[本文へ] 消費生活・消費者問題に関する事例や対処方法を紹介しています。

現在の位置 : トップページ > 相談事例・判例 > 相談事例と解決結果 > 別の土地を購入すれば、原野を高額で買い取ると勧誘された、原野商法の二次被害

[2015年2月27日:掲載]

別の土地を購入すれば、原野を高額で買い取ると勧誘された、原野商法の二次被害

以前、原野の測量工事の契約をして被害にあった相談者が、今回は、所有している原野の買い替えを勧められいったんは契約したものの、不審に思い早期に相談をした結果、解決できた事例を紹介する。


相談内容

 1週間前に知らない不動産会社の担当者から電話があり「あなたが所有している他県の土地を高額で買い取るので説明に行く」と言われた。親が購入した原野を持っているが、以前から売却したいと思っていたため、来訪を了承した。来訪後、担当者は「あなたの土地を220万円で買い取るが、いったん当社所有の土地を購入してほしい。2カ月後には必ず320万円で購入してくれる人がいるので差額の100万円を出して買い替えてほしい」と言われた。「お金がない」と断ると、支払う差額は70万円、50万円と下がり、結局20万円ならと了承した。20万円を支払った後で、領収書を要求したが渡してもらえなかった。何となく不安で、身分証明書のコピーを求めたが、「持っていない」と言うので、名刺の裏に担当者の住所を記載してもらった。後日担当者に印鑑証明や住民票を渡し、権利証は2カ月後に渡すことにした。しかし、その後不安になり、名刺裏に書かれた担当者の住所に行ったが、該当する建物はなく、地元郵便局でも虚偽住所と言われた。嫌な予感がして権利証を探したが、自宅にはなかった。急いで法務局で登記を調べたら、名義変更はされていなかったが、信用できないので解約して20万円は返金してほしい。

(60歳代 男性 無職)



結果概要

(1)二次被害にあった相談者の状況

 相談者は、1年前にも別の事業者から「他県に所有している原野を買い取る」と勧誘され、土地の測量契約をして36万円支払ったものの、土地を約束どおり売れなかった。消費生活センター(以下、センター)が解約のあっせんをしたが、事業者が応じず、解約を申し出た内容証明郵便も宛先不明で戻ってきたため、結局あっせん不調で相談を終了していた。

 今回は、勧誘の手口が「土地の買い替え」であり、前回のように新たな測量等の契約を結ぶことではないため、相談者が売却できるのではと信じたようである。

(2)解決に向けての処理

 まず法務局に不正登記防止申出の手続きが可能かを問い合わせたが、権利証が盗難にあったという証明が必要なので、無理だと言われた。

 センターで契約書面をすべて確認したところ、320万円の土地購入契約書(事業者所有の土地)と300万円の土地売却契約書(相談者所有の原野)があり、相談者が担当者から受けた説明とは異なるものだった。また、購入契約書に「クーリング・オフ告知書」があり「容認事項」として「本契約は、別紙の土地売買契約と一体不可分とし、別紙売買契約の売買代金300万円を本売買契約の売買代金と相殺することを条件とする。また、理由のいかんを問わず解除となった場合、別紙売買契約も解除となる」という条項があった。相談を受けた日は、契約日から6日目であったため、センターより相談者に、土地の購入契約と売却契約の解除を求める内容証明郵便を出すよう助言した。そのうえで、事業者に連絡して相談者の意向を伝え、既払金20万円の返金と権利証を返還するように求めた。

 後日、部長と名乗る人からセンターに連絡があり、「土地は交換しており、既に転売の手続きに入っている。購入契約のクーリング・オフは認めて返金するが、相談者の土地は返せない」と主張した。また、権利証について確認したところ、「相談者から預かっているので、事務所にある」と言って、相談者の認識と相違があった。

(3)アドバイザー弁護士の見解

 弁護士に相談したところ、「クーリング・オフで土地の売買契約は両方とも解除できる」という見解を得た。

 翌日から、再度事業者に連絡して「容認事項」である「購入契約が解除となった場合、別紙の売買契約(売却契約)も解除となる」の条項に基づいて、20万円の返金と権利証の返還をするよう交渉した。さらに、弁護士の見解とともに、速やかに履行されないときは、相談者に法的手続を助言することも事業者に伝え、粘り強く何度も交渉を重ねた。

 後日、「両方の契約を解除する。当社で相談者と手続きをする」と回答があったため、返金と権利証の返還については、センターで相談員も立ち会いのうえで行いたいと申し出たが、20万円は振り込みで、権利証は郵送で返還すると連絡があり、返金と権利証の返還を確認して相談を終了とした。



問題点

 本件のような原野商法の二次被害、三次被害のトラブルが高齢者を中心に増え続けている。訪問や電話により、すぐに買い手が見つかるようなセールストークで勧誘を行い、新たに整地や測量の契約を結ばせたり、本件のように土地の買い替え契約を結ばせるなど、手口も巧妙になっている。

 宅地建物取引業を営むには国土交通大臣または都道府県知事の免許を受けることが必要だが、取引が原野や山林の場合、原則免許は必要ない。訪問販売や電話勧誘販売の場合は、特定商取引法の規制を受けるが、本件のようにクーリング・オフの主張をしても、すぐに既払金の返金や権利証の返還等に応じないケースもある。

 多くのケースで、「高額で売れる」と虚偽の説明で勧誘して、新たな契約を結ばせている。事業者が提示した価格が適正かは、土地の所在する自治体に確認することで容易に判断できるが、売却を望む消費者は、提示された価格を信じて契約を結んでしまう。訪問販売や電話勧誘販売の場合、消費者がこのような虚偽の説明を信じて契約したときは、特定商取引法に基づく契約の取消しの主張もできるが、事業者が虚偽説明を認めず、クーリング・オフ期間を過ぎた場合の解約は、容易ではない。

 本件のような原野商法の二次被害、三次被害のトラブルは、60歳以上の高齢者が圧倒的に多い。今後同様の被害にあわないように、高齢者に対する啓発だけでなく、見守りの中で防止できるしくみが必要である。



  • ※本記事は、都道府県等の消費者行政担当部署等の情報です。


ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

相談事例と解決結果トップページへ

ページトップへ