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[2014年4月28日:掲載]

銀行で不適切な勧誘を受けて契約した変額個人年金保険

銀行で勧誘を受けた高齢者が、預金だと思って変額個人年金保険を契約してしまった事例を紹介する。


相談内容

 高齢の父が、見慣れない書類とパンフレットを持っていた。父に尋ねたところ、銀行から定期預金の満期のお知らせが届いたので、手続きのため、病院帰りに1人で銀行に出向いた際に、銀行の担当者から「10年後に10万円の利息が付く商品がある」と勧められ、その場で申し込んだとのことだった。パンフレットの内容を確認すると、変額個人年金保険の契約であることが分かった。父には保険商品を契約した認識はなく、家族で話し合った結果、父は解約を希望した。

 銀行から受け取った書面には「契約申し込み日または一時払保険料充当金支払い日のいずれか遅い日から8日以内はクーリング・オフが可能」と書いてある。契約書面を確認した限りでは、既に契約から8日が経過していたが、とりあえず保険会社にクーリング・オフの通知を出した。しかし、保険会社から認められないと言われた。どうしたらよいか。

(相談者:40歳代 女性 無職/契約当事者:70歳代 男性 無職)



結果概要

 相談者(契約当事者の娘)から相談を受け付けた国民生活センター(以下、当センター)では、契約の経緯などについて契約当事者から詳細を聞き取り、以下の内容を確認した。

(1)聞き取り:契約の詳細な経緯

 銀行で定期預金の手続きが終わった後、別室に通され、定期預金の手続きを担当した人とは別の人(以下、担当者)から説明を受けた。パンフレットに記載されたグラフを指さしながら「こんなふうに上がっていきますが、下がることもあります。とにかく、途中で解約をすると損をしてしまうので解約しないでください」と言われた。その他の説明はなく、説明は3分もなかったと思う。その後、すぐに確認書を出してきた。確認書の各事項のチェックをどのように行ったかははっきりと覚えていないが、署名は自分で行った。改めて確認書の控えをよく見ると、チェック印の付いていない事項がある。

 その後、担当者が契約申込書を持ってきたが、契約申込書に娘の生年月日を記載しなくてはならず、娘が生まれた年を思い出せずにいると、担当者が「調べてくる」と言い席を立った。どうやって調べるのか不思議に思ったが、担当者が戻ってきて口頭で教えてくれた。その際、定期預金の手続きを担当した人が顔を見せ「私と同じ年ですね」と言った。契約の申し込みは30分程度で終わり、契約申込書の控えやパンフレット等一式を渡され、家で読むようにと言われた。

 パンフレットを見た娘から指摘されるまで貯金をしたつもりでいたが、保険契約だとは思っていなかった。クーリング・オフの通知を出したが、保険会社からは期間を1日過ぎてしまっているのでできないと言われた。

(2)事業者への確認

 当センターは、契約当事者から聞き取った内容を踏まえ、契約時の説明などについて確認した。

[1]銀行
 銀行は「契約当事者は高齢でかつ投資経験もないと認識しているが、複数の担当者で面談をするなど社内規定を遵守(じゅんしゅ)している。本件の説明は45分以上行った。契約申込書の一部を代筆したこと、一部のチェックが漏れていること、家族の同意を確認していないことは認める」と回答した。
[2]保険会社
 保険会社は、クーリング・オフ期間を1日経過しているが、契約締結過程に問題がなかったか銀行に確認したうえで対応を検討したい、と回答した。
 当センターは、これらの確認内容を踏まえ、保険会社に対し「契約当事者は保険契約をしたという認識すらなく貯金と認識していることから、適切な説明があったのか、本当に社内ルールが遵守されていたのか、また、他の銀行業務で取得した娘の生年月日の情報は本来流用することが許されていないものではないのか、といった問題があると考えている」と伝え、銀行と保険会社とで話し合った結果を連絡するよう依頼した。
 後日、保険会社より、契約締結過程の問題点に鑑み、手数料を含め全額を返金するとの回答があった。この回答を契約当事者と相談者に伝えたところ、了解された。その後返金されたことを確認し、相談を終了した。


問題点

 一般社団法人生命保険協会が定める「市場リスクを有する生命保険の募集に関するガイドライン」*1においては、特に配慮を要する対象となり得る顧客として、高齢者を例示し、高齢の顧客に対しては「より慎重かつ丁寧な勧誘を行い、適合性を判断する上で、不適当と認められる場合には、当該勧誘を中止する」としている。また、一般社団法人全国銀行協会の「生命保険・損害保険 コンプライアンスに関するガイダンス・ノート」*2では、高齢の顧客に対しては、商品のリスクについて特に丁寧な説明が求められるとし、説明時に家族の同席を受けることや十分に検討する期間を設けることなどが例示されている。加えて、代筆・加筆についても、不当な行為の一例として禁止している。

 本件も、銀行の内部ルールにおいては、複数者の面談や家族の同意などを必要とするなど、高齢の顧客に配慮した規定が設けられていた。しかし、実際の勧誘では、実質的な説明は1人の担当者だけで行っていたり、家族の同意を得ないまま手続きが進められるなど、銀行内のルールが形骸化していたばかりではなく、他の銀行業務で知り得た情報を本件契約に流用するなど、適切なプロセスが踏まれていないという問題点が明らかになった。このようなことが起こらないよう、保険の勧誘を行う事業者は、適切なプロセスを経たうえで契約することを社内で徹底する必要があると思われる。

  1. *1 市場リスクを有する生命保険の募集に関するガイドライン[PDF形式](一般社団法人生命保険協会)
  2. *2 生命保険・損害保険 コンプライアンスに関するガイダンス・ノート[PDF形式](一般社団法人全国銀行協会)


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ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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