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[2016年7月28日:掲載]

無許可で金のCFD取引の勧誘を行い、合意した返金にも応じない業者

勧誘員に「金はすごく儲(もう)かる」などと言われて金のCFD取引の契約をしたが、業者が商品先物取引業の許可を受けておらず、合意した返金にも応じないという事例を紹介する。


相談内容

 自宅に勧誘員が来訪し「現在、金は大変儲かる。よい会社を紹介するので投資してはどうか」と勧誘された。

 最初は断っていたが、金が高騰した時期だったので興味が湧いてきた。そこで、「ちょっと話を聞いてもいい」というようなことを言ったところ、業者の別の勧誘員がすぐに自宅に来訪し、「すごく儲かる」などと言ったので契約をした。

 その後、「もっと入金すれば儲かる」などと言われ、数回にわたって合計約200万円を支払った。しかし、「損が出たので追加でお金を支払うように」と言われ、不審に思うようになった。取引をやめ、お金を返してもらいたい。

(60歳代 女性 無職)



結果概要

 国民生活センター(以下、当センター)で業者の契約書面を確認したところ、本件取引内容について、次のように書かれていた。

契約書面の内容(抜粋)

  • 本取引は、貴金属現物の売買取引について、顧客の指示により当社と顧客との間における相対の転売又は買い戻しによる差金決済若しくは受け渡しによる決済を行う貴金属現物CFD取引である。
  • 本取引は、貴金属現物CFD取引市場における相場の変動に準拠し、当社と顧客との間における相対売買取引に係(かか)る総取引金額で決済される取引である。
  • 売買レートは、取引所の価格を参考に当社が提示する各貴金属の価格とする。

 つまり、この取引は、金など貴金属の商品を原資産としてその価格や指標を参照し、「取引開始時に売買した価格」と「反対売買時の価格」の差額を損益として清算し、差額のみによって決済(差金決済)をする「商品CFD取引」の一種であり、店頭商品デリバティブ取引に該当するものと思われた。

 店頭商品デリバティブ取引を業として行うためには、商品先物取引業の許可等を受けなければならないとされている(商品先物取引法第190条第1項)が、当センターから所管省庁に確認したところ、当該業者は許可等を受けていないことが分かった。

 これらの点を踏まえて、無許可で店頭商品デリバティブ取引を行っているおそれがあることを業者に指摘し、交渉を行ったところ、業者から「今月末までに返金する」という回答が得られた。ところが、業者からは期日までに約束どおりの返金がなかった。そこで、当センターで再度交渉を行い、返金の約束をより確実なものとするため、毎月一定額を分割で支払う旨の合意書を業者と相談者との間で交わすこととなった。

 しかしながら、合意書締結後も、一部がようやく支払われるのみで、合意書に定められた期日どおりの返金がなされず、当センターによる交渉の継続が難しい状況になった。こうしたところ、相談者から、締結している合意書をもとに弁護士へ委任することになったとの連絡があったため、当センターによる相談処理は終了することとなった。



問題点

 本件の業者が行っていたのは、金やプラチナといった貴金属の現物CFD取引と称する取引であった。「CFD」とは「Contract for Difference」の略で「差金決済」という意味である。

 こうした金やプラチナなどの商品のCFD取引(商品CFD取引)には次のような特徴がある。

商品CFD取引の主な特徴

  • 転売(買った商品を売る)・買戻し(売った商品を買う)による差金決済を行うことで取引が終了すること(商品の現物が消費者の手に入る取引ではない)
  • 消費者が業者に証拠金(保証金)を預け、その証拠金をもとに、証拠金の何十倍もの取引を行うこと

 前述のとおり、本件の取引は、商品CFD取引の一種であり、店頭商品デリバティブ取引に該当するものと思われた。そして、店頭商品デリバティブ取引については商品先物取引法が適用され、商品先物取引業の許可等を受けた者でなければ業として行うことはできないこととされている。

 商品先物取引業の許可等を受けた業者については、農林水産省または経済産業省のホームページ*1で確認することができるが、本件の業者については許可等を受けていなかった(なお、無許可等で商品先物取引業等を行っている、または過去に行っていたことが確認され、警告書等が発出された業者等の名称が同省のホームページに掲載されている*2)。

 本件にみられる商品CFD取引は、業者に預けた証拠金の何十倍もの取引を行うことができるため、多額の利益が生じる可能性があるが、元本や利益が保証されるものではなく、預けた証拠金の全額を上回る損失が発生するおそれのあるハイリスク・ハイリターンな取引である。

 トラブルの未然・拡大防止のためには、消費者はこうした取引のリスクの程度や取引のしくみが理解できないまま、契約しないよう注意するとともに、業者からの勧誘があった場合には、当該業者が商品先物取引業の許可等を受けている業者かどうかも確認する必要がある。

  1. *1 商品先物取引業等(農林水産省ホームページ)商品先物取引業者(経済産業省ホームページ)参照。
  2. *2 注意喚起(農林水産省ホームページ)無許可(無登録)で商品先物取引業(商品先物取引仲介業)を行う者の名称等について[PDF形式](経済産業省ホームページ)参照。


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ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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