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[2016年6月29日:掲載]

長期にわたるSF商法で高齢者に高額な商品を次々と契約させる販売業者

一人暮らしの高齢者が、数カ月で他の場所に移転する店舗のような会場に数年間にわたり通い詰め、次々と商品を購入し、数千万円を支払った事例を紹介する。


相談内容

 一人暮らしの母親が住む実家を久しぶりに訪ねたところ、床の間や仏壇に見覚えのない高価な商品が置かれていた。さらに押し入れの中にも多くの商品があり、驚いて母親に事情を訪ねたところ「数年前から親切にしてくれる販売業者がいて、そこから買った」という。

 さらに詳しく聞くと、「最初、誘われて展示会に行ってみたら、販売業者の話がとても面白く会場に行くことが楽しみとなった。続けて何回か通ううちに特定の販売員と顔見知りとなって親しくなり、体調のことなども親身に相談にのってくれた。品質も良いらしいので、勧められるまま商品を買ってあげるようになった」とのことであった。

 判断力が低下している高齢者に対して、高価な商品を次々と販売するのは問題なのではないか。解約・返金してほしい。

(相談者:50歳代 男性 給与生活者/契約当事者:80歳代 女性 無職)



結果概要

 石川県消費生活支援センター(以下、当センター)において、契約当事者本人(以下、契約者)と相談者(県外で暮らす息子)、当センター相談員で、契約書・領収書・家計簿などを確認したところ、同じ販売業者に対し5年以上にわたり3000万円を超える支払いをしていたことが分かった。

 当初、契約者は「担当の販売員は親切な人だから、自分の意思で買った。これまでに買った物は返品しなくてもよい」と話していたが、契約金額が高額であることから、法的な解決を図るため弁護士への相談を勧めた。しかし、相談を受けた弁護士は「本人の解約意思がぶれているので受任できない」という見解であった。

 当センター相談員が相談者とともに、契約者に販売業者の販売方法の問題点を指摘し、説得を重ねたところ、ようやく解約の意思を固めたことから、販売業者との解約・返品の交渉に入ることとした。

 契約者に返品を希望する商品を選定してもらい、当センター相談員とともに契約書や現物を確認し、絵画や香炉など約500万円相当の商品について販売業者と返品・解約の交渉を行ったところ、「未使用品は解約に応じるが、香炉は部屋に飾っているので使用済み」と一部の商品の解約には、頑として応じようとしなかった。

 そこで国民生活センターから助言を受け、高齢で判断力に不安のある契約者からの意向を受けた相談者と当センター相談員で、販売業者の本社(以下、本社)と解約交渉を行った。本社は、「社内の販売に関する規定に基づき、新品と認めるものは解約に応じる。今回は契約金額がかなり高額であり、企業責任もあることから、常識の範囲内の保存状態であれば、未使用品として解約に応じる」との姿勢をみせた。

 本社との交渉状況を契約者に説明したところ、「早期解決を図りたいので、契約後1年以内の未使用品と使用済みといわれた香炉の解約だけでよい」との意向を示したので、これらの解約と返金を確認して相談終了とした。



問題点

 本事案は、以前から問題のある商法とされている催眠商法(SF商法)に関するものである。これまでのSF商法は、閉め切った会場に人を集め、日用品等をタダ同然で配って雰囲気を盛り上げた後、正常な判断ができなくなった来場者に高額な商品を販売する商法で、短期間で会場を転々とするケースが多かった。

 最近は、本事案のように数カ月以上の長期にわたって展示会を開催し、販売員によるプロ顔負けの話術や次回来場時の割引券、来場の度に押印するスタンプカードなど、来場者を引きつける各種の工夫や演出により、高齢者等を継続的に会場に通わせ、販売員と親しくなったところで高額な商品を次々と販売する例がみられるようになってきた。

 新しいタイプのSF商法には、次のような特徴があり、被害の救済を困難にしていると考えられる。

  • 会場の雰囲気が楽しいことから、契約者が自らの意思で積極的に会場に通っている。
  • 通い詰めることで販売員と顔見知りになり、優しく親切にされるうちに、業者と顧客以上の信頼関係があるように錯覚させられる。
  • 信頼している販売員から商品を勧められるので、「断るのは申し訳ない」といった感覚に陥りやすい。
  • 一人暮らしの場合、身近に相談できる人がおらず、周囲の人が気づいたときには、既に購入額が高額なものとなっている。

 以上の経過から、契約者には被害にあっているという意識がないため、周囲が被害を認識させることが難しい。

 本事案でも、相談者である息子は、契約者と離れて暮らしており、一人暮らしの母親から事情を聴くまで、高額な商品の購入には気づかなかった。

 また、契約者は、当センターへの相談後も、担当の販売員をかなり強く信頼しており、親切な販売員との良好な関係を維持していきたいとの思いが強く、当センター相談員や息子の説得に対しても、「担当者は親切な人だ」「納得して買ったものだ」と話すなど、解約の意思が揺れ続けたようである。

 本事案のような新しいタイプのSF商法は、国民生活センターからも注意喚起されており(2015年5月21日公表)、契約者の平均年齢が76歳、またその8割が女性とされている。今後も、高齢者自身に対する啓発とともに、被害額が高額になる前に気づけるよう、周囲の人による見守りが何より重要である。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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