人工日焼けでやけど

 若い女性の顔黒ブームは下り坂だといわれますが、「海に行く前に焼いておきたい」とか、 男性は「健康そうに見える」「就職活動に備えて、男らしく」などの理由から、 日焼けサロンなどで手軽に人工日焼けをする若者が多いようです。 しかし、安全・安心を宣伝している日焼け機器を使った人工日焼けでの危害が、ここ数年増えており、 深刻な被害も少なくありません。
 日焼けサロンのほか、スポーツクラブ、エステティックサロン等に併設されているタンニングマシンと、 通信販売等で売られている家庭用日焼け器も併せると、人工日焼けをする人はかなりになると思われます。
(ここでは、タンニングマシンと家庭用日焼け器を併せて「日焼け機器」といい、それによる日焼けを「人工日焼け」といいます。)


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特徴
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10代の女性に多い
 人工日焼けによる危害情報は55件(消費生活センターから46件、協力病院から9件)寄せられており、98、99年度は、それぞれ年間12件になっています。
 55件のうち、「タンニングマシンを利用した日焼けサロン等」での危害が47件、「家庭で使用した日焼け器」による危害が8件あります。
 性別では、女性対男性はほぼ3:1の割合で女性が多く、年代別では、10歳代、20歳代が大半です。

照射直後は自覚症状がなく、あとからひどいやけどに
 危害の内容は、「やけど(熱傷)」と「皮膚障害」がほとんどです。皮膚障害の多くは、赤い斑点が出るなどやけどの症状が軽い状態です。 全身症状の悪化で点滴や入院治療を受けた例など、やけどの重い例が少なくありません。
 多い部位は「顔」と「全身」です。
 症状の現れ方は、日焼け機器で照射してしばらくは特に自覚がないか、または肌が赤らんだ程度で、数時間後、半日後、または翌日になってから、腫れ・痛み・水ぶくれなどのひどい症状が出てくるのが特徴です。
 また、やけどや皮膚障害と併せて、「嘔吐」「気分が悪くなった」などの症状や、中には「気を失った」例もあります。ほかに「眼痛」「目がチカチカする」など「眼の障害」を訴えている例も少なくありません。


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実例
CASE1
 電話帳で調べて、初めて日焼けサロンへ行った。2日後までに黒くなりたいができるかたずねたところ、「弱いマシンから強いマシンまで入りましょう」と言われ、約15分くらいずつ5台のマシンに入った。照射したときは肌が赤いだけだったが、夜になって痛くなり、はれ上って眠れず、翌日医者へ行った。紫外線による皮膚炎、数日の安静と2週間の通院治療が必要との診断書が出た。
(1999年 15歳 女性)
CASE2
 就職の面接試験の印象を良くするため、日焼けサロンでサービスを受けた。続けても大丈夫と言われたので、1日目は1回(40分)、翌日は2回分続けて(80分)受けたところ、全身真っ赤で軽いやけど状態になった。
(1997年 26歳 男性)
CASE3
 雑誌広告を見て購入した日焼け器(9800円)。説明書を読み、36cm以上離し、1回10分間などの注意事項に従って使用したが、翌日顔が水ぶくれになり、病院で治療に1ヶ月くらいかかるやけどと診断された。  
(1997年 17歳 女性)
     

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対策
   
その1
業者は安全を強調するが…
 日焼けサロンの案内や家庭用日焼け器の広告などでは、「安心・安全で美しく日焼けできる」という売り込みで、「B波紫外線の多い太陽光による日焼けは有害、A波紫外線中心の日焼け機器は無害または有益」と、紫外線に関して間違った情報を提供しています。
 専門医の説明でもわかるように、日焼けは太陽光によるものでも日焼け機器によるものでも、肌や眼にダメージを与え、長い年月が経ってから、皮膚障害の誘因になるという危険性に変わりはないといえます。
 また、危害情報に寄せられた事例では、事業者の利用者に対する説明や対応、サービスに問題があるケースも見られました。

その2
人工日焼けを考えている人へ
 人工日焼けだから安全で美しく日焼けできるわけではありません。何年も経ってから、免疫力の低下、皮膚の老化を起こし、皮膚疾患などの誘因になるという、人工日焼けの人体に与える作用(リスク)を自覚してください。下焼きでも、結局は肌へのリスクを高めることになるのです。
 また、人工日焼けは、照射しているときはヒリヒリしない、タンニングマシンによっては送風機能により熱くないなど、紫外線を照射し過ぎても自覚がないので注意が必要です。
 ファッションとして行うにしても、照射後まもなくやけどなどの危害が起きている事実や、長期間を経て起こるトラブルを考え、慎重に検討しましょう。
 人工日焼けで照射後、体に異常が現れたら、まず医師の診断を受けましょう。 トラブルについては消費生活センターに相談しましょう。

その3
人工日焼けをしてはいけない人
 次のような人は、特に注意が必要です。
  • 紫外線に過敏な人、太陽光線でまったく日焼けできない人
  • 湿疹、皮膚炎、外傷など肌に異常のある人
  • 病気治療中の人や投薬を受けている人
     医薬品の中には内服・外用ともに紫外線に反応する感光性物質といわれるものがあり、 肌にダメージを与えたり、アレルギー反応を起こしたりすることがあります。 (ごく一例をあげれば風邪薬の抗生物質、水虫治療の抗真菌剤、アレルギー治療の抗ヒスタミン剤など)
  • 1ヶ月以内にX線検査を受けた人
  • 目に障害のある人

事業者への要望
(1)人工日焼けの人体に与える作用(リスク)を、消費者に十分に説明し理解させて行うこと。
(2)日焼けサロン等のサービス施設では、消費者にタンニングマシンの使用方法を十分説明し、使用中の管理を徹底すること。

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コラム
勧められない人工日焼け(専門医の見解)
 現在日焼けサロン等で使われている日焼け機器は、「皮膚に有害なB波を抑え、安全なA波を主に照射する日焼け」がうたい文句です。しかし、日焼けとは紫外線(UV)による皮膚障害の結果起こる反応であり、作用が比較的弱いとされるA波でも、まったく皮膚障害を起こさずに日焼けできるものではありません。

A波とB波
 紫外線の影響をみると、B波は皮膚表面に赤く炎症を起こしたり、水疱になったりするやけど症状(サンバーン)を引き起こします。
 一方、日焼け機器の主な光線であるA波は、長時間、大量に浴びると、しみやそばかすができるだけでなく、免疫力の低下や皮膚の老化を起こしたり、光アレルギーなどの皮膚疾患になりやすいのです。また、大量に照射すると赤く斑点になり、やけど症状を起こします。B波に比べるとこの作用が1/1000と弱いので、安全に日焼けできるとの誤解が生まれるのです。
 さらに、B波に比べれば軽度だと言われますが、動物実験では皮膚ガンの発生も報告されています。

人工日焼けによる症状
 サンバーン様のやけどが多いのですが、これはA波が主であっても、急激に長時間照射を行ったためと思われます。また、眼の障害も問題です。顔を均一に焼くために、眼の保護のための紫外線防御ゴーグルを着けない人が多いのですが、白内障や網膜障害の原因になります。

メリットはあるか?
 海などにいく前に日焼け機器で“下焼き(前焼き)”することで、急激なサンバーンを防げるのではないかという考えがありますが、最終的には紫外線を浴びる量と時間が増えるわけで、前にあげた皮膚疾患や発ガンの恐れが高くなるといえます。

2000年8月発行「くらしの危険No.239」より