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[2017年2月27日:掲載]

脚が開き座面が落ちた折りたたみ椅子

折りたたみ椅子に座っていたところ、突然座面を支える金具を固定するリベットが破断し、椅子が潰れて尻を強打、床も傷ついた。リベットの強度が不足していたと思われる事例を紹介する。


相談内容

 4年くらい前に購入した折りたたみ机とセットの折りたたみ椅子に30分ほど座っていたところ、突然パーンというガラスが割れるような音がして、椅子の脚が全開するように潰れた。座面ごと尻が床にたたきつけられ、からだが床に投げ出され、尻が強く痛んだ。

 潰れた椅子を見ると、座面を支える金具とパイプを接続しているリベット*1が左右ともはじけ飛んでいた。部品を拾い集めると、リベットが左右ともに、中空(中身が空)な先端部分をかしめた所で切断していた。表示に耐荷重の記載はない。安全上問題がないのか調べてほしい。また、賃貸住宅の床面に椅子の脚が強く当たったようでフローリングに傷が付いた。床の修理費をメーカーに出してほしい。

  1. *1 JIS B0101「ねじ用語」:軸部にねじのない頭付きの部品。締結物の穴に軸部を差し込み、軸端をかしめて継手とする。


商品テストおよび調査

 相談を受けた消費生活センター(以下、受付センター)は、国民生活センターに商品テストを依頼した。苦情品のリベットの先端部分は「中空」であったが、受付センターが発売元から得た情報によると、既に、中空ではなく中身がある「中実」のタイプに仕様変更しているとのことであった。苦情品と同じタイプの製品は発売元にもないため、苦情品のリベット破断面を観察する外観調査と、中実タイプのリベットを使用した苦情同型品での荷重テストを実施した。その結果、次のことが分かった。

(1)苦情品の概要

 苦情品は、座面支持金具(以下、金具)の左右をリベットでパイプに留めて座面にかかる負荷を支える構造であった。また、椅子に耐荷重の表示はなかった(写真1)。

座面の裏の座面支持金具の写真。金具をパイプにリベット留めして座面を支える構造である。
写真1 苦情品の外観(座面を仮留めした状態)

(2)苦情品の外観調査

 リベット留めされていた金具の左側が上向きに変形し、座面の左右側ともリベットの先端が完全に破断し、軸も曲がっていた。リベットの中空な部分が金具とパイプの境目に位置していたため、座った際にこの中空部分にせん断荷重*2が加わって破断したと考えられた(写真2、3)。

苦情品の左側リベットの中実部と中空部の写真。
写真2 苦情品のリベットの外観

座面支持金具は上向きに変形し、パイプ穴出口付近でリベットの先端が曲がっている様子を表した写真。
写真3 苦情品の上向きに変形した金具と曲がったリベットの先端

(3)苦情同型品の外観調査

 苦情同型品は、リベットのかしめ部が中空ではない中実のタイプが使用され、しかもリベットの向きが苦情品とは逆向きで、頭部が椅子の内側、先端のかしめ部が外側に変更されており、金具とパイプにより大きなせん断荷重が加わる箇所がすべて中実になっていた(図)。

苦情品のリベットの寸法を示した図。
苦情同型品のリベットの寸法を示した図。
図 苦情品および苦情同型品のリベットの寸法

(4)リベットおよび座面支持金具の寸法計測

 苦情品および苦情同型品のリベットの寸法を計測した。苦情品の肉厚が薄い中空部(外径4.9mm程度、穴径3.5mmで肉厚0.7mm程度)(図)は大きなせん断荷重に耐えられないものであった。

(5)苦情同型品の荷重テスト

苦情同型品のリベットおよび金具の強度を調べるため、JIS S1203:1998「家具−いす及びスツール−強度と耐久性の試験方法」7.1座面の静的強度試験*3を準用した荷重テストを行った。毎秒2mmの速度で、試験区分のうち最も大きい2,000Nの荷重を、規格のとおり10回繰り返した。荷重テスト後、苦情同型品のリベットおよび金具の変形は小さく、リベットが破断することはなかった。

  1. *2 ねじやボルト等の軸に対して直角方向からかかる荷重のこと。
  2. *3 負荷位置決めジグ(正しい位置に導くための補助工具)によって決まる座面負荷位置と座面の前方の縁から100mm後方の位置のそれぞれに対して、座面当て板(表面が硬く、滑らかな自然な形をした剛性のもの)を置き、その当て板の上から下へ向かって力を10回加える。力は少なくとも10秒間維持する。


結果概要

受付センターは、商品テスト結果を相談者に口頭で伝えた。相談者と発売元が話し合った結果、商品代金と住宅床修繕費、治療費が支払われることになった。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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