[本文へ] 消費生活・消費者問題に関する事例や対処方法を紹介しています。

現在の位置 : トップページ > 相談事例・判例 > 相談事例と解決結果 > 手相占いをした後に取り囲んで高額なネックレスを販売する事業者

[2018年2月28日:掲載]

手相占いをした後に取り囲んで高額なネックレスを販売する事業者

手相占いのみのつもりが「この人にはダイヤモンドがいい」と言われて取り囲まれ、正常な判断ができない状態で約50万円の契約をさせられた、という事例を紹介する。


相談内容

 「手相占い鑑定士を招き、格安で手相占いを行う」という衣料品販売店(以下、販売店)の新聞折り込みチラシ広告(以下、本件チラシ)を見て店舗に出向いた。手相占いでは「運命線が長い」「仕事もうまくいく」等と良いことばかり言われて気分が良くなった。その後、手相占い鑑定士が「○○さんはダイヤモンドを着けるといい」と催事場全体に聞こえるような大きな声で言った。すると、催事場にいた販売店の責任者らが寄ってきて、「これはどうか」等と言いながらダイヤモンドのネックレスを首にかけ、「とても似合う」等とほめた。「40万円にしておく。月々2万円でどうか」等と言われ、買わなくてはならない雰囲気のなか、気分が高揚していたこともあり、正常な判断ができないまま40万円のダイヤモンドのネックレスを買うことになった。

 さらに、別のネックレスも勧められ、結局断り切れず、約10万円のメノウのネックレスも買うことになり、ダイヤモンドのネックレスと合わせて総額約50万円の売買契約をし、24回払いのクレジット契約をすることになった。契約書の年収欄は多めに書くように言われ、言われるままに書いた。

 後日、ネックレスを身に着けていたところ、知人から「値段の割に光っておらず、おかしい」と指摘され、冷静になって考えると高過ぎると思うようになった。販売店に解約を申し出たが、「契約から1カ月経っているので解約できない」と言われ、販売店に指示されるままに月々の支払金額を少なくするためにクレジット契約を48回払いに変更した。その際、クレジット変更手数料として約1万円を請求された。

 しかし、そもそも販売店に行ったのは手相占いをしてもらうためであり、高額なネックレスの契約をするつもりではなかった。返品したい。

(40歳代 女性 給与生活者)



結果概要

 相談を受けた消費生活センター(以下、受付センター)は、まず相談者が見た本件チラシを確認した。本件チラシには手相占いを行うことは記載されていたが、ネックレス等の販売に関する明確な記載がなかった。このことから、販売店が相談者を販売目的を告げずに呼び出し、契約させたのであれば、アポイントメントセールスに当たるのではないかと考えた。

 受付センターは、相談者に販売店やクレジット会社に送るための契約に至る経緯と、契約解除を求める通知の作成を求めるとともに、国民生活センター(以下、当センター)に相談した。

 受付センターから相談を受けた当センターでも、本件チラシの内容や受付センターが相談者から聴き取った経緯を踏まえ、(1)本件チラシで占いと称して販売目的を告げないまま店舗に来訪させていること(2)現にネックレスを販売していることから、アポイントメントセールスに該当すると考えた。また、契約書等の記載内容が不十分であり、特定商取引法(以下、特商法)に基づく法定書面と、割賦販売法(以下、割販法)に基づく法定書面のいずれも交付されているとはいえず、売買契約ならびにクレジット契約のクーリング・オフの主張が可能であると考えた。

 その後、相談者の契約解除通知を受け取ったクレジット会社の支店から受付センターに連絡があった。クレジット会社は、本件について既に販売店から聴き取りをしていたようで、「店舗販売なのに何が問題なのか。ネックレスの代金は相談者の夫が全額支払うことに合意しており問題がない」等と主張し、協力を得ることが難しい状況であった。

 そこで、受付センターが夫に確認したところ、夫は突然販売店に呼び出され、「相談者がクレジット会社に連絡したので大変なことになり困っている。キャンセルできないので全額を払ってほしい」等と強く言われたようであった。

 そこで、当センターからクレジット会社本社に連絡し、アポイントメントセールスの該当性を指摘したうえで、割販法にのっとって販売店およびクレジット会社の支店の対応について調査するよう求めた。さらに、割販法に基づく法定書面が交付されているとはいえないこと、既に契約解除通知をクレジット会社に送っていることから、割販法35条の3の10第5項(個別クレジット契約のクーリング・オフを行うことにより、販売契約等についてもクーリング・オフされたものとみなされる)によって、売買契約も契約解除されるのではないかと伝えた。

 その後、販売店、クレジット会社がクーリング・オフを認めたので、相談者から商品を返品し、販売店からは内金が返金された。また、クレジット契約のキャンセル処理も行われ、クレジット変更手数料が返金されたため相談を終了した。



問題点

 アポイントメントセールスは、特商法施行令において「電話、郵便、信書便、電報、ファクシミリ若しくは電子メールにより、若しくはビラ若しくはパンフレットを配布し若しくは拡声器で住居の外から呼び掛けることにより、又は住居を訪問して、当該売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘するためのものであることを告げずに営業所その他特定の場所への来訪を要請すること」と定められている。

 本件契約においては、チラシにより宝石販売の勧誘であることを告げずに販売店への来訪を要請しており、アポイントメントセールスに該当すると考えられた。販売店は当初販売方法の問題点を認めていなかったが、訪問販売の法定書面を交付していなければ、本件のようにクーリング・オフ期間が過ぎている場合であっても販売店等にクーリング・オフの主張ができる。また本件のように、クレジット契約を結んでいる場合、割販法35条の3の10第5項に基づいてクレジット会社に対応を求めることが可能となる。

 しかし、本件はクレジット会社の支店の担当者の理解が不足しており、訪問販売の該当性を指摘しても取引の実態を確認せず店舗販売であると回答するなど、初期対応について問題がみられた。

 このように販売店とクレジット会社の両方の対応に問題がある事案の場合には、トラブルの解決に当たり、特に事実関係を詳細に把握したうえで契約の問題点をあぶり出し、その問題点を事業者に丁寧に指摘していくということが重要となる。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

相談事例と解決結果トップページへ

ページトップへ