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[2017年9月27日:掲載]

知人からの勧誘で購入した仮想通貨

知人からの勧誘で購入した仮想通貨に関する相談について紹介する。


相談内容

 知人が、「将来、国が仮想通貨を認めるようになる。今この仮想通貨を買っておけば、100〜1,000倍になる可能性もある。ぜひ買ってはどうか。仲間を増やせばお金ももらえる」と何度も長時間にわたり勧誘してきた。私は仲間を増やしてお金をもらうことは考えていなかったが、預けたお金が増えていけばいいと考え、その仮想通貨を約20万円分買うことにした。

 知人宅で申請書を書き、数日後に約20万円を事業者名義の銀行口座に振り込んだ。さらに知人が「書類を事業者の本社に送るので、振込票の控えと本人確認書類を持ってきて」と言うので、後日、これらを知人に渡し、「概要書面」をもらった。その後「契約書面」が事業者より送付されてきた。

 しかし、よく考えると仮想通貨の実態も不明であり、契約内容もよく分からないので、心配である。契約を解約して返金してほしい。

(40歳代 女性 給与所得者)



結果概要

 国民生活センター(以下、当センター)では、相談者が受領した書面と、パソコンから当該仮想通貨業者の専用ページにログインした後の画面コピーを送付してもらった。

 事業者は特定商取引法上の連鎖販売取引に関する書面等((1)申込書、(2)概要書面、(3)会員登録完了のお知らせ、(4)契約書面)を相談者に交付しており、契約書には特定商取引法上のクーリング・オフ制度がある旨が記載されていた。しかし、書面の記載内容を確認したところ、契約した商品名・サービス名は、実態不明な仮想通貨であり、連鎖販売取引における特定負担の内容が不明確であった。

 相談を受けた時点で、契約書に記載のあるクーリング・オフ期間(契約書面交付日から20日間)を既に過ぎていたが、当センターでは、特定負担に関する記載内容が不明確であるとして書面不備を理由に特定商取引法上のクーリング・オフを主張できるのではないかと考えた。そこで、相談者にその旨を伝え、クーリング・オフによる返金を求めることを記した書面を事業者に送付するよう助言した。

 その後すぐに事業者から相談者にクーリング・オフに応じるとの連絡があり、数日後には支払った全額が相談者の口座に振り込まれた。そのため、当センターでは相談を終了とした。



問題点

●最近の仮想通貨に関するトラブルの特徴

 2017年4月に改正資金決済法が施行され、仮想通貨交換サービスに一定のルールが整備された。また、報道等で頻繁に取り上げられ、一般消費者の仮想通貨への認知度も高まりつつある。

 このような背景も影響してか、仮想通貨に関する相談件数も増加している。仮想通貨に関するトラブルはさまざまであるが、最近では、本件のように知人からの勧誘で購入した仮想通貨に関するトラブルが目立つ。相談の中には、知人から「必ず値上がりする」かのような説明を受け、売却利益を目的に仮想通貨を購入したが、もうかるどころか支払ったお金も戻ってこないというものも寄せられている*。

●本件における問題点の整理

仮想通貨交換業の登録

 当センターで相談を受けたのは改正資金決済法の施行後であったが、本件の契約日は施行日前であった。施行後、資金決済法により国内で仮想通貨と法定通貨の交換サービスを行うには、仮想通貨交換業の登録が必要となった。

 なお、相談を受けた時点で当該事業者は登録していなかったが、改正前から仮想通貨交換業を行っている事業者については、施行から6カ月間の登録猶予期間が設けられていることから、その時点で登録なく事業を継続していても問題とはならない。そのため、本件において当センターでは事業者に対し、本契約が知人からの紹介による契約であることや他人を紹介すると紹介料が入る契約であったこと、事業者が特定商取引法の連鎖販売取引を意識した書面を交付していたことから、特定商取引法での問題点を指摘することとなった。

仮想通貨の実態

 そもそも事業者が、仮想通貨の取引であると言ったとしても、使用実態等がなければ資金決済法上の仮想通貨にはならない。本件の仮想通貨については実態が不明であり、購入後に使用や交換が確実にできるかについて明確ではなかった。

勧誘時の説明

 仮想通貨はインターネット上で自由に取引することができ、その価格も変動するものが多いため、将来必ず値上がりする保証はどこにもない。しかし、相談者が知人から受けた説明では「将来、価格が100〜1,000倍になる可能性もある」と価格が上昇する点ばかりを強調しており、仮想通貨の価格変動リスクについては触れていなかった。

●まとめ

 仮想通貨の取引は、価格変動などのリスクがあるため、メリットだけではなく、同種トラブル事例も踏まえた十分な検討が必要となる。

 特に、2017年9月30日に資金決済法における仮想通貨交換業者の登録猶予期間は終了するため、事業者の登録の有無により、仮想通貨の使用実態等については確認ができるようになる。万一、無登録業者とトラブルになった場合は、監督官庁等に情報提供するとともに、資金決済法以外の法律における問題点等も検討することになるだろう。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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