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[1996年8月26日:公表]

使用等に注意 スプレー(はっ水剤配合)剤− 防水・防錆・防汚剤−<抜粋>

苦情処理テストからNo.2

 近年、防水スプレーを使用し、ミスト状になったスプレー剤を吸い込んでの中毒事故が増加し、その中には死亡した事例もあった。厚生省では研究班を設け事故の実態把握に努め、94年5月、防水スプレーによる健康被害の防止に関する研究報告がまとめらた。現在では、防水スプレー製品の多くには‐  今回、防錆スプレーを使用して胸苦しさを感じる事例が発生し、この事例に関してテスト依頼があった。テストした結果、防水スプレーと類似のはっ水剤が使用上注意を要するものであった。

 このような中毒事故は当該品に限らず、同類のはっ水性のある樹脂を含むスプレー剤でも起こる可能性があると考えられる。そこで、苦情品に加えて、はっ水性の樹脂を含み、防水、防錆、防汚などの目的で使用されるスプレー剤に関し、安全性の観点からテストを実施し、同種の事故の再発防止を図るために情報提供することとした。

はっ水剤が配合されたスプレーの安全性に関わる品質上の目安

 現在のところ、はっ水剤が配合されたスプレーを吸い込んだ場合の安全性に関わる品質基準はない。ただ、防水スプレーを使用中あるいは使用後に呼吸困難に陥った、手足がしびれたなどの中毒事故等が出たことから、93年度、厚生省では厚生科学研究班を設け、その原因の究明と安全性向上のための検討を行った。防水スプレーによる事故は、はっ水剤として主に使用されているフッ素系樹脂によって発生している場合がほとんどであった(厚生科学研究班による)。しかし、動物実験ではシリコン樹脂でも量が多い場合に肺の障害が認められ、スプレー粒子が肺の深部にまで吸入されれば、はっ水剤の種類にかかわらず、肺に悪影響を及ぼすものと考えられている。94年5月、噴射されたはっ水剤の粒子径が10μm以下だと、吸い込んだ場合に肺胞部まで達する可能性が高くなり、また、加工対象物に付着する率が低いと、使用者が吸入し障害を受ける可能性が高くなるとの研究報告がまとめらた。この中で、製品開発における留意点として、以下のような安全を確保するための目安値(以下「安全目安」という)が提案されている。

  1. (1)噴射距離10cmでの5分後の付着率:20%以上
  2. (2)10.0μm以下の粒子割合:0.6%以下

 防水スプレーに限らず、はっ水性の樹脂を含むスプレー剤は、「安全目安」を満たした製品の提供が必要と考えられる。

テスト結果の概要

テスト対象銘柄

 事例1に示した防錆スプレーに使用されていたはっ水剤はシリコンオイルであり、付着率、粒子径ともに「安全目安」を満たしていなかった。

 同類の商品でも事例と同様な事故が起こる可能性があるので、スプレー剤のうち、被加工品の表面にはっ水性の樹脂で被膜を作るスプレー剤製品について、神奈川県・東京都下の量販店を中心に調査し、事例1の象とした。

 テスト対象商品を用途、被加工対象物により(1)繊維防水、(2)皮革防水、(3)その他の3分類とした。 分類のうち「繊維」は皮革には使用できないとの表示がある製品、「皮革」は皮革をはじめ繊維にも使用可能な製品、「その他」は繊維や皮革などの衣料用や靴やカバン以外の用途に使用するものとした。 防水スプレーには、はっ水剤としてフッ素樹脂、シリコーン樹脂などが使用されているが、同様の成分を配合した製品でも、被加工対象物が異なる場合は、使用目的も異なり、防錆剤、防汚剤、潤滑剤として販売されている。

 配合成分としては、被膜剤としてフッ素樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンオイル、アクリル樹脂など、樹脂を溶かす溶剤としてヘキサン、イソプロピルアルコールなど、噴射剤とぞ 噴射剤として炭酸ガスを使用した製品は、一般に粒子径が大きく安全性が高いといわれ、繊維用の防水剤は炭酸ガスが使用されていたが、皮革余の防さび剤などの製品で炭酸ガスを使用した製品はなかった。

テスト結果(まとめ)

 今回のテストでは、安全性に関係のある項目として、(1) はっ水剤など樹脂成分の定性(2) 付着性試験(3) 粒子径の3項目について測定を行って、現在販売されている製品が94年5月に示された「安全目安」を満たしているかどうか調べた。

  • 厚生科学研究によると、はっ水剤のうちフッ素樹脂、シリコーン樹脂について、動物実験を行った結果、中毒を起こす可能性があるとの報告が出されている。テスト対象23銘柄中17銘柄にはフッ素樹脂、シリコーン樹脂若しくはシリコーンオイル(以下「シリコーン系」という)が使用されていた。今回テストしたものの中では、安全に使用するために注意が必要な樹脂等を含む製品が、少なくとも7割あった。その他の樹脂(アクリル樹脂等)については、中毒の報告がないこともあり、動物実験での安全性の確認はなされていない。
  • フッ素樹脂、シリコーン系が使われている銘柄の中で、付着性及び粒子径について「安全目安」を参考に調べると、繊維用の2銘柄は表示噴射剤が炭酸ガスで、付着率、粒子径とも「安全目安」を満たしていた。
  • 皮革用の12銘柄のうち、フッ素樹脂、シリコーン系が使用されている10銘柄は、付着率ではいずれも「安全目安」を満たしたものはなかったが、粒子径では4銘柄が「安全目安」を満たしていた。
     付着率、粒子径とも「安全目安」を満たしていないものは10銘柄中6銘柄あった。
  • その他のスプレー剤9銘柄中、フッ素樹脂、シリコーン系が使用されているのは5銘柄で、このうち、3銘柄は付着率で「安全目安」を満たしていた。ただ、暑写評以上のように、皮革用及びその他のものの中でフッ素樹脂、シリコーン系が使用されている15銘柄は、付着性及び粒子径の安全性の目安を同時に満たす製品は無く、一度に大量に使用しない、ゾ ただ、付着率を第一に考えれば、皮革用は付着率で「安全目安」を満たす銘柄はなく、はっ水剤の微粒子が浮遊している割合が高いので、使用に当たっては吸入しないよう特に注意が必要である。

消費者へのアドバイス

 はっ水剤を含むスプレー剤は吸い込まないように注意して使えば、中毒事故の危険を回避出来る。使用等に当たっては次のことに留意する。

  1. (1)スプレー剤の使用に際しては、はっ水剤や溶剤の種類によっては、吸い込んだ場合に中毒を起こすことがあることを知って、室内や車内等の狭い場所では使用しない。
     戸外で使用する場合でも、風向きを考えて、風下に向かって使用する。
  2. (2)皮革用のスプレー剤は今回テストしたところでは、付着率が低く粒子径が小さいので、特に取扱上の注意を守り、屋外で使用し、一度に大量に使用しないなどの注意が必要である。
  3. (3)体に異常を感じたら直ぐに使用をやめ、場合によっては医師の手当てを受ける。
  4. (4)フッ素樹脂配合の製品は使用中及び使用後にタバコを吸わない。また、ヒーターの前で使用するなどにより、パーフロロイソブチレン(青酸ガスより猛毒)などの毒性の高い熱分解物を吸入する危険性があるので、火気のある所では使用しない。

本件連絡先 商品テスト部
電話 0427-58-3165