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[2014年8月27日:掲載]

損害を取り戻せると言って契約を結ばせる探偵業者

損害を取り戻せると言われて頼んだ探偵業者なのに、契約書には損害の回復に関する記載がなく、話が違うのでクーリング・オフを申し出たが、それはできないと言われた事例を紹介する。


相談内容

 数年前にA社と投資顧問の契約をした。利益が上がらないばかりか、その後も次々と契約を勧められ出資したが、損失がかさんだため解約した。その後、A社にだまされたのではないかと考えるようになり、インターネットで検索したところ「A社の被害を救済するという探偵業者」(B社)を見つけた。B社に電話をしてみると、7〜8割は取り戻せると言われたので、A社の契約書をファクスした。すると、すぐにB社から「返金可能です。なるべく早いほうがよいので今から事務所に来ませんか」と連絡があった。

 急いでB社の事務所に出向くと、担当者に「支払った顧問料だけでなく、株の取引損益も取り戻せる。1万円でも入れてくれれば、今日から動ける」などと説明された。A社から返金されると信じてB社と100万円超の調査契約をして、この日は1万円だけ支払った。翌日、B社に対して本当にお金を取り戻してくれるのだろうかと不安になり、別の探偵業者にお金が戻ってくるか聞いてみたところ「無理だろう」と言われた。

 B社から渡された書面にはクーリング・オフが可能と記載されていたので、B社の担当者にクーリング・オフの書面を送るとメールをしたところ、担当者からは中途解約になると言われた。本当か。

(40歳代 女性 給与生活者)



結果概要

 販売形態の整理をすると、相談者は探偵業者B社の事務所に出向いて契約しており、特定商取引法における電話勧誘販売や訪問販売等には当たらないため同法上のクーリング・オフを主張することはできないと考えられた。しかし、B社の書面にはクーリング・オフが可能との記載があるため、まずは早急にB社に解約を申し出て解約条件を確認するとともに、高額な違約金等を請求された場合は再度相談するよう助言した。相談を受けた翌日、国民生活センター(以下、当センター)から相談者にその後の状況を確認した。すると、相談者はB社に電話で解約を求めたが、再度、お金を取り戻せることを強調され、改めてB社に依頼してしまったとのことだった。そこで、相談者から契約時の状況を聴き取るため、当センターへの来所を求め、次の点を聴き取った。(1)B社はインターネットで「A社 詐欺」と検索してヒットした業者であること(2)B社に対して不安に思った理由は、代表者のプロフィルの記載がなかったこと(3)他の探偵業者に電話したところ「取り戻すことは難しいだろう。消費生活センターに相談するように」と言われたこと(4)解約を申し出る電話をした際に、B社から「我々は悪質業者ではないし、最後まで必ずフォローする。次に会うときに内容をみてもらえば、ちゃんとやっていることが分かってもらえる」等と説明され、不安が解消したので、再度調査を依頼したこと。あわせて、当センターにおいてB社から交付された書面を確認。相談者には「調査委託契約書」「調査委託契約締結に関わる重要事項説明書」が渡されており、探偵業法上の法定記載事項は記載されていた。しかし、契約目的が「企業の実態調査」、調査内容は「代表者の所在調査、身辺調査」となっており、相談者の認識とは異なっていた。

 相談者に、書面上の契約内容は、単にA社の所在調査等であり、業者が相談者のお金を取り戻すという契約にはなっていないこと、また、探偵業者が、返金交渉をすることは弁護士法に違反している可能性が高いことを説明した。

 相談者は当初、解約したい気持ちとB社を信じたい気持ちのはざまで揺れ動いているようだったが、最終的には明確に「契約を取り消し、既払金1万円の返金を求める」と意思が固まった。

 そこで、相談者には契約に至った経緯、解約したい旨等について手紙を書き、B社に送るよう助言した。相談者が手紙を送付した後、当センターからB社に連絡を入れたところ、B社は、「契約の取消し、返金という相談者の主張は受け入れられないが、中途解約には応じるつもりである。また、『お金を取り戻す』という説明はしていない。契約はあくまで調査であり、業務外で相談者自身が返金交渉する際、手伝うつもりだった」と主張した。

 これに対し、当センターから「相談者は説明された内容と契約書の内容がまったく違うので契約の取消しを通知した。中途解約ではない」と伝えたところ、再検討するとのことだった。

 後日、B社から「既に開始した調査費用約10万円を支払ってほしい。お金を取り戻せるとの説明はしていないが、本件は穏便に解決したい。相談者が歩み寄れないのであれば、本件対応を弁護士に頼むことになる」と連絡があった。

 当センターは相談者にB社の回答を伝えたところ「納得できないので、これ以上は払いたくない」との返答があった。そこで改めてB社に相談者の考えを伝えるとともに、「本件のようなトラブルは相談者だけではなく、警視庁でも注意喚起している。今後、同様の誤解を招かないためにも『お金を取り戻すことはできない』旨を契約書にも書き込んでほしい」と伝えた。B社は数日後に結論を出すと電話を切ったが、その後連絡がまったく取れなくなった。そのため、相談者にはこれ以上のあっせんは難しいこと、裁判になる可能性は低いが否定できないことを伝えつつ、今後B社から連絡、裁判所から通知等があった場合には、すぐに相談するよう伝え、終了とした。



問題点

 インターネットで消費者が被害にあった業者名を検索すると、検索上位に探偵業者のホームページがヒットすることもあり、本件のように被害回復をうたう探偵業者とのトラブルは多い。

 消費者がインターネットでみつけた探偵業者の事務所等に出向いて結んだ店舗契約では、特定商取引法によるクーリング・オフなどを主張することができない場合が多い。その際、消費者契約法に基づく不実告知や断定的判断の提供などによる取消しを根拠として交渉することとなる。なお、こうした主張ができない場合でも、探偵業者との契約は準委任契約であると考えられ、相手の損害を賠償することでいつでも解約することが可能であるので、探偵業者が提示する損害の内容の妥当性を詳細に確認することが必要となる。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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