[本文へ] 消費生活・消費者問題に関する事例や対処方法を紹介しています。

現在の位置 : トップページ > 相談事例・判例 > 相談事例と解決結果 > 売電事業への出資を募りながら合同会社の社員権の販売勧誘を行う事業者

[2015年11月27日:掲載]

売電事業への出資を募りながら合同会社の社員権の販売勧誘を行う事業者

再生可能エネルギー事業への出資を勧められて契約したが、実際は合同会社の社員権を取得する契約になっていた事例を紹介する。


相談内容

 再生可能エネルギーによる売電事業を行っているという事業者から、事業について話を聞いてほしいと電話勧誘され、自宅で話を聞いた。

 事業者に、「再生可能エネルギーの発電所を作り、売電して利益を得ている。出資すれば、毎月高額配当する」と言われ、申込書に記入し、「出資約款」等の書面を受け取った。

 後日、事業者の指定口座に100万円を振り込んだところ、事業者から出資証券が届いた。改めて、事業者からもらった書面を読むと、元本保証ではなく、配当も確定したものではないことが分かった。こうしたことは事前に聞いておらず、知っていれば出資をしなかった。解約して、返金してほしい。

(70歳代 男性 無職)



結果概要

 国民生活センター(以下、当センター)にて、「出資約款」等の書面、勧誘の経緯や契約内容、金融商品取引法(以下、金商法)上の登録の有無等の確認を行った。そのうえで、2年経過後に元本割れのリスクがあることについての説明がなかったこと等から、勧誘時の説明に問題があった可能性があるため、事業者に書面で返金について申し出てみるように相談者に助言した。併せて当センターが書面を詳細に確認したところ、事業者は合同会社であり、相談者に交付した「出資約款」には、「本約款に基づき当社へ出資する社員(出資者)を一般社員とする。一般社員は、社員総会への出席、議決権を持たない」との記載があった。つまり、事業者は、合同会社の社員権の自己募集の形態をとっていることが分かった。しかし、「一般社員は、社員総会への出席、議決権を持たない」という記載もあったことから、会社法上の合同会社の社員には当たらないとの見方もできた。そこで本件出資への勧誘は、合同会社の社員権の自己募集ではなく、無登録での集団投資スキーム持分の自己募集に当たる可能性もあるとし、事業者に説明を求めた。

 事業者は、「一般社員」は議決権を持たないものの、会社の財産状況について質問や意見する権限を有していることから会社法上の社員だと考えていると発言した。そして、本件は合同会社の社員権の自己募集であり、集団投資スキーム持分の自己募集には該当せず、第二種金融商品取引業の登録は必要ないと主張した。そこで当センターは事業者に対し、相談者は2年間は解約できないことの説明は受けたものの、元本割れの可能性については説明がなかったこと等勧誘時の問題点と、集団投資スキーム持分の自己募集に該当する可能性があることを指摘し、返金交渉を重ねた。

 事業者は、勧誘時の不適切な点については一部責任を認め、契約金額の8割である80万円を返金することで、相談者と合意が成立した。しかし、集団投資スキーム持分の自己募集の該当性にかかる問題があることは一定程度認め、改善について検討するとのことだったが、最後まで無登録営業であることを認めなかった。

 その後、相談者への返金を確認し、相談を終了した。



問題点

 集団投資スキーム持分の自己募集と本件出資勧誘に際し事業者が用いた合同会社の社員権の自己募集について整理したうえで、本件における問題点を考察する。

集団投資スキーム持分の自己募集

 集団投資スキームとは、消費者から金銭などの出資・拠出を集め、その金銭などをもとに投資・事業を行い、その投資・事業から生じる利益などを分配するしくみのことである。この集団投資スキームによって、分配される利益などを受け取る権利を集団投資スキーム持分といい、金商法で「みなし有価証券」と定められている(2条2項5号)。

 集団投資スキーム持分を譲り受けて販売したり、スキーム組成業者自らが集団投資スキーム持分の販売勧誘(集団投資スキーム持分の自己募集)をしたりするなどの行為は金商法で規制されており、第二種金融商品取引業の登録が必要である(28条2項1号・2号、2条8項7号、29条)。なお、無登録で金融商品取引業を行った場合は、刑事罰の対象となる。

合同会社の社員権の自己募集

 会社法では、株式会社と持分会社の大きく二種類の形態を定めており、合同会社は持分会社の1つである。持分会社では、出資者のことを社員と呼ぶ。合同会社の特徴として、社員(出資者)は出資額の範囲までしか責任を負わない有限責任制であることや会社成立後の定款変更等の意思決定には原則として社員全員の同意が必要であること等がある。合同会社に出資し、持分権者となったことを示す合同会社の社員権は、金商法において「みなし有価証券」とされている(2条2項3号)。しかし、同じ「みなし有価証券」である集団投資スキーム持分と異なり、社員権の発行会社である合同会社自らが社員権の販売勧誘(合同会社の社員権の自己募集)をする場合は、金融商品取引業には該当せず、登録は不要となる。

本件における問題点

 本件において相談者は合同会社の社員になったとの認識はなく、「再生可能エネルギー事業に出資することで、そこから生じた利益の配当を受ける」と理解していた。相談者が事業者から勧誘時に受けた説明では、集団投資スキーム持分の自己募集との見方ができる。また、合同会社の特徴と照らし合わせると、事業者は社員権の募集に当たり、議決権を持たない「一般社員」を設けていることや、合同会社と関わりのある人物が行うことが一般的である合同会社への出資を不特定多数の消費者に電話勧誘により募っていた点も不自然である。前述のとおり、合同会社の社員権の自己募集では、第二種金融商品取引業の登録の必要がなく、消費者保護ルールも十分ではない。さらに、会社法では合同会社への出資の払戻しには制限があるため、トラブルになった際、消費者にリスクが生じると思われる。実質的には集団投資スキーム持分の自己募集であるにも関わらず、合同会社の社員権の自己募集というかたちで規制を逃れようとする事業者には注意が必要である。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

相談事例と解決結果トップページへ

ページトップへ