[本文へ] 消費生活・消費者問題に関する事例や対処方法を紹介しています。

現在の位置 : トップページ > 相談事例・判例 > 相談事例と解決結果 > 1カ月の使用で座面が破損した幼児用いす

[2016年2月26日:掲載]

1カ月の使用で座面が破損した幼児用いす

耐衝撃試験において、幼児用いすの座面が1回の衝撃荷重で破損した。家庭用品品質表示法上の問題もあったため、返金になった事例を紹介する。


相談内容

 幼児用いすを購入し、使い始めて1カ月も経たないうちに座面の中央部分がへこみ、裏側から金属のようなものが飛び出しつつあった。商標等が付いておらず、メーカーが分からなかったので販売店に尋ねた。販売店からは返金すると言われたが、けがをしなかったものの、危ない商品だと思うので、強度に問題がないか調べてほしい。



商品テストおよび調査

 相談を受けた消費生活センター(以下、受付センター)は、国民生活センター(以下、当センター)に商品テストを依頼した。テストを行った結果、次のことが分かった。

(1)外観観察

 苦情品(図1)は座面の中央部分がへこんでいた。へこみは、座面の前側から後側に向かって浅くなっていたことから、座面前側により強い下向きの荷重が加わり生じたと考えられた。なお、鉄製のフレームには変形や破損はなかった。また、座面の裏面に貼られていたはずの表示シールが剥がれてなくなっていた。

鉄製フレームに囲まれた座面の中央部分がへこんでいる苦情品のイメージ図
図1 苦情品(イメージ)

(2)分解観察

 苦情品の座部の芯材は、表面が板状、裏面が格子状(図2)で、前側の中央付近よりやや右側の位置に、長さ約170mmの亀裂があり、フレームとの接続部(2カ所)の周辺にも亀裂が確認された。なお、苦情品座部の構造は図3のようになっていた。

 参考品として、外形が似た同価格帯の幼児用いす(参考品A〜C)を用意し、外観・構造を比較した。参考品A(苦情品・苦情同型品と同じ製造販売元の商品)の座部は、苦情品と同様の構造だが、芯材の格子の本数は異なっていた。参考品Bおよび参考品Cは、芯材の構造が異なり、表面が格子状、裏面が板状で、クッション材と芯材の間にインサート材(段ボール)が挿入されていた。苦情品および参考品A〜Cの芯材の素材は、いずれもポリプロピレンであった。

格子状になっている苦情品の座部の芯材裏面のイメージ図
図2 苦情品座部の芯材裏面(イメージ)

座部は芯材の上にクッション材をのせそれを張り材で覆っている
図3 苦情品座部の構造(イメージ)

(3)座面の強度試験

 苦情同型品および参考品A〜Cについて、座面の耐衝撃強度を調べるとともに、座面中央部に静荷重を加え破損に至る荷重を調べ、座面の強度を比較した。

座面の耐衝撃強度試験(SG認定基準)

 SG認定基準*1は、一般財団法人製品安全協会が定める認定基準で、強度試験等の基準に合格するとSGマークを表示することができる。任意の基準であることから、基準に合格しなければ販売できないというものではないが、このテストでは強度を確認するための指標とした。

 苦情同型品および参考品A〜Cの、座面中央部に10kgの砂袋(直径200mmの円筒)を高さ150mmから毎分9回の落下サイクルで250回繰り返し落下させた後、座面の破損、外れおよび使用上支障のある変形の有無を確認した。

 その結果、苦情同型品および参考品Aは、落下1回目で苦情品と同様に座面が下方へ折れ曲がった。参考品Bは著しい変形は見られず、参考品Cも座面が折れることはなかったが、下方への変形が生じた。

座面中央部への静荷重試験

 座面中央部に直径200mmの当て板*2で1000N(102kgf)までの静荷重を毎分10mmの速度で加え、座面が破損するまでの最大荷重を調べた。

 その結果、苦情同型品は1000Nを加えると座面が大きく変形し、フレームとの接続部付近に亀裂が生じたが、苦情品のように座面の中央付近に亀裂は生じなかった。参考品Aは796N(81kgf)で座面に亀裂が生じ、参考品Bおよび参考品Cは座面に亀裂は生じなかった。

(4)表示

 家庭用品品質表示法(以下、同法)は、家庭用品の品質や表示方法等を定め、消費者が購入に際し不測の損失を被ることがないように制定された法律で、「幼児用いす」はその対象である。同法は、「表示には、表示した者の氏名又は名称及び住所又は電話番号を付記し、責任の所在を明確にする」「いす、腰掛け又は座いすごとに、消費者の見やすい箇所にわかりやすく記載する。ただし、取扱い上の注意については、いす、腰掛け及び座いすの本体から容易に離れない方法(ラベルもしくは合成樹脂板の貼り付け又は下げ札等)にて表示する」と定めている。

 苦情品での確認ができないため苦情同型品の表示を確認したところ、「表示した者の氏名又は名称及び住所又は電話番号」が表示されていなかった。

  1. *1 CPSA0054 乳幼児用いすの認定基準及び基準確認方法
  2. *2 JIS S 1203 「家具−いす及びスツール−強度と耐久性の試験方法」で定められた小型座面当て板


結果概要

 受付センターは、商品テスト結果をメーカーに伝えた。苦情品は2年前に製造中止となっていたことが分かった。メーカーは、同法に定められている事項を表示したシールを貼っていたと主張したが、苦情同型品の表示も不十分であったことを伝えたところ、メーカーは商品代金を相談者に返金することを了承した。

 当センターは、苦情品の表示が同法上不十分であった可能性があるため、消費者庁表示対策課に情報提供を行った。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

相談事例と解決結果トップページへ

ページトップへ