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[2014年7月28日:掲載]

周囲の人の協力でクーリング・オフできた判断力が不十分な人の教材購入契約

介護施設に入所している親が、一人暮らしをしている知的 障がいのある息子を心配して、担当の職員にようすを見に 行ってくれるように頼んだことから、電話勧誘販売で教材 を購入していたことが判明した事例を紹介する。


相談内容

 介護施設で自分の担当する高齢者(要介護度5で寝たきり状態)から、一人暮らしをしている 知的障がいのある息子のようすを見に行ってほ しいと頼まれた。そこでアパートを訪ねたとこ ろ、40万円もする教材の購入契約書や真新しい 教材が部屋に置いてあった。近所の店でのアル バイト収入と障害基礎年金収入の合計およそ10万円が本人の生活費であり、40万円の支払いは 難しいと思われる。本人の話では「見知らぬ人か ら電話がかかってきて、教材を買った」とのこと だったが、詳細は分からない。本人は促される と自分の住所や名前は書けるが、人との会話や 教材の中身については理解できていないと思う。 本人に必要なものかと聞いたら、要らないと言っ た。本人の状況を報告したところ、親からも「解 約してほしい」と言われた。教材は未使用の奇麗 な状態であり、知的障がいのある旨の診断書が あるので、解約できないか。

(相談者:男性 給与生活者/契約当事者:男性 30歳代 給与生活者)



結果概要

 相談を受け付けてすぐ、契約当事者本人に契 約書と教材を消費生活センター(以下、 センター)に持参してもらい、契約までの詳細 な経緯と解約の意思を聞き取った。本人はこち らの質問に対し、記憶していることをゆっくり と話してくれたが、販売店の名称や契約までの 経緯などは覚えていなかった。どのような質問 に対しても「はい、はい」と答えるので、勧誘時 もこのような感じで契約してしまったのではな いかと推測された。

 契約書の日付は、相談日の2日前の日付が記 載されており、相談日に既に本人に教材が届い ている点が不自然だった。本人に確認したとこ ろ「別の会社から送られて来た。毎月、教材のお 金を払っている」とのことで、(1)契約書はあるが 教材が届いてない電話勧誘販売の契約(2)契約書 はないが教材が届いている契約の2つが存在す ることが分かった。(2)については契約書がない ため販売店が特定できないうえに、本人に振り 込み方法や振込先などを聞いても分からないと 繰り返すのみであった。そこで次のように処理 を行った。なお、(2)の契約については、販売店 が特定でき次第、センターから交渉することと した。

(1)契約書はあるが教材が届いていない契約

 本人も親も解約を希望しているため、電話勧誘 販売の契約書に記載されている販売店宛にクー リング・オフのハガキを書いてもらい、並行し て当該販売店にセンターから連絡をした。クー リング・オフをする意向なので、教材の送付は 不要。診断書があり、親も勧誘を受けることを 希望していないので、今後の勧誘を一切断る旨 を伝えたところ、事業者は、この電話をもって クーリング・オフを受ける。今後は連絡をしな いと回答した。

 さらに、契約書にどのような商品を契約した のかが分かるような具体的な教材名、数量、販 売店の代表者名や契約担当者名の記載がないの で、改善されてはどうかと話をしたが、担当者は 「クーリング・オフすると言っているのだから…」 と大きな声で言った。念のために、その担当者 に既に届いている教材についても契約している かどうかを確認した。もし、契約しているので あれば、届いている教材の契約も解約して頂き たいと交渉するつもりであったが、今回の契約 が初めてであるとの回答であった。

 本人にはクーリング・オフできることを伝え クーリング・オフのハガキは必ず発送すること、 万一、商品が届いても受け取りを拒否し、代金 は払わないことを時間をかけて説明した。後刻、 センターから本人にクーリング・オフのハガキ を出したかどうか電話で確認したところ、簡易 書留で出していた。また、届いている教材につ いて代金の支払先の事業者名を思い出したとの ことで、事業者名の提供があった。

(2)契約書はないが教材が届いている契約

 部屋にあった教材は教材というより手作りの 本という印象で、4冊セットになっていた。ど の本も安価な紙で作られており簡単な装丁が施 されていた。出版社名や著作者の記載がなく、 販売店を特定できるものではなかった。

 本人が思い出した事業者名から教材の販売店 らしいことと相手方の電話番号が判明したので、 何回か電話をかけたが呼び出し音が2回鳴って 切れるという状態であった。本人にこの結果を 伝えたうえで、毎月の支払いを止めることを勧 めた。支払いが止まれば相手方から連絡がある と思われ、そこから事業者が特定できるので、 連絡を待つことを提案し、承諾を得た。

 1カ月後、本人に電話をかけ、その後の状況 を確認したところ、「代金の振り込みはしていな いが、センターに相談した後はどこからも電話 が来ない」とのことだったので、いったん相談 終了とした。



問題点

 電話勧誘販売された教材についてはクーリン グ・オフできたものの、既に届けられていた別契 約の教材については本人から詳細な聞き取りが 困難なために契約の詳細が分からないままで あった。判断力が不十分な人であるため、契約 の取消しができると考えられたが、根本的な解 決にはつながらなかった。

 また、今回、相談者である介護施設職員は親の 担当者であるため、息子である契約当事者に対 して、今後も細やかな見守りを続けることは難 しいとのことであった。寝たきりの親以外に親 族のいない契約当事者が今後もトラブルに巻き 込まれることを防ぐためには、見守りや施設入 所等が必要なため、親の希望を受けて相談者が 市の障がい者支援の窓口に相談をした。あらた めて、消費生活センターと福祉の部署との連携 強化が必要であると感じた。



  • ※本記事は、都道府県等の消費者行政担当部署等の情報です。


ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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