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[2013年10月28日:掲載]

担保価値のない物品を質に取り、実際には違法な高金利でお金を貸す「偽装質屋」

 お金に困っている高齢者などに対して、担保価値のない物品を質に取り、実際には年金などを担保として違法な高金利で貸し付けをする「偽装質屋」の事例を紹介する。

相談内容

 1カ月前、親戚が質屋からネックレスを質草に10万円を借りた。1カ月後に元金の10万円と利息を返済したが、その返済によって手元にお金がなくなってしまった。再びその質屋からお金を借りようとしたら、「廃業するのでもうお金は貸せない」と言われた。その後、この質屋が警察に摘発されることをニュースで知った。お金を取り戻せないか。

(契約者 70歳代 女性 無職)

結果概要

 相談を受けた国民生活センター(以下、当センター)は、本件は警察の摘発を受けた業者に関するものであるため、警察に通報するよう伝えた。また、契約した当事者本人から直接相談するよう勧めた。

 その後、再び相談者から連絡があり、質屋が摘発される前日に、一方的に10万円と質草のネックレスを戻してきたと親戚から聞いたとのことであった。再度本人から直接相談するよう伝えたが、連絡がなかったため相談を終了した。

問題点

 本件は、偽装質屋に関する相談であった。偽装質屋とは、高齢者などに対して「質草は何でもいい」などと言って担保価値のない物品を質に取り、実際には年金などを担保として、出資法*1の上限金利を大きく上回る違法な高金利で貸し付けをする業者のことである。当センターでも2013年6月に注意喚起を行った*2。

(1)偽装質屋の手口

 「小口融資専門」「高齢者も歓迎」「保証人等は不要」などとうたったチラシ広告を用い、それを見た消費者が業者に電話をかけたり、直接店舗を訪れるケースが多い。その後、業者から「質草は何でもいい」「返済は年金口座からの自動引き落としとなる」などと言われ、担保価値のほとんどない時計やボールペンなどの物品を質草として業者に預け、数万円から15万円程度の貸し付けを受ける。その際、年金口座からの自動振替手続の書面に記入させられたり、年金口座の通帳やキャッシュカードを直接業者に預けさせられることもある。これにより、2カ月に一度の年金受給日に合わせて消費者の口座から引き落とされたり、業者自らが消費者の通帳やキャッシュカードで現金を引き出して、元金と利息の返済が行われる。

 貸し付けの利息は、貸金業において認められている上限金利の年20%をはるかに上回る年96%(月8%)などが多く、それ以上の場合もある。預けた質草の質流れはさせてもらえず、消費者は、高金利の借金を返済させられることになり、手元にお金がほとんど残らなくなってしまうため、結果的に業者から同様の借り入れを繰り返さざるを得なくなってしまう。

(2)偽装質屋の実態

 質屋営業とは、物品を質に取り、流質期限までに債権の弁済を受けないときは、質物をもって弁済に充てる約束をして金銭を貸し付ける営業のことで(質屋営業法1条1項)、質屋営業のためには各都道府県公安委員会の許可を受けなければならないとされており(同法2条1項)、これまでに摘発された偽装質屋は、質屋営業の許可は得ていたものと考えられる。

 しかし、偽装質屋は、担保価値のない物品を質に取り、質流れをさせずに、年金口座からの自動引き落とし等によって元金や利息の支払いをさせるなど、事実上年金を担保にした貸し付けを行っている。このことから、質屋営業の許可は得ていても、その実態は質屋営業ではなく貸金業であると考えられる。そのため、貸金業法上の登録が必要であるが、偽装質屋はその登録を行っていない。

 質屋営業においては、貸付金の上限金利が年109.5%まで認められるが(質屋営業法36条1項)、貸金業においては、上限金利が年20%を超えると刑事罰が課される(出資法5条2項)。また、利息制限法においても年15 〜 20%の上限金利を超えると、超過分の利息は無効とされる(利息制限法1条)。偽装質屋は、実態は貸金業であるにもかかわらず、出資法の上限金利をはるかに上回る高金利で貸し付けを行っている。

(3)事実上、年金を担保にした貸し付けの問題

 偽装質屋による貸し付けの対象は年金の受給対象である60歳以上の高齢者が多い。偽装質屋から一度借り入れをしてしまうと、年金から元本や利息を返済することになり、生活資金として手元にお金が残らなくなるため、消費者は同様の借金を繰り返さざるを得なくなる。

 偽装質屋は、事実上年金を担保にした貸し付けを行っているが、貸金業法では、貸金業を営む者が、貸し付けの弁済を受けるために、年金口座から引き落としを求めることなどを禁止している(貸金業法20条の2)。また、国民年金法や厚生年金保険法では、法律で認められた場合を除いて、年金の給付を受ける権利は担保に供することができない(国民年金法24条、厚生年金保険法41条)。

 このように、偽装質屋は、困窮した年金受給者をねらい、非常に悪質な手口を用いて貸し付けを行うヤミ金であるといえる。最近では、警察により業者が逮捕された事例も出てきているが、偽装質屋による被害を防ぐためには、関係機関が連携し、いっそうの取り組みを行うことが必要である。

  1. *1 「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」
  2. *2 「いわゆる「偽装質屋」からは絶対に借り入れしないで!−「質草は何でもいい」「年金口座から自動引落し」などのうたい文句に注意−」(2013年6月3日 国民生活センター公表)

ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。