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[2018年8月27日:掲載]

勧誘時の説明とは異なっていた建築士資格取得講座の受講契約トラブル

就活セミナーのアンケートに記載した電話番号をもとに勧誘され、建築士資格取得講座の受講契約をしたが、受講内容が当初の説明とは異なるため解約したところ、高額な解約料を請求された事例を紹介する。


相談内容

 大学在学中に、大学の教室に資格予備校(以下、業者)の担当者が突然やってきて「建築士資格に興味があれば説明したい」と言ってきた。このときはあいさつだけで終わり、個人情報は伝えていなかったが、後日、担当者から電話がかかってきた。「一度会って話をしたい」と言われ、数日後に担当者に会い、講座について話を聞いた。講座を受講した者の建築士資格の合格率が9割を超え、自分でもすぐに合格できるという説明を受けた。また、内定先の会社と提携があり、学生のうちに契約するとクレジット契約の支払いが安くなるなどと言われた。その日はそれで終わったが、後日、担当者から「契約日はいつにするか」と電話がかかってきた。興味はあったが契約をする気はなかったため、帰省することを理由に断ったが、「ちょうど(帰省先に)行く予定がある。その日に契約しよう」と言われた。

 後日、帰省先に担当者が訪ねてきた。その資格予備校は居住地に一番近い学校でも遠いことや、就職内定先の配属先も決まっておらず、通えるか分からないことなどを伝えたが「現住地域に新校ができる」「全国に学校があるから大丈夫」「いつでもインターネット授業が受けられる」と言われ、結局断り切れずに、学生専用のクレジット契約を組み、建築士資格取得に係る学科講座、製図講座等、総額約163万円の契約をした(以下、本件契約)。

 就職後、配属先に一番近い学校に通うことになったが、開講日は週2回であるうえ、片道1時間以上もかかるため、これまでに2〜3回しか通えなかった。また、インターネット授業にアクセスしたが動画は再生されず、受講できなかった。業者のスタッフに確認すると、いつでも受講できるものではなく、配信日が決まっているとのことであった。約1年後、転勤で契約時に住んでいた地域に戻ったが、新規に開校するはずの学校は開校していなかった。当初の話と違うため解約を申し出たら、約70万円を請求された。納得できない。

(20歳代 男性 給与生活者)



結果概要

 国民生活センター(以下、当センター)は相談者から聴き取りを行い、業者に主張すべき勧誘時や契約時の主な問題点について次のとおり整理をした。

  • いつでも受けられると説明されていたインターネット授業がいつでも受講できるものではなかったり、学生のうちにしか利用できないクレジット契約を持ち出し、「学生のうちしか契約できない」などと契約をせかしたりしている。
  • 大学の就活セミナーの際にアンケートで取得した個人情報を講座の勧誘に利用している。

 また、本件は店舗外での契約で訪問販売に該当するにもかかわらず、クレジット契約書面に「店舗契約」との記載があった。このことからは、個別クレジット契約のクーリング・オフによって、原役務契約もクーリング・オフが可能(クーリング・オフ連動*1)と考えられたため、前記問題点を踏まえたうえで、当センターより、業者に本件契約はクーリング・オフが可能であることを伝えた。

 当センターの主張に対し、業者は本件契約の勧誘方法や説明内容に問題はない旨の主張を終始繰り返す状況であった。また、個人情報の利用についても、「勧誘に利用することは利用目的にも記載しており問題はない」などと主張した(利用目的の記載を確認するために、アンケート書面の提出を求め続けたが、はぐらかし続ける状況であった)。

 当センターでは業者がクレジット契約と原契約の連動規定について十分に理解していないと考え、改めて業者に説明をしたところ、「当社に問題はなくクーリング・オフに応じることはできないが、弁護士と相談し、本件について契約の取消しを認める」との回答があった。

 相談者が早期解決を望んだため、クレジット会社とのキャンセル処理が終わったことを確認後、本件あっせんを終了とした。

  1. *1 割賦販売法35条の3の10


問題点

 本件は建築士試験の合格をめざす講座の受講契約に関する相談である。こうした資格講座に関する相談では、本事例のような勧誘時の説明内容と実際に提供されるサービスとの違いによるトラブルが多く見られる。

 資格取得講座においては、どのような講義がどのように履修できるか、全講義を消化できるのかなどが、契約をするに当たって大きな判断要素となるが、本件のように説明内容と実態に齟齬(そご)があるケースが少なくない。トラブルを防止するためにも、業者としては講座の内容、受講環境等について、丁寧な説明が求められる。

 また、本件のように、アンケート等、何らかの場面で本人から直接取得した個人情報を業者が勧誘に使用することがあるが、個人情報の取得に当たって業者は利用目的(契約の勧誘に使用すること等)を明示*2しなくてはならない。アンケート等を記入する際に見落としがちであるが、個人情報でのトラブルに巻き込まれないためにも、アンケート等で個人情報を記入する際には、自分の個人情報がどのような場合に利用されるのかを確認するようにしてほしい。

  1. *2 「明示」とは、本人に対し、その利用目的を明確に示すことをいい、事業の性質および個人情報の取扱状況に応じ、内容が本人に認識される合理的かつ適切な方法による必要がある。



ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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