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[2013年6月13日:掲載]

電話による不十分な説明でモバイルデータ通信を契約させる業者

 モバイルデータ通信を利用したことのない消費者が、業者から電話で勧誘を受け、契約内容などを正確に理解できないまま契約してしまった事例を紹介する。


相談内容

 大手電気通信業者Aの代理店を名乗る業者(以下、販売代理店)から電話があり、「今ならWi-Fiルーター*1を無料で進呈する。光回線契約のプランを変更することにより、これまでと同程度の月額料金で、タブレット型端末やスマートフォンでインターネットが使い放題になる」などと勧誘を受けた。これまでにモバイルデータ通信を利用したことがなく不安だと伝えたが、「うまくつながらない場合はサポートする」と言われたため契約した。業者からは、「通信の契約なのでクーリング・オフはできない」とだけ説明され、解約期間の制限、解約時の違約金、提供エリアやベストエフォート型のサービス*2であることなどの説明はなかった。その後、販売代理店からもう一度電話があり、主に料金に関する説明をされた。料金の支払い方法はクレジットカード決済になると言われたが、銀行口座振替で支払うことにした。

 後日、書面が届いたが、中には聞いた覚えのない電気通信業者Bの社名が記載されていたほか、電話で聞いた月額料金とは異なる契約金額が記載されていた。また、自分はインターネットを日頃から頻繁に使用しているが、今回契約したプランは従量制*3で、常にプランの上限額に達してしまい、月額料金の合計は今と同程度どころか高額になってしまうことが分かった。自分にとってメリットがないし、不審に思ったので契約をやめたい。

(60歳代 男性 自営・自由業)

  1. *1 複数台のIT端末をWi-FiでつなぐことができるIT機器のこと。詳細はウェブ版「国民生活」2013年1月号「通信サービスの基礎知識(4)無線回線によるブロードバンド通信」参照。
  2. *2 ベストエフォート型の通信サービスの場合、通信速度の最大値は決められているが、必ずしもその値を達成することは保証していない。これに対し、ギャランティ型のサービスは常に一定の通信速度や品質を保証している通信サービスである。
  3. *3 利用時間・データ量に応じて課金される料金体系のこと。なお、利用時間・データ量にかかわらず料金が一定である料金体系を定額制という。


結果概要

 相談を受けた国民生活センター(以下、当センター)は、相談者から詳細な聞き取りを行った。

 販売代理店は、大手電気通信業者Aの代理店であるかのように名乗っており、本来の契約相手である電気通信業者B(以下、通信業者)の名称は相談者に伝わっていなかった。また、販売代理店は、現在と同程度の月額料金になると強調し、勧誘しているプランの料金や相談者が負担する料金の内容についての詳細な説明をせず、変更後のプランが従量制であることやサービスの「提供エリア」があること、ベストエフォート型のサービスであることについても説明していなかった。さらに、相談者が契約の解除を申し出た場合、解約期間には制限があり、24カ月以内に解約するには違約金が必要であることを相談者は認識していなかった。販売代理店からの説明がなかったか、あったとしてもきちんと相談者に伝わっていないと思われた。

 相談者がまだ銀行口座振替申請書を通信業者へ送付していなかったため、契約は成立していない可能性があった。また、通信に必要なWi-Fiルーターが相談者のもとへ届いていなかったので、サービスの利用開始期も到来していないものと考えられた。

 以上を踏まえ、当センターでは通信業者へ契約の経緯について確認し、契約が成立していた場合には、相談者の申し出に基づいた本件契約の問題点を伝えて交渉することとした。

 通信業者は、本件の経緯を販売代理店に確認したうえで、当センターに次のように回答した。

 「当初、販売代理店は相談者に他のプランを勧めていたが、クレジットカード決済でなければ適用できないプランだったため、本件プランを提案した。しかし、相談者にはプランの変更についてきちんと伝わっていなかったことから、電話での説明内容と送付書面の内容が異なることになってしまった。販売代理店の説明が不十分であった。Wi-Fiルーターの送付前であるため、無条件で契約を取り消す」

 本件は、相談者が一切の金銭負担を負うことなく契約取消しとなったので、相談を終了した。



問題点

 本件のように、もともと積極的に利用するつもりのない消費者にモバイルデータ通信についての知識があるとは考えにくく、さらに不意打ち的な電話勧誘では電気通信業者の代理店の説明をうのみにしやすい。そのため、「モバイルデータ通信サービスとWi-Fiルーターの契約を電話で勧誘され、いったん契約を承諾したがやはりやめたい」といった同種内容の相談はほかにも寄せられている。

 業者によっては、契約から一定期間内は無償で解約に応じる場合もあるが、モバイルデータ通信契約は特定商取引法の適用除外に当たるため、クーリング・オフ制度は適用されない。

 モバイルデータ通信契約のトラブルについては、以下の問題点が挙げられる。

(1)消費者が契約の意思を明確に表示するための書面がない

 電話勧誘の場合、口頭で承諾したものの、「後で正式な申込書面が送付され、その書面に必要事項を記入し通信業者に提出して初めて契約となる」と思い込んでいる消費者が多い。モバイルデータ通信サービスに関心のない消費者を電話で勧誘し、電話のやりとりだけで契約を成立させる方法が、トラブルを招いているともいえる。

(2)業者が料金の安さを断定的に告げている

 「勧誘時の説明と異なり、実際には安くならなかった」という相談も寄せられている。料金が安くなるという根拠について、業者の説明があいまいで根拠が不十分なケースがみられる。

(3)消費者に業者名を誤解させるような名乗り方をしている

 本件のように販売代理店が、大手電気通信業者の代理店であると名乗り、本来の契約先である電気通信業者名を告げなかったことにより、消費者が誤解したという相談が寄せられている。消費者にとっては、相手がどのような業者なのかということが、契約するかどうかの判断に影響するため、誤解のないように本来の契約先業者名を名乗るべきである。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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