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[2014年1月28日:掲載]

新聞の購読契約の解約を申し出ると高額な景品代金相当額を請求する新聞販売業者

高額な景品で勧誘され、10年後に新聞購読を開始する契約をしたが、購読開始前に解約を申し出たところ、景品の代金相当額を請求されたという事例を紹介する。


相談内容

 今なら液晶テレビがもらえると勧誘され、新聞を「10年後から7年間」という期間で購読する契約を5年前にした。しかし、最近になって目が悪くなり、新聞が読めなくなってきたため、これからさらに5年経ってから7年間も続けて新聞をとるのは長過ぎると思うようになった。販売業者に解約を申し出たところ、景品として渡したテレビは5万円以上するものなので、解約するならテレビの代金を現金で支払うか、同じ機種のテレビを買って返してほしいと言われた。まだ新聞の配達も始まっておらず、解約のためにこんなにお金がかかると分かっていたら契約しなかった。

(60歳代 女性 家事従事者)



結果概要

 相談を受けた国民生活センター(以下、当センター)は、契約時の経緯などを聞き取ったが、強引な勧誘などはなく、契約書面の不備もみられなかった。

 景品表示法の告示である「新聞業における景品類の提供に関する事項の制限」*1および新聞業界の自主規制である「新聞業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約及び施行規則」(以下、公正競争規約)*2では、景品の上限額(取引価格の8%または6カ月分の購読料の8%のいずれか低い金額)が定められている。その上限額(本件では、約2,000円)を超える景品が提供されている点は問題だが、景品表示法に違反する景品によって消費者が誘引された結果、契約が締結されたとしても、直ちに当該契約の民事的な効果が否定されるわけではなく、景品の返還を拒否する法的な根拠は乏しい。そのため、無条件での解約は難しいと思われることを相談者に説明した。相談者が、譲歩するつもりはあるとの考えを示したため、当センターであっせんを行うこととした。

 当センターでは、景品表示法に違反する景品を提供して契約をさせたことを指摘し、販売業者に対して請求金額を減額できないか検討を求めることとした。まず、景品表示法の上限額である約2,000円の支払いで合意できないか交渉したが、販売業者は応じなかった。そこで当センターで調査したところ、インターネット上では同型のテレビが約2万円で販売されていたことから、それを販売業者に伝え、相談者から販売業者に2万円を支払うか、その金額相当まで契約期間を短縮できないかと提案した*3。販売業者は当初、「3年間は購読してもらわないと赤字になる」と主張したが、相談者は「3年間も購読することはできない」とのことであった。

 公正競争規約により販売業者を含む新聞販売店は、提供する景品を地域の新聞公正取引協議会へ届け出て承認を得ることになっているが、販売業者はこれを行っていなかった。この点もあわせて販売業者に指摘し検討を求めたところ、販売業者は、「テレビの購入金額を新聞購読期間(7年)で案分し、短縮後の契約期間として提示した3年分に相当する約2万5000円を支払ってもらえれば契約を解除する」との条件を提示した。相談者に確認したところ、この条件で合意するとの意向を示した。後日、相談者からの支払いを確認して相談を終了した。

 ところで公正競争規約では、景品の提供に関して新聞社の指導監督責任を定めている。当センターは、あっせんに入った段階で新聞社にも連絡し、販売業者への指導などを含む対応を求めた。あわせて当センターから、景品表示法などのルールを守って景品を提供すること、特に高齢者の長期契約と先付契約(契約から購読開始まで期間が何カ月または何年も先になる契約)を慎むことなどについて指導してほしいと伝えた。

  1. *1 平成12年8月15日公正取引委員会告示第29号[PDF形式](消費者庁)
  2. *2 平成21年8月31日公正取引委員会告示第17号
  3. *3 景品の価格は「景品類の価額の算定基準について」(昭和53年11月30日公取委事務局長通達第9号)のなかで、「景品類と同じものが市販されている場合は、景品類の提供を受ける者が、それを通常購入するときの価格」により算定されることになっている。景品を受け取る際は一般的な販売価格を参考にするとよい。
  4. 参考:「なかなか減らない新聞のトラブル−高齢者に10年以上の契約も!解約しようとしたら断られた!−」(2013年8月22日 国民生活センター公表)
    ウェブ版「国民生活」2013年4月号「苦情相談」[PDF形式]


問題点

 新聞の購読契約の解約時に、消費者に渡された高額な景品の代金相当額を販売業者が請求することについては、その高額な景品の提供自体が景品表示法に違反しているという問題はあるものの、消費者が景品の返還やその価格相当額の支払いを拒否できるという法的根拠は乏しい。そのためか、全国の消費生活センター等に寄せられる相談をみると、高額な景品を提供した販売業者が、強硬に景品代金相当額の支払いを求めるケースが少なくない。

 景品の提供に関しては、景品表示法だけではなく、公正競争規約において詳細なルールが定められている。上限額を超える景品の提供は、公正競争規約の違反措置の対象であり、新聞公正取引協議会によって「違反行為の停止又は撤回」が行われる。これは、景品類の提供の中止だけでなく、購読契約の破棄や既に配達中の新聞の配達中止などを行うことも含まれる。ただし、この措置が行われる際、提供済みの景品の扱いは地域の新聞公正取引協議会の判断に委ねられている。

 また、公正競争規約によると、提供する景品は事前に地域の新聞公正取引協議会に届け出て、景品表示法や公正競争規約で定められる上限の範囲内の価格であるか判定を受けなければならない。届出を行わずに景品を提供した場合の販売業者に対する措置も定められている。

 当センターでは、本件のような解約時のトラブルも含め、新聞のトラブルは販売業者や新聞社の問題であると同時に、業界全体の問題であると考え、2013年8月20日、トラブルについての情報提供とともに、業界への要望を行った。その結果、「新聞購読契約に関するガイドライン」が作成され(2013年11月21日)、不適切な契約(威迫、不実告知や公正競争規約の上限額を超える景品類の提供等)が行われていたり、考慮すべき事情(購読者の死亡や購読が困難になる病気・入院・転居等)がある場合は、解約に応じるべきであることなどが盛り込まれた。

 当センターでは、今後もトラブルをなくすための業界の取り組みについて注視していきたい。



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ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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