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[2017年11月28日:掲載]

適合しない接続部品を使用し水漏れを起こしたドラム式洗濯乾燥機

配送・設置込みで購入したドラム式洗濯乾燥機の水漏れ事故において、設置の際、適正な接続部品が使われていなかった、という事例を紹介する。


相談内容

 家電量販店(以下、販売店)で、ドラム式洗濯乾燥機(以下、洗濯機)を自宅への搬入・設置込みで購入した。洗濯機の設置は、搬入の事前見積もりのために販売店が委託した配送業者(以下、配送業者)が行った。その後、約3カ月間は問題なく使用していた。

 ある日の夜、洗濯機をスタートさせて2階で就寝し、翌朝、1階に下りると、洗濯機の給水ホースと給水栓をつなぐ「接続部品A」が外れて水が漏れ、1階全体が浸水していた。販売店に連絡すると、配送業者とともに来訪し、洗濯機を再び接続した。「また外れないか心配だ」と伝えたら、「外れても水が止まる『接続部品B』に付け替えた」と言われ、その時初めて、そのような接続部品があることを知った。

 その後、販売店から「購入時に別売の接続部品Bを付けるかどうか確認したはずだ。事前見積もり時と納品時にも説明したが、不要と言われたと報告を受けている」と言われたが、こちらは接続部品Bの存在すら知らなかった、と伝えた。

 販売店は「洗濯機の取り付けに問題はなく、当社に責任はないため、補償はできない」と言うが、浸水による損害額は約350万円に上り、納得できない。

(50歳代 女性 家事従事者)



結果概要

 相談を受けた国民生活センター(以下、当センター)で、洗濯機の取扱説明書と施工説明書の記載内容を確認したところ、どちらにも次の内容が明記されていた。

  • 水道の給水栓の形状により、給水栓と洗濯機の給水ホースをつなぐ接続部品が異なる。
  • 洗濯機に付属の「接続部品A」が適合している給水栓は「横水栓」のみで、それ以外の給水栓の場合は別売の接続部品が必要である。
  • 適合しない接続部品を使用すると漏水事故のおそれがあり、保証の対象外になる。

 相談者宅の給水栓は、別売の「接続部品B」が必要な形状であった。

 相談者宅の給水栓に適合しない接続部品Aを使用したことが水漏れの原因である可能性が高いと思われたため、責任の所在等について弁護士の助言を受けた。その結果、「配送業者には不適切な接続部品Aを使用して設置した過失があり、相談者に対して不法行為責任を負う。一方、配送業者は販売店の履行補助者であり、販売店に対しても不法行為責任を問うことができる。また、販売店は設置サービス付きで商品を販売しており、契約責任を負う。相談者は、設置サービス上の瑕疵(かし)による損害として、販売店に対して損害賠償を請求できる」との見解を得た。

 これを踏まえ、当センターは販売店から話を聞いた。販売店は、「洗濯機購入時、搬入の見積もり時、洗濯機設置時の計3回、接続部品Bの購入を勧めたが、3回とも相談者が購入を断った」と述べた。一方、相談者は「一度も購入を勧められたことはない」と言い、両者の主張は食い違っていた。

 このため、当センターから販売店本社に連絡した。販売店の本社担当者は、「当社は3回にわたり接続部品Bについて説明した。水漏れのリスクまで説明したとは考えにくいが、接続部品については取扱説明書にも記載がある。相談者は取扱説明書を十分に読むべきだった」と、相談者にも責任があるかのような主張をした。また、「大半の住宅の給水栓は、別売の接続部品を購入する必要がある」との話もあった。

 当センターは、設置サービス付きの洗濯機を購入し、水漏れが起きたことをもって販売店の責任を問うことができると考えており、損害賠償について検討してほしいと販売店側に伝えた。

 相談者の過失の有無につき、当センターで弁護士に尋ねたところ、「仮に販売店が接続部品Bの必要性を説明し、相談者が不要と回答したとしても、水漏れが起きるリスクを説明していなければ説明したことにはならず、相談者の過失とはならない。また、取扱説明書は、商品の設置後に使用方法等を知るために読むものであり、適正に設置されていることが前提である。設置上の瑕疵の有無を確認するためにすべての内容に目を通すことまでは要求されていない。したがって、相談者に過失はなく、損害を受けた金額全額の賠償を請求できる」との見解を得た。

 その後、販売店から「本件の損害賠償および見舞金として、計350万円を相談者に支払う」との提案があり、相談者がこれに合意した。

 当センターは、同様の事故を防止するため、販売店に対し(1)設置サービス付きで洗濯機を販売する際には必ず給水栓の形状を確認し、適合する接続部品を使用すること、(2)洗濯機の付属品が適合しない場合には別売品の購入が必要であることや、付属品を使用した際のリスクを具体的に説明することを要望した。

 また、洗濯機のメーカーに対しても、設置業者や消費者が接続部品の適否や水漏れのリスク等について明確に認識できるよう、洗濯機の施工説明書や取扱説明書により分かりやすく表示することや、現在最も多く使用されている給水栓の形状に適合した接続部品を付属品とすることを要望した。

 その後、相談者に350万円が支払われたことを確認し相談を終了した。



問題点

 本件では、適正な接続部品の説明に関して、販売店側と相談者の主張が食い違っていた。

 仮に、相談者が適正な接続部品の必要性と水漏れのリスクについて適切な説明を受けていれば、適合しない接続部品をそのまま使って水漏れが起きたときには別売の接続部品を購入するよりも多額の損害を受けるであろうことが容易に想像でき、適正な接続部品を購入しようと思うのが通常であろうから、接続部品に関する適切な説明はなかったのではないかと思われたが、この点は水掛け論のままであった。

 当センターは、同様の事故を防止するという観点から、適切な対策を講じるよう販売店およびメーカーに要望した。販売店およびメーカーには、要望を真摯(しんし)に受け止め、今後同様の事故が起きないよう積極的に取り組むことを期待したい。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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