くるぶしの下あたりに縫い目の段差があり、皮膚がむけ、医者にかかった。(92年 50歳 男)

材質や処理剤によるかぶれ、かゆみなどの皮膚障害(25件)

靴の材質やホルムアルデヒドなどの処理剤で皮膚障害が起きたというもの。
25件の靴の種類は、婦人靴10件、紳士靴1件、運動靴14件である。材質は、布14件、革3件、ゴム1件、不明7件で、布製の靴に多く起きている。治療に1カ月以上を要した皮膚障害も4件ある。

  • 買ったばかりのジョギングシューズを4時間はいたところ、その夜、足の甲がかゆくなり、靴が履けないほど赤く腫れ上がり、さらに右足に水疱ができ、やけどのような症状になった。皮膚科で診察を受け、靴の布か接着剤が原因ではないかと言われた。(95年 31歳 女)
  • 紳士用革靴を購入。会社に履いていったが、足裏から足指の先まで赤くなり、かゆみから痛みがひどくなり、指の付け根周辺は皮がむけてしまった。(96年 30歳 男)

靴が足に合わないことによる擦過傷など(30件)

靴が足に合わない原因は、「デザインに問題があると思われるもの」18件、「販売店の売り方に問題があると思われるもの」4件、「材質が硬すぎるなど」2件、「購入時の試着が不十分」4件、「製造上のミス」2件である。試着したとき足に合っているようでも、実際に履いてみると靴ズレなどが起きることが多い。30件の靴の種類は、婦人靴15件、紳士靴6件、運動靴8件、雨靴1件である。

  • 足首までのブーツを3時間ほど履いたところ、足首に食い込み、皮膚がむけて痛い。ストッキングもひきつれてしまう。(メーカーから履き口部の処理に問題があったとの回答あり。)(96年 40歳 女)
  • スポーツクラブで買った運動靴。革製なので伸びるといわれたが、きつめの靴で1時間運動したら、足を痛め、医者に爪が化膿していて抜けるといわれた。(93年 20歳 女)

靴が原因でバランスを崩した結果、身体を傷つけた事故(転倒や足をひねる事故)(55件)

靴底やヒールが滑りやすかったため転倒(28件)

かかとが丸く滑りやすい、脱げやすい形であるなど「デザインに問題があるもの」4件、材質が固いなど「素材に問題があるもの」2件、高さの違う靴を渡したという「フ売ミス」1件、靴の周囲に合成樹脂がついていて滑るという「製造ミスと思われるもの」は1件で、その他は、靴底やヒールが滑りやすいということ以外、詳細は分からない。28件の靴の種類は、婦人靴21件、紳士靴1件、運動靴4件、雨靴2件である。28件の中には「ノンスリップ」等の表示のある靴での事故が2件ある。

  • 柔らかい革製のタウン用スニーカーで底は固い樹脂製。売り場で滑らないか聞いてから購入した。翌日、職場の階段で滑って左ひじを脱臼し臀部を打撲した。(相談を受け付けた消費生活センターで確認したところ、大変滑りやすいタイプのものだった。)(95年 45歳 女)
  • 身体障害者用運動靴。靴の底と周囲に透明な合成樹脂の接着剤が付いていて滑りやすい。転んで頭を打ってしまった。接着剤は透明で気づきにくい。交換してもらったものも同様に滑りやすい(90年 74歳 男)

靴底等が破損したり取れたりしたためバランスを崩した(20件)

「ヒールが取れた(または)折れた」ため(8件)、「靴底が剥がれた(または)取れた」ため(5件)、「履き口のゴムが伸びた」ため(1件)、「マジックテープの縫い目が取れた」ため(1件)、「靴の甲が裂けた」ため(1件)バランスを崩したというもの。
このほか「靴底が破損した」ためバランスを崩してけがをしたというものが4件ある。この4件はウレタン製の底が加水分解により、劣化して破損した可能性が高い。(詳細は、消費者被害注意情報 NO.11参照)
20件の靴の種類は、婦人靴12件、紳士靴1件、運動靴7件である。

  • 履きはじめて1カ月の靴の、8cmのヒールが下から2cmのところで折れ、足を捻挫した。折れた部分を見るとそこまでしか芯が通っていない。(97年 40歳 女)
  • 1カ月前に買った紳士靴のかかと部が取れ、階段で滑って背広の右ひじに穴があき、ひじに擦り傷を負った。メーカーはかかとの釘打ちもれであることを認めた。(92年 年齢不明 男)
  • 革製のバスケットシューズ。購入して2カ月もしないうちに、底と甲のつなぎ目が壊れて、運動中に足を捻挫した。一緒に購入した友人の靴も同じ個所が壊れた。(94年 21歳 女)
  • 購入して2カ月の革サンダル靴。ビルの階段の滑り止めにつまづき、その時左足のヒール底のゴムが剥がれた。フロアーに降りたとき、ゴムの取れた左足が滑り、壁にひじを打ち、腕を骨折した。ヒールはプラスチック製。(96年 66歳 女)

金具や靴ひもが、もう片方の靴に引っ掛かったため転倒(4件)

金具やフック、靴ひもなどが、もう片方の靴のどこかに引っ掛かって転倒したというもの。膝の骨折(1件)、13針も縫う切り傷(1件)などの重症事故が起きている。靴の種類は、婦人靴1件、紳士靴1件(両方ともブーツ)、運動靴2件である。

  • 男児用のスノートレーニングシューズ(雪用運動靴)のプラスチック製フックが出過ぎており、歩くと左右のフックが引っ掛かる。購入後2週間で何度も転び、擦り傷を負った。よほど外股で歩かないと引っ掛かる。(96年 12歳 男)
  • ブーツを履いて出勤途中に、蝶結びのひもが反対側のひも掛けに絡み、階段を転がり落ち、足を13針縫うけがをした。(96年 39歳 女)
〔転倒事故は、重いけがが多くなる〕

転倒事故(51件) によるけがで最も多いのは「擦過傷・挫傷・打撲傷」(26件)であるが、「骨折」(10件)、「脱臼・捻挫」(8件)も多く、また「神経・脊髄の損傷」の1例では治療に1年以上要するものがあるなど、治療に1カ月以上要したというものが10件あり、重いけがが多いことが分かる。「骨折」は、胸、肩、ひじ、骨盤、くるぶし、かかとなど各部位に及んでいる。

その他の事故(17件)

上記のほか、靴の材質などについて消費者の知識が不十分であったことが事故の原因と思われるもの(8件)、靴に問題があるのか消費者に問題があるのか不明なもの(9件)がある。

  • 買ったばかりの底の厚いスニーカーを履いて、車のタイヤ交換をした時、レンチの先を誤って踏みつけた。底が厚いのに貫通して足の裏を縫うけがをした。(96年 41歳 男)
  • 健康によいという中底にボツボツのあるウォーキングシューズ。旅行で2日間履いて歩いたところ、かかとの内側が腫れ、痛みだし、医者に炎症を起こしているといわれた。(96年 55歳 女)
  • 歩けるようになった1歳の子供にベビーシューズを履かせ、散歩した。花火をしている脇を通ったが、帰って靴を脱がせると、足の裏をやけどしており、靴底に3カ所焼けた穴があいていた。(受け付けた消費生活センターがメーカーに確認したところ、このベビーシューズの靴底は薄いレザーに発砲ポリウレタンを貼ったものを使用。耐熱温度は 170度程度。本格的に歩き回ることは想定していない商品とのことである。)(93年 1歳 女)

消費者へのアドバイス

 中底からクギが出てきたり、靴に針が刺さっていたり、また、歩行中にヒールが取れたり折れたりして発生する危害を、消費者の注意で防ぐことはほとんど不可能であるが、以下のような注意できることだけでも十分注意して事故を防ごう。

「安全性」を靴選びの視点に加える

靴選びは、とかくデザインだけが重要視されだちであるが、「滑りやすくはないか」「ヒールは安定しているか」「引っ掛かりやすい突起物はないか」など安全性の視点から靴を選ぶ習慣を身につけよう。また、年をとると転倒事故を起こしやすいし、けがも重症になりやすい。年をとったらおしゃれより、安全性を重視して靴を選ぶようにしよう。例えば、ヒールの段差がなく、爪先は丸く、屈曲性の良い、軽い靴が高齢者に適している。

靴をきちんと履く

靴底がすり減ったままの靴は履かない、かかと部分を踏んで履かない、ひも靴はしっかりとひもを結ぶなど、当たり前の靴の履き方を守ろう。

靴によるかぶれを防ぐために

布靴に多いかぶれの主な原因であるホルムアルデヒドは水溶性なので、皮膚が弱い人は、水洗いができる製品なら1度洗ってから使うとよい。


※この情報は、全国の消費生活センターから国民生活センターの「危害情報システム」に報告された事故情報を分析したもので、消費者に被害防止のための注意を促すことを目的に提供するものである。


本件連絡先 消費者情報部
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