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[1996年10月24日:公表]

補整下着のトラブル<抜粋>

消費者被害注意情報 No.9

 「やせて美しいプロポーションになりたい」という痩身願望の高まりを背景に、「補整下着」の消費者苦情が急増している。補整下着とは、一般に、ブラジャー、ガードル、ボディスーツ等のように、体の線を保ち洋服の上からのシルエットを美しく見せる下着のことをいうが、ここでは、これらのうち、「着用すればやせる、体型を補整する、などの効果を特に強調して売られた下着」だけを「補整下着」と呼び、消費者トラブルの実態についてまとめた(1989年度以降受付、96年10月15日までの入力分)。


苦情件数の推移

「補整下着」の苦情は 8,181件で、年度別件数および苦情全体に占める割合は、ともに急増している。



契約当事者の属性(不明を除く)

 契約当事者の属性を下表にまとめた。ほとんどが女性で20代・30代の主婦や給与生活者が多い。男性の場合は、自分が使用するのではなくマルチ・マルチまがい取引や紹介販売をするために契約している例がほとんどである。



契約金額と支払い方法

  • 平均契約金額 約40万4,000円(不明を除く7,433件の平均)
    何種類もセットで購入している例が多いため、高額である。
  • 平均既支払い金額 約12万円 (不明を除く2,268件の平均)
  • 支払い方法(不明を除く)
    クレジット払い 5,613件 (88.4%)
    現金払い 740件 (11.6%)


購入のきっかけ(販売・勧誘方法)

 「補整下着」を購入するきっかけとなった販売・勧誘方法を図2に示した。

 家庭・職場への訪問販売、マルチ・マルチまがい取引、紹介販売の順に多い。約8割が他の人から何らかの販売勧誘を受けており、最初から自分で店舗に行くなどして購入した例は少ない

(注)

  • マルチ・マルチ、まがい取引とは、販売組織の加盟者AがBを加入させ、さらにBがCを加入させることを次々に行って組織を拡大していく販売システム。
  • 紹介販売とは、人を紹介することによって販売を拡大する販売システム。
  • アポイントメントセールスとは、販売目的を明らかにせず電話等で呼び出す販売手口。
  • キャッチセールスとは、路上等で呼び止めて営業所等に同行させる販売手口。
  • 他の無店舗販売とは、展示会販売等、他の項目に該当しない無店舗販売。
  • 電話勧誘販売とは、電話による契約を前提とした電話勧誘。


苦情内容

 「補整下着」の苦情内容を、主に何を問題にしているかでおおまかに分類した。

「契約・解約」、「販売方法」に関連した苦情が多く、「価格」と「品質」が続いている。以下、それぞれの項目ごとに詳しい内容をみていく。

販売方法(5,192件)

[家庭への訪問販売]
  1. 「下着のアンケート」「産後の体型について聞きたい」「電話によるアンケートに応じてくれたのでお礼に…」など、販売目的を隠して来訪する例が目立つ。なかには、保健婦と名乗って来訪した例もある。

    訪問すると下着を試着させ、その下着の「やせる効果」等を強調し、ときには強引に契約を勧める。「セットの方が割安」「セットでないとローンが組めない」「単品売りはしていない」「やせたときのためにワンサイズ下のサイズもまとめて買ったほうがよい」等の理由で、一度に多種多量の下着の購入を勧める。化粧品や健康食品を一緒に契約させる場合もある。高額なクレジット契約を組むにあたっては、「ご主人には内緒にしたほうがよい。皆内緒で買っている」と言うこともある。

  2. マルチ・マルチまがい取引、紹介販売

    「必ず収入になる」といった勧誘をする例が多い。

  3. 消費者が自ら店舗に出向いたケース

    「エステティックサロンの「無料ダイエットモニター募集」の折込広告をみて店に行ったところ、補整下着を買わなければ無料エステを受けられず契約させられた」「求人広告を見て出向いたところ補整下着を買わされた」という例がある。

  4. 「補整下着」の効果についてのセールストークの例
    • 着るだけで(数か月で)やせる。
    • 必ずサイズダウンして細くなる。プロポーションを整える。
    • 産後の体型補整によい。必ずもとのスタイルに戻る。今始めないと手遅れになる。
    • ぜい肉が移動する。下半身の肉が胸に移動する。着ているだけで胸やお尻の位置が変わる。
    • 着るだけで胸が大きくなる。
    • 脂肪を燃焼させて細くする。脂肪をとる。
    • 姿勢がよくなる。
    • 腰痛が治る。肩こりが治る。血行がよくなる。冷え性が治る。足のむくみがなくなる。
    • 便秘が解消する。

価格(2,245件)

 「価格が高すぎる」という苦情がほとんどである。セット契約が多いため、契約金額は非常に高額である。「単品注文したら単価があまりにも高かった」という苦情もある。

品質(1,097件)

 セールストークどおりの「効果がない」、という苦情が多い。「採寸したのに体型にあわない」「サイズが小さすぎる(動けないほどきつい、苦しくて着ていられない)」「ブラジャーのサイズが大きすぎる(動くとずれてしまう)」といった苦情も目立つ。なかには「オーダーメイドといったのにオーダーメイドではなかった」という例もある。

 「ボディスーツの金具やブラジャーのワイヤーが壊れた」「6ヵ月で糸がほつれた」といった品質そのものについての苦情もある。>(4)安全・衛生( 345件)

 大半( 290件)が「補整下着」を着用して何らかの危害(身体的な被害)を受けたという苦情である。苦情全体の危害の発生率が 1.1%であるのに比べると、「補整下着」の危害の発生率は 3.5%と非常に高い。

  1. 危害の内容

    皮膚障害が最も多く、約6割を占めている。その他、気分が悪くなったなど、様々な症状が起きている。なかには肋骨にひびが入った、足の筋を切ったといった重症例もある。

  2. 危害の程度

    医者の治療を受けたという例が52件もある。治療期間1ヵ月以下が43件と最も多いが、1ヵ月以上の重症例も9件あった。うち5件は皮膚障害で、他は「コルセットを着用していたら肋骨にひびが入った」「トイレできついガードルをあげようとして足の筋を切った」「腰痛が良くなると説得されて購入したが、1週間の着用でかえってひどくなり、寝返りができなくなった」「足の付け根部分の神経が、痛みや温度に対して鈍くなった」というものである。

  3. 危害の具体例
    • 湿疹ができた。かぶれないといっていたのにかぶれた。
    • 2日目からかゆくなり、申し出たら新陳代謝がよくなっているので2週間は着続けないと効果がないと言われ着続けたら黒くシミになった。
    • ブラジャーのワイヤー部分があたり1日でみみず腫れになった。
    • 締めつけが強くアザが残った。血が出た。血まめができた。
    • きつくて気分が悪くなった。息苦しくなった。
    • 胃が痛くなった。
    • 頭痛がする。
    • 腰が痛くなった。
    • 便秘がひどくなった。
    • 股関節の痛みがひどくなった。

契約・解約(6,626件)

 ほとんどが何らかの理由で「解約したい」と申し出てお り、返品や交換をめぐるトラブルも多い。その他、契約時に「書面を交付されなかった」「未成年のため年齢や職業を偽るように指示された」などの苦情がある。

<返品・交換をめぐる苦情例>
  • 湿疹ができたので返品しようと思ったら断られた。
  • サイズが合わないのに、返品・交換に応じない。
  • 「オーダーメイドなので解約できない」と言われた。
  • 「6か月たっても体型に変化がなければ全商品引き取る」という約束が守られない。
  • 「1年以内なら返品可能」と言ったのに、「交換はできるが返品はできない」と言われた。
  • 「いつでも返品できる」といったのに、「販売員がやめたのでできない」と言われた。
  • 「いったん使用したものは返品できない」とクーリング・オフ告知欄に記載してあった。
  • クーリング・オフしたのに「使用分を買い取れ」と言われた。

その他(接客対応 473件、表示・広告92件)

 「セールスマンの接客対応が悪い」「おとり広告ではないか」などの苦情がある。



相談事例(略)



問題点

「やせる」効果等をうたう

 あたかも下着を着用するだけでやせるかのようなセールストークを用いて販売するのは問題である。公正取引委員会は、「衣料品を着用するだけでやせることができるかのような表示は、不当景品類及び不当表示防止法(第4条第1号の規定)に違反するおそれがある」とし、このような表示を行っていた通信販売業者に対し、昭和63年12月警告を行っている。

 また、「腰痛が治る」といった薬事的効果をうたうことは、薬事法上も問題である。

体に悪影響を及ぼしかねない

 必要以上にきつい下着を無理に着て体を強く締めつけると、人によっては皮膚障害を起こしたり、血の流れを悪くしたり、内臓を圧迫したりして生理機能に影響を及ぼすことがあり、問題である。

一度に過量に販売する

 やせたときのためにと称して小さいサイズの下着まで大量に契約させるなど、一度に過量に販売し高額な契約をさせるのは問題である。

 また、「返品・交換に応じるから」と大量に契約させておいて、その約束を守らないのも問題である。



消費者へのアドバイス

「やせる」効果等を期待しないこと

 下着だけでやせることはあり得ない。「脂肪が移動する」「サイズダウンする」等のセールストークに惑わされないこと。

まとめ買いをしないこと

 「価格が高い」という苦情は多いが、高額になるひとつの理由として「まとめ買い」が挙げられる。「やせたときのために」と、ひとつ小さいサイズの購入を最初から勧められることもあるが、まとめ買いはしないこと。セットで一度に何種類も購入するのも避けたほうがよい。また、購入する前に、交換や返品ができるかどうかの確認をすること。

体に合わない下着を着ないこと

 「補整下着」による危害の発生率は他の商品に比べて高い。必要以上に締め付ける下着や体に合わない下着を無理に着るのは避けること。かぶれる・体調が悪くなる等のトラブルがあった場合は、すぐに着用をやめること。「着続けないとやせないと言われたから」「高額な出費をしたから」と無理に着続けるのは禁物である。

購入の意思がない場合ははっきり断ること

 突然セールスマンの訪問を受けて衝動買いをすると後悔することが多い。高額な買い物をする場合は、よく比較検討してからにすること。また、購入の意思がない場合は、はっきり断ること。

 また、マルチ・マルチまがい取引や紹介販売は、被害者が加害者にも成りうる非常に問題性の高い商法である。このような商法に安易に手を出さないこと。

解約したいと思ったら・・・

 訪問販売の場合、書面によるクーリング・オフの告知を受けてから8日以内、マルチ取引の場合は同じく14日以内(11月の訪問販売法改正後は20日以内になる)ならば、商品をすでに使用していてもオーダーメイドであってもクーリング・オフ(無条件解約)ができる。

 クーリング・オフ期間が過ぎている場合でも、勧誘方法等に問題があれば解約できる可能性があるので、早めに最寄りの消費生活センターに相談すること。




本件連絡先 情報管理部
ご相談は、お住まいの自治体の消費生活センター等にお問い合わせください。


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