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[2016年1月27日:掲載]

航空券の手配をしないまま連絡が取れなくなった旅行業者

旅行業者に航空券の手配を申し込み、代金を支払ったものの航空券の手配はされず、返金を求めたが、連絡が取れなくなった、という相談事例を紹介する。


相談内容

 インターネットで検索して見つけた旅行業者に、往復の国内航空券を約40,000円で申し込み、代金は申し込み当日に、旅行業者の口座に全額を振り込んだ。旅行業者のホームページには、出発の3日前までにeチケットが届くと書かれていた。しかし、出発2日前になってもチケットが届いていない。旅行業者に催促のメールを送ったが返信はなく、電話をかけてもつながらない。しかたなく別の旅行業者でチケットを手配した。支払ったお金を返金してほしい。また、インターネットで検索すると、この旅行業者について同様の書き込みがあり、詐欺ではないかとの書き込みも見つけた。詐欺だとして警察に届けたほうがよいだろうか。

(20歳代 女性 給与生活者)



結果概要

 相談を受け付けた国民生活センター(以下、当センター)では、まずこの旅行業者について情報収集を行い、旅行業法に基づき第3種旅行業者として、旅行業者の主たる営業所の所在地を管轄する都道府県に登録があることを確認した。さらに、同様の相談が寄せられている消費生活センターと情報を共有しつつ、旅行業者が登録している行政の旅行業担当部署(以下、担当部署)より事業廃止にかかわる情報を把握した。これらをもとに、次の内容を相談者に伝えた。

  1. (1)この旅行業者は、既に担当部署において、営業保証金制度による旅行代金の返金の申し立て手続きの受け付けが始まっている。
  2. (2)営業保証金制度や手続き内容については、担当部署に問い合わせてほしい。
  3. (3)詐欺として扱われるかは警察の判断となるので、居住地を管轄する警察に問い合わせてほしい。

 なお、相談が寄せられた翌日に、旅行業者が担当部署に廃業届を提出したことが分かった。翌週、相談者より当センターに電話があり、担当部署に連絡したうえで営業保証金の還付手続きをするとのことであった。このため本件相談処理を終了した。



問題点

 本件では、営業保証金に基づく還付手続きを相談者が行うことになった。旅行業法*では、営業保証金の供託と弁済業務保証金の供託が定められており、それぞれの保証金については次のとおりとなっている。

営業保証金制度

 営業保証金制度は、旅行業協会の正会員でない旅行業者が、廃業届を出したり倒産したりすることにより債務不履行が生じた際に、法務局に供託した営業保証金から弁済される制度である(図1)。

図1
図1 営業保証金制度の概要

 手続きの窓口となるのは登録行政庁になり、第1種の場合は観光庁、第2種と第3種の場合は都道府県の旅行業担当部署となる。それぞれの登録行政庁では、登録のある旅行業者の一覧をホームページに掲載している。また、登録をかたる旅行業者について情報提供しているケースもある。

弁済業務保証金制度

 弁済業務保証金制度は、旅行業協会の正会員が、旅行者(消費者)と旅行業者との取引で発生した債権債務について、旅行業協会が供託した弁済業務保証金から弁済される制度である(図2)。

図2
図2 弁済業務保証金制度の概要
JATA:(社)日本旅行業協会 ANTA:(社)全国旅行業協会

 手続きの窓口となるのは、旅行業協会(日本旅行業協会:JATA、全国旅行業協会:ANTA)で、それぞれの団体のホームページで、会員企業の検索機能を備え、保証金制度の手続きをしている業者の案内がされている。また、会員をかたる旅行業者について情報提供しているケースもある。

 本件のように、旅行業者に航空券の手配を依頼した場合は、旅行業法に規定された手配旅行の契約となり、旅行業者の定める旅行業約款に基づく契約となる。他方、航空券を購入する際に航空会社に直接申し込んだ場合は、航空会社の定める旅客運送約款に基づく航空サービスの契約になる。キャンセルや運航の変更等について、どのような取り扱いになるか契約前によく確認することが必要である。さらに前述した保証金制度は、申し出のあった金額が供託された金額を超えた場合、保証金額の範囲内で請求額に応じて案分されることとなり、旅行代金全額が保証されないこともあり得る。

 航空券に限らず、インターネットを介した通販では、「契約が履行されない」「契約先と連絡がつかない」といった相談が寄せられる。本件のような旅行契約の場合、旅行に行けないことだけでなく、付随する宿泊等にも影響する可能性がある。また、契約先の旅行業者の実状については確認が難しく、慎重な契約が求められる。



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ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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