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[2017年1月30日:掲載]

劇場型勧誘による仮想通貨のトラブル

劇場型勧誘で仮想通貨を購入させられたトラブルを紹介する。


相談内容

 A社から電話があり、「黄色い封筒が届いていないか」と聞かれた。そのときは届いていないと伝えたが、数日後、封筒が届いた。中にはパンフレットと案内状のようなものが入っていた。

 再度A社から電話があり、「この地域にしか配られていないB社のパンフレットである。今後何倍にも値段が上がる仮想通貨を購入することのできる権利なので譲ってほしい」と言われた。よく分からないので電話を切ったが、他の業者からも「権利を譲ってほしい」というような電話がたくさんかかってきた。再びA社からしつこく電話があったので、「権利を売る」と伝えると、A社から「B社に連絡して仮想通貨がどれくらい残っているか確認してほしい」と言われた。B社に連絡すると「残りわずかなので、急いだほうがよい」と言われた。その旨、A社に伝えると、「早く仮想通貨を確保しないといけない。当社が高額で買い取るのでB社に電話をして、仮想通貨を買いたいと伝えてほしい」と言われた。

 お金がないと断ったが何度もしつこく言われて怖くなり、断ることができなくなった。B社に「仮想通貨を購入する」と電話したところ、B社の社員が来訪した。契約に関する説明はなく、また、じっくりと契約内容を確認する間もなく、言われるがまま契約書にサインし、合計100万円を手渡した。

 しかし、冷静になって考えると、購入した仮想通貨を確認できていない。怖いし不審なのでB社との契約をやめて、お金を返してほしい。

(70歳代 女性 無職)



結果概要

 国民生活センター(以下、当センター)では、高齢者に対し、契約内容や仮想通貨のリスクを説明せずに実態不明な契約をさせているとして、全額返金を求めてB社と交渉を行うこととした。

 まず、当センターで契約書面を確認したところ、B社は契約後8日間であれば解約に応じるとの契約条項を設けていた。消費者が返金を求めたところ、支払った金額の一部はこの条項に基づき返還された。しかし、残金に関しては、B社の代理人弁護士(以下、弁護士)から返金に応じられないとの回答があった。

 そこで、当センターは弁護士に対し、消費者が購入したとされる仮想通貨の所在について尋ねた。さらに、今回の契約締結に至るまでに劇場型勧誘が手法として用いられていることや仮想通貨に関する知識もない高齢者に高額な契約をさせているなどの問題があるとして、残金全額の返金を求めた。

 当センターは、回答を求めて弁護士に何度も連絡したが、不在などの理由により、弁護士が当センターとの話し合いを避けたため、交渉は困難を極めた。しかし、その後突然B社が残金全額を消費者に返金したため、当センターでは相談処理を終了することとした。



問題点

 仮想通貨の特徴や法規制を整理したうえで、本件における問題点を考える。

●仮想通貨の特徴

 仮想通貨は、インターネット上で電子的に取引され、知名度のあるビットコインのほかにも、世界中には数多くの種類が存在すると言われている。

 仮想通貨は、決済手段として利用されるほか、価格が需要と供給によって変動するため、売買差益をねらい投資目的で取引される場合もある。

●仮想通貨に関する法規制

 仮想通貨への規制に関しては、2014年頃から議論がなされ、2016年5月に改正資金決済法が成立した(公布の日から1年を超えない範囲内で施行)。

 改正資金決済法では、仮想通貨を、物品購入等の場合に、「これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。(中略))であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの」(2条5項)と定義した。

 また、仮想通貨の交換等を業として行うことを仮想通貨交換業とし、内閣総理大臣の登録を受けなければならないとしている。

●本件における問題点

 仮想通貨の取引には、インターネット環境が不可欠であるが、相談者はインターネットを利用していなかった。そのため仮想通貨購入のやり取りは、書面のみで行われており、実際に購入したとされる仮想通貨を相談者は確認できていない状況であった。その他にも、劇場型勧誘という問題のある勧誘方法が用いられていることや、業者が仮想通貨の価格変動リスクなどについて消費者に説明しないまま高額な契約をさせていた点などが問題と考えられた。

 また、本件は改正資金決済法施行前に生じたトラブルで、業者への登録義務等の法規制がない状況であった。登録があれば信頼できる業者だということではないが、登録制が開始されれば、消費者にとっては業者との契約における判断材料の1つになるだろう。

 仮想通貨については、最近では消費者への認知も広まりつつあるが、一般的な購入方法、保管方法、利用方法を熟知している消費者は多くはない。悪質業者は消費者側のこうした状況に便乗し勧誘等を行っている可能性もある。

 今後、仮想通貨についての認知度の高まりと消費者の理解不足に便乗した詐欺的な勧誘を行う悪質業者に対し、よりいっそうの注意が必要である。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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