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[2009年3月18日:公表]

利殖商法−「ほんとに未公開株はもうかるの?」の巻

  • 登場人物
    • 年金生活者 年金 太郎(70歳代)
    • 未公開株の販売会社XYZ社の営業員 瓜 コミ男(20歳代)

ナレーション

半年ほど前のことです。ある日、太郎さんの自宅に、かねてから何度も電話をかけてきていた、大学の後輩という瓜コミ男から、また電話がありました。
コミ男:
もしもし、年金さんのお宅ですか。先日お送りしたパンフレットはご覧いただけましたでしょうか。
太郎:
いやあ、まあざっと見たが、よくわからんよ
コミ男:
この「ABC社」という会社は、新しいメディアシステムを開発しまして、日本だけでなくヨーロッパにまでも事業を拡大しています。今、上場に向けて準備中なのですが、資金を集めるために限定した人にだけ株を譲っているのです。上場すれば、何倍にも値上がりすることは間違いありません。
太郎:
たしかにパンフレットは立派だし、大きな会社のようだが・・・。
コミ男:
先輩だから特別にお知らせしたんですよ。今は世界的に不況で、日本でも大企業が人員削減をするような大変な時代です。ですが、このような時代でも大きな利益を出している会社もあるんですよ。特にインターネット関連の企業は、日の出の勢いですよ。
太郎:
そういうことがあるかもしれないなあ。だけど、リスクの大きなことや難しいことはやりたくないよ。
コミ男:
いえ、もう、利益が出るのは決まったようなもので、何の心配もいりません。
太郎:
そんなうまい話があるものか、やめとくよ。今は妻が病気になって、看病で大変なんだ。面倒なことはできんよ。
コミ男:
それならなおさらです。1度お会いして詳しく説明させていただければ、こんなによい話はないことをわかっていただけると思います。お願いします!ぜひ、話を聞いてください。
太郎:
しょうがないな、聞くだけだよ。

ナレーション

太郎さんは、瓜コミ男という青年が大学の後輩ということですっかり信用し、孫と同じような年齢で営業に苦労しているのだろうと思い、聞くだけのつもりで1度会うことにしました。そして、コミ男がたずねてきました・・・。
コミ男:
今日はありがとうございます。私の勤める会社は、今までに何度も上場前の株を販売し、お客様に喜ばれております。少しでよいですから買いませんか?後悔させませんよ。
太郎:
いやいや、話を聞くだけだといっただろう。
コミ男:
しかし、こんなよい話は誰にでもできるわけではないのです。株の発行会社にしてみれば株主となるわけですから、信用の置ける方に売りたいのです。先輩を信頼して、特別によい話を持ってきたんです。
太郎:
そうか。誰にでも売っているわけではないんだね。
コミ男:
もちろんです。限られた人だけです。欲しがっている人はたくさんいらっしゃるのですが、お断りしている状態なのですよ。
太郎:
そんなに人気があるのかね。うーん、そうは言っても、すぐに動かせるようなまとまったお金はないよ。
コミ男:
金利の低い定期預金を1つ崩していただければ十分です。上場後には3倍、いや4倍にもなりますよ。私がすべて責任を持ってサポートしますので、10株200万円ほど、なんとかなりませんか。
太郎:
妻も病気になって金がかかるし・・・。たしかに今のままじゃ、ちょっと老後が心配だからな。じゃあ君を信じて200万円ほど買ってみるか。
コミ男:
ありがとうございます。必ず、よかった!と喜んでもらえると思います。上場は3ヶ月後の予定です。楽しみにしていてくださいね。

ナレーション

その後、半年が経ちましたが、瓜からは何の連絡も入りません。そこで・・・。
太郎:
もしもし、年金といいますが、瓜さんはいますか?
XYZ社:
瓜は辞めました。
太郎:
ええっ、やめた!しょうがないなあ。じゃあ、君でもよいが「ABC社」は上場したかね?必ず上場すると言われて、株を買ったんだが。
XYZ社:
まだのようですね。もうしばらくお待ちください。
太郎:
話が違うじゃないか。困るよ。
XYZ社:
そう言われても・・・。上場は約束されたことではないですから。

ナレーション

太郎さんは不安になり、「ABC社」について調べてみました。しかし、実体がよくわかりません。そこで思い切って「ABC社」へ直接電話をかけてみました。
太郎:
もしもし、私は御社の株を持っている者ですが。半年前にもうすぐ上場すると言われて株を買ったんだが、まだ上場しないのかね?
ABC社:
そのつもりだったんですが、ご存知のように急に世界的に不況になってしまい、見合わせているのですよ。いつになるかわかりません。
太郎:
それは困るよ。約束が違う。じゃあ買った金額で引き取ってくれないかね。金がいるんだ。
ABC社:
それはできません。うちも今大変なんですよ。

ナレーション

困った太郎さんは、その1週間後、あらためてXYZ社に電話をかけてみました。しかし・・・。
XYZ社:
「おかけになった電話番号は使われておりません。」(テープの音声)

ナレーション

そこではじめて、太郎さんは瓜という人間にだまされたのではないかと気づきました。そしてやっと、太郎さんは消費生活センターに相談に行くことにしました。

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