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[2015年5月27日:掲載]

税関で留められてしまったムートンブーツ

インターネットで購入したブーツが、商標権侵害の疑いがあるため税関で留め置かれてしまったという事例を紹介する。


相談内容

 大手インターネット通販モールでブーツを検索したら、自分の欲しいグレーのムートンブーツの在庫があるというサイトを見つけたので、注文した。商品代金はクレジットカードで決済した。商品が届くのを待っていたが、税関から「商品が商標権を侵害する物品に該当する疑いがある」との手紙が届いた。内容がよく分からなかったので、税関に電話で問い合わせたところ「商品は中国から届いている。商品の送り先があなたの住所になっていたので手紙を送った。ブーツメーカー本社から、海外から商品が送られてきたら留めるようにとの申し出があるので、商品の発送を留めた。手紙の内容に意見があるなら、書面で申し出てほしい」と言われた。

 販売業者のサイトには「正規輸入品」と書かれていたので、信用して注文した。商品が偽物なら、要らないので契約をキャンセルしたい。販売業者のサイトは現在「長期休暇中」と書かれており電話もつながらない。どうすればよいか。

(40歳代 女性 家事従事者)



結果概要

 相談を受け付けた国民生活センター(以下、当センター)が、販売業者のサイトを確認したところ、サイトには、確かに「長期休暇のお知らせ」とあり、問い合わせへの返事や電話、商品の発送はできないと書かれていた。

 当センターは、相談者のもとに税関から届いた書類を確認した。そして、相談者に対し、通知内容に異議がないのであれば、税関に対して商品を放棄する旨の連絡をするよう助言した。すると、相談者が「税関の担当者と電話で話した際、連絡がないと放棄となる、と言われた」と言うため、このままようすをみるよう伝えた。

 また、販売業者に商品が税関で留められたことなどを伝え、契約解除を申し出るよう助言した。

 あわせて、代金を決済したクレジットカード会社に対しても連絡して経緯を説明し、注文した商品は偽物だと思うのでキャンセルしてほしいこと、商品は受け取っていないこと、場合によっては税関から届いた書類を送ることもできること、を伝えて対応を依頼するよう助言した。さらに、大手インターネット通販モールでは、悪質な販売サイトについてモール業者に報告できるフォームを設けているので、これを使ってモール業者に申し出るようにと助言した。

 その後、相談者から「助言に従い、クレジットカード会社に連絡した。現時点では、販売業者から売り上げが上がっていないという。どうすればよいか」と連絡があった。そこで、当センターからクレジットカード会社に問い合わせたところ、「インターネット通販の場合、いつ売り上げを上げるかは、個々の販売店によって異なる。本件については、売り上げが当方に上がってきていないので、調査のしようがない」とのことであった。当センターから、クレジットカード会社に対して、本件は相談者の注文した商品が偽物の疑いがあるとして税関で留められていることを説明し、売り上げが上がった場合には適切に対応してほしいと依頼した。

 相談者にはクレジットカード会社の回答を報告し、このままようすをみるよう助言した。後日、相談者から「大手インターネット通販モールに連絡したら、販売業者から注文をキャンセルした旨のメールが届いた」と連絡があった。念のため、当センターからクレジットカード会社に確認したところ「本件の売り上げは上がっていない」と回答があったため、相談を終了した。



問題点

 インターネット通販では、商品が届かない、注文と異なる商品が届いたといったトラブルのほか、コピー商品・偽ブランド品などの偽物に関する相談が増加しており、当センターでも2014年10月に注意喚起を行っている*1。

 本件では、インターネット通販で購入したブーツが「知的財産を侵害する物品に該当する疑いがある」*2として税関で発送を留められてしまった。

 税関の検査においては、知的財産の侵害に該当すると思われる物品が発見されると、それが輸入してはならない貨物かどうかを認定する手続きが行われる。そして当該貨物に係る特許権者等の権利者および当該貨物を輸入しようとする者に対し、手続開始通知書が送付される。

 本件についても、商標権を侵害する物品に該当する疑いがあるとしてこの手続きが行われることになったため、貨物は留め置かれ、貨物の宛先である相談者のもとに通知書が送られた。

 通知書を受け取った後「自分が輸入したい物品は知的財産を侵害する物品ではない」といった意見があるときは、その旨の書面を定められた期限内に提出しなければならない。書面の提出がない場合は、知的財産を侵害する物品に該当すると認定され、税関が没収後、処分する。

 手続きの結果については後日税関から通知されるが、それまでの間に(1)知的財産の権利者から、輸入に関する同意書を取得して税関に提出(2)当該貨物のうち侵害の疑いのある部分につき切除等の修正を行う(3)当該貨物を任意放棄(自らの意思で所有権を放棄)することができる。

 消費者が(1)を行うことはまず不可能であり、(2)もその商品を満足に使用することはできなくなるので行う意味がなく、(3)あるいは意見の書面を提出しないことによって、購入した商品の所有権を放棄するしかないと考えられる。

 インターネット通販で偽物を購入しないためには、販売サイトの表記をよく確認し、連絡先が不明瞭であるなど少しでも怪しいと思うサイトではなく、信頼できるサイトで購入するよう心がけることが重要である。

  1. *1 「コピー商品・偽ブランド品・偽造品…「ニセモノ」に関する消費者トラブルに注意!−失うのはお金だけじゃない!?−」(2014年10月16日 国民生活センター公表)
  2. *2 知的財産を侵害する物品とは、「特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成者権を侵害する物品」(関税法69条の11第1項9号)、「不正競争防止法第2条第1項第1号から第3号まで、第10号又は第11号に掲げる行為を組成する物品」(関税法69条の11第1項10号)のことをいい、これらは関税法により、輸入してはならない貨物と定められている。よく聞く「コピー商品」や「海賊版」といったものは、商標権や著作権を侵害する物品に当たる。



ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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