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[2014年11月28日:掲載]

海外旅行中に盗難にあったスマートフォンの不正利用

海外旅行中にスマートフォンの盗難にあい、利用停止の手続きをとったが、回線の利用が停止されなかったため、第三者に不正利用され高額な請求を受けた事例を紹介する。


相談内容

 海外旅行中に、スマートフォンを盗まれた。すぐに気がついたので、盗まれてから約1時間後に現地の警察に盗難届と被害届を提出し、契約先の日本の携帯電話事業者(以下、事業者)にも電話した。電波状況が悪くオペレーターの声がよく聞こえなかったので再度かけ直すと伝えたが、オペレーターの「中断を行う」という言葉は聞こえたので回線は止まったと思って安心していた。また、スマートフォン本体に顔認証ロック*1をかけていたので、勝手に操作されることはなく大丈夫だと思っていた。その後別の国に移動して、最初の利用停止を依頼した電話から2日後に再度事業者に連絡し、利用停止されたことを確認した。しかし、帰国後に利用料金を確認したところ、身に覚えがない高額な通話料が発生しており、スマートフォンを誰かに不正利用されたことが分かった。事業者に盗難にあったこと、利用停止を依頼する電話をしていたこと等の経緯を説明したが、「何も対応できないので全額支払ってほしい」と言われた。後日事業者に通話記録を調べてもらったところ、1回目の利用停止の連絡をした時点では回線が止まっておらず、通話できる状態であったことが分かった。全額請求されるのは納得がいかない。

(20歳代 女性 給与生活者)

  1. *1 解除時に登録した顔を認識させることで、ロックが解除される機能のこと。


結果概要

 相談を受け付けた国民生活センター(以下、当センター)では、相談者から利用停止を申し出た際と、帰国後の事業者とのやり取り等について、詳細に聴き取った。

 相談者は盗難にあった後、旅行先から事業者への電話を合計2回行っており、2回目の電話で利用停止完了を確認した。1回目の電話は現地の警察に盗難届を出した後すぐにかけて利用停止を依頼した。2回目の電話は移動の関係で2日後になってしまったが、1回目の電話でオペレーターに「中断を行う」と言われたことに加え、スマートフォンには顔認証ロックをかけていたので、不正利用されることはないと思っていた。帰国後に高額請求が発覚したため、上記の内容を事業者に連絡した。すると事業者からは、以下のような回答があったということだった。

  • 相談者からの2回目の電話で利用停止の状態を確認した
  • 電波が入らない等やむを得ない要因で利用停止できない間に不正利用されてしまっても対応できない
  • 不正利用にかかわる請求金額の減額等は国内・国外を問わず対応しておらず、その他の救済措置等も特段ないため、本件については料金を請求する

 そこで当センターから相談者へ、状況を詳細に述べた経緯文の作成を求め、事業者へ送付してもらった。送付後に当センターから事業者に問い合わせたところ、相談者から利用停止の電話があったときは通話環境が悪く、本人確認ができなかったために利用停止できなかったこと、電話の際に相談者より「かけ直す」と言われたので連絡が来ると思い、利用停止をせず相談者からの電話を待っていたとの回答があった。

 この回答を受け、当センターで相談者が作成した経緯文や、事業者から取り寄せた利用停止依頼時の通話内容等を確認したところ、最初の利用停止依頼の電話で本人確認ができていること、相談者は明確に利用停止の意思を示していたことが分かった。

 このことを事業者に伝えたところ、本人確認はできていたが、利用停止することに対するリスク(利用停止後に相談者の電話に着信したときに流すガイダンスの選択や、利用停止を解除する際の案内等)について説明できていなかったため、利用停止を行わなかったとの回答に変わった。

 当センターからは、利用停止できなかった理由が当初の説明と異なる点、本人確認ができており、利用停止した際の不利益と、利用停止しなかった際の不利益を比べれば、最初の電話で利用停止の意思を示した時点で利用停止すべきではなかったのかという点を主張した。

 当センターの指摘を受けた事業者からは、盗難という事態を考えると、リスク説明よりも利用停止を優先させるべきであり、相談者への対応が十分ではなかったと考えられる旨の回答があり、盗難後の不正利用で発生した料金の全額返金に応じるとの回答があった。



問題点

 相談者は盗難後すぐに事業者に電話をして利用停止の意思を示しており、事業者側も本人確認はできていた。ところが、事業者は利用停止を行う前に事業者の社内のルールで「回線の利用を停止することによるリスク」を消費者に説明する義務があり、説明が完了していない段階で電話が切れてしまったことを理由に利用停止ができなかったと主張した。そのため、実際に利用停止がなされず、結果的に相談者に不正利用による高額な通話料が請求されてしまった。利用停止した際に相談者が被る不利益と、利用停止しなかった際に被る不利益について比べれば、事業者はすぐに利用停止の手続きをとるべきであると考えられた。

 一方、海外旅行中に限らず携帯電話を紛失すると不正利用される可能性もあるため、消費者も自衛手段として携帯電話端末のロック機能やデータ(通信)の上限サービス等への加入も検討してほしい。さらに紛失・盗難時に利用できるサービスや機能、端末補償サービスの内容を確認し、必要に応じて加入・登録する等の日頃からの備えも重要である*2。

  1. *2 今回のケースでは、ロックがかかっていたかどうか確認できていない。
  2. 参考:なくしてからでは遅い!携帯電話の紛失・盗難に備えて−「不正利用されて高額請求」、「データの流出が心配」等の相談が増加!−(2014年7月14日 国民生活センター公表)



ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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