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[1996年9月5日:公表]

「消費生活年報1996」の概要

 製造物責任法が施行されから1年を経過したが、消費者の安全にかかわる意識も高まり、また事業者の安全性に対する取り組みも目立っている。さらに行政も未然防止、被害救済のために体制を整備するなど消費者安全の実現に向けて、着実に前進している。

 一方、規制緩和や輸入品の増大により消費者の選択の幅が拡大すると同時に、消費者の自己責任と選択能力の向上が求められてもいる。

 国民生活センターでは消費者への情報提供・啓発を図ってきたが、あわせて多量な情報の中から自らが必要な情報を選択し、活用出来るよう、消費者教育の充実・推進が必要と考える。

 この度、当センターや消費生活センター等に寄せられた相談をはじめ、消費者問題に関するデータおよび国民生活センターの事業を収録した『消費生活年報1996』を刊行した。

 製造物責任法施行後の状況に関しては消費生活相談の諸相(2.)において、PL法施行後の事故情報の傾向、消費者、事業者の動き、乳幼児・高齢者の製品事故、さらにはあとをたたない問題商法の実態とその問題点等を取りあげた。

 なお全国消費生活相談(4.-1)、PIO-NET の相談(3.-2)当センターの相談(3.-3)を含む概要は以下の通りである。

PL施行後の事故情報

 PIO-NET に入力された商品事故情報は 4,931件(全入力相談の 1.8%)で、前年比 2,426件と約2倍も増加した。その原因は消費者の安全意識の高まり、センター等公的機関からの注意情報が多く公表されたことにより、潜在苦情が顕在化したと推測される。

 そこで製品事故を身体に拡大損害が発生した事故(危害情報)と物的拡大被害が発生した事故(物的拡大損害)に分け比較すると、危害情報は法施行前の 2,298件から 4,021件(1.7倍)、物的拡大損害は 207件から 910件(4.4倍) に増加した。例えば危害情報の多い商品は「化粧品」「美容」「健康食品」で他方、施行後増加した商品は「暖房器具」「靴」「スポーツ用品」など「商品事故」は増加しているが、内容は例年と類似し、PL法施行というターニングポイントを経た後も大きな変化は認められない。

 なお物的拡大損害では「衣類用防虫剤」のしみ、変色が圧倒的に多い。

PL法関連相談にみる消費者・事業者の動き

 国民生活センターが受けつけた PL法関連相談は215件から313件に増加した。しかし関心の高さはPL法の規定や解釈の問い合わせ、拡大損害を伴わない製品故障の申し立てなども多く、必ずしも正しい理解を意味するものではない。

 PL法関連相談における消費者の特徴は怪我をした時、製品の損害のほかに治療費を負担させるだけで和解する例が多く、精神的苦痛に係る損害を金銭に置き換えて請求することは苦手のようである。

 他方、事業者は素早く対応し、相談者との争いを避ける例が施行以前よりも多い。そのなかには苦情品を回収した後、センターなど相談機関に事故の原因などを報告せず、”事故隠し”で終わらせると疑われる例もある。さらに「製品設計上の問題」「警告表示上の問題」に係るトラブルの場合は争う構えを示し、相談処理が長引くのは従前と同じである。

全国消費生活相談統計

 全国の消費生活センターなどに寄せられた相談の総件数は50万件で、前年度比 5.1万件(11.5%)も増加した。相談は教養娯楽品、住居品、教養・娯楽サービス、金融・保険サービスなどに関する「商品」「役務」が48万件(96%)を占め、これまでと同様である。

 なお「安全・衛生」に関連する相談は前年度より1,407件(9.8%)増加しているように、消費者の意識や関心はPL法施行に伴い高まりつつある。

 同時に取り引き関係を含む消費者トラブル全般にわたる消費生活センターへの期待から相談全体が増えた結果、相対的に「安全・衛生」の比率が低下した。

 ところで近年、相談件数に占める特殊販売件数は増加しており、95年度は92年度に比べ7ポイント増の38.6%である。このうち「電話勧誘」の多い「通信販売」は「訪問販売」や「マルチ・マルチまがい取引」があまり変化していないのに対し29.8%と大幅に増加している。

PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)にみる消費生活相談

 1984年以降12年を経過し、収集量は全国消費生活センター相談件数の半数以上を占める。95年度は27万件(前年度比3.6万件増)で総計200万件となる。

 なお95年度の特徴は以下の通りである。

 年齢 20〜30歳代が中心。相談を持ち込んだ人は20歳未満、20歳代および60歳代以上で、契約当事者が多い。

 性別 女性6割 男性4割。ここ数年、男性の増加傾向にあったが、95年度は減少し、「女性」の割合が微増した。

 職業 給与生活者と主婦が約8割。しかし前年度と比べ減少し、かわって「無職」「学生」が微増した。

 内容 「商品」14.2万件「役務」12.3万件と全体の99%で、この傾向は変わっていない。その内訳では「教養娯楽品」「教養・娯楽サービス」の割合は高いが、はじめて後者は前年度比0.3ポイント減少した。

なお増加の一途を辿っている「資格講座」は相談全体の8.5%と0.3ポイント減少したが、件数では2,270件増加し、年間22,857件と依然、群を抜いている。

特殊販売相談件数は12.3万件で、前年度に比べ2.1ポイント増加、全相談の45.9%を占め、1988年度 以降、最も高い割合である。特に「通信販売」は大きいが、これは電話勧誘による「資格講座」に加えて化粧品、格安海外旅行の前払い通販の相談が多かったためである。

被害金額 契約・購入金額の合計は約2,400億円(前年度比18%増)と多額であり、年々増加している。その内容は「新築工事」「戸建住宅」「分譲マンション」といった住宅・建築関連商品が上位3位を占め、また既支払い金額も住宅・建築関連商品、高額商品、金融関連商品など前年度の傾向と同様である。

国民生活センターの消費生活相談

 相談件数は6.9千件、4.9%減少したが、これは前年度、大震災に関する「特設相談」を実施したためであり、通常の相談ベースで比較すると今年度は3.0%増加している。

 相談内容では「契約(解約)」が4割強と最も多くなっているが、他方「販売方法」も2.5割とここ数年増加傾向にある。これは資格講座、海外旅行の契約、化粧品の代金前払い販売などによる「通信販売」が5割強と著増したからである。また長引く不況から内職・副業を含む「訪問販売」も増加し続けている。

 しかし「マルチ・マルチまがい取引」は93年度以降、減少傾向が続いている。なお資格講座に関する相談では「二次被害」の増加が特に目立っている。これら電話勧誘販売は「訪問販売等に関する法律」の改正により、96年11月から規制対象となることから、被害の減少が期待される。

危害情報

 国民生活センターが収集した「危害・危険情報」は 1.6万件で、前年度比で 2,831件(20.8%)増加した。このうちセンター情報は「危害」1,399件(61.4%)、「危険」818件(34.3%)、総計2,217件(47.5%)に対して、病院情報は 614件(6.9%)の増加にとどまった。

 こうしたセンター情報の大幅な増加はPL法施行による消費者の安全性に対する関心が高まったからとみられる。ただ「危害」および「危険」の発生商品をみると「化粧品」「美容」「健康食品」「自動車」「テレビ」といったように、項目やその順位は前年度と同様であるが、「危害」では20歳代を中心とした女性が圧倒的に多い。


書名 :
消費生活年報1996
B5版、260ページ、定価 2,400円(消費税込み)
発行日 :
1996年8月25日
編集・発行 :
国民生活センター
目次
1 変動する社会と消費生活
(1)経済社会の変化と消費生活
2 消費生活相談の諸相
(1)PL法施行後の事故情報の傾向
(2)乳幼児・高齢者に多い製品事故
(3)PL法関連相談にみる消費者・事業者の動き
(4)同一人が次々と狙われる多重被害
(5)増加を続ける悪質電話勧誘被害
(6)内職商法・アルバイト商法の消費者被害
3 国民生活センターの事業
(1) 国民生活センターの事業概況
(2) PIO−NETにみる消費生活相談
(3) 国民生活センターにおける消費生活相談
(4) 危害情報事業
(5) 情報収集事業
(6) 商品テスト事業
(7) 普及啓発事業
(8) 情報プラザ業務
(9) 研修事業
(10)消費生活専門相談員資格制度事業
(11)国際関連業務
(12)調査研究事業
(13)消費者苦情処理専門委員会業務
4 消費生活関連資料
(1)全国消費生活相談統計
(2)全国商品テストの概要
(3)全国消費生活センターにおける啓発事業
(4)消費生活関係調査報告書等抄録
(5)消費者団体の概要
(6)消費者問題年表(1995.4〜1996.3)
  • ※本報告書の有償配布は終了しました。