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[2013年2月26日:掲載]

エステサロンの事業を引き継ぐという業者から入会手数料を請求された脱毛エステ

 エステティックサービス業者が未施術分を残したまま営業を終了した。引き続きサービスを提供するという業者が現れたものの、その後連絡が取れなくなってしまった事例を紹介する。


相談内容

 雑誌広告を見て店舗に出向き、脱毛エステサービスのコースをクレジットカード払いで契約し何度か施術を受けた。その後しばらくして突然、業者が営業を終了するため、継続して施術を受けたい場合は業務を引き継ぐ業者に入会手数料を支払うようにとの文書が、引き継ぎ業者から届いた。引き続き施術を受けるつもりはなく、まだ施術を受けていない分の代金を返してほしい。

(20歳代 女性 家事従事者)



結果概要

 相談者が契約しエステティックサービスを受けていた業者(以下、契約先業者)は既に解散しており、解散の約1カ月後には解散公告を出していた。だが、顧客はその事実を伝えられておらず、解散後4カ月近く経ってから、契約先業者の業務を引き継ぐという業者(以下、引き継ぎ業者)からの文書が届いて初めて解散の事実を知ることとなった。

 引き継ぎ業者からの文書には、施術の継続を希望する場合は引き継ぎ業者への入会手数料を支払うよう書かれていた。国民生活センター(以下、当センター)には、当該文書が届いた頃から、契約先業者および引き継ぎ業者に関する苦情が複数件寄せられるようになった。

 当センターから契約先業者に連絡を取ってみたが応答がなく、解散公告にある債権者の申出期限(2カ月以内)が迫っていたため、申出期限が延長できるか検討した。

 会社法の規定によると、解散時には官報への公告かつ債権者への個別の催告を行うことが定められている(499条*1)が、契約先業者は個別の催告を行っていなかった。引き継ぎ業者から顧客へ文書が届いていることから、契約先業者が個別の債権者を認識していなかったとは考えられない。個別の催告ができるにもかかわらず行わなかったのであるから、期限を過ぎていても債権者の申し出は可能と判断した。

 このため、当センターは、契約の経緯と解約返金を求める書面を契約先業者に送付するよう相談者に助言した。

 その後、当センターに引き継ぎ業者の関係者を名乗る人物から連絡があり、引き継ぎ業者は契約先業者から店舗を買い取っただけであり債務を引き継いだわけではないため、契約先業者の顧客から未施術分の返金を求められても対応できない、と主張した。

 この人物の話から、契約先業者と相談者間のクレジット契約において決済代行業務を行っていた業者(以下、決済代行業者)が判明したため、当センターは、決済代行業者と交渉を行うことにした。

 決済代行業者は、契約先業者と引き継ぎ業者の双方から業務の引き継ぎについて説明を受けており、引き継ぎ業者が苦情に対応すると聞いているため状況を見守るとのことであったが、引き継ぎ業者の関係者の話と食い違っているなど、本件引き継ぎには不審な点が多いことを当センターから伝え、顧客への対応を依頼した。

 その後、引き継ぎ業者が営業を開始すると説明していた時期に、引き継ぎ業者の店舗へ施術を受けに出向いたが営業していなかった、という情報を入手した。そこで当センターは店舗の所在を確認したが、やはり営業は行われていないと思われる状況であった。このため、決済代行業者に確認したところ、同様の問い合わせを複数受けており、対応を検討中とのことであった。

 検討の結果、決済代行業者は、(1)顧客が引き継ぎ業者に支払った入会手数料は返金する(2)契約先業者の解散前後の一定期間に契約した人で、未施術分がある顧客については、未施術分を返金する、と回答した。しかし、個別事情によるため、案件によっては確実に返金するとの約束はできないとのことであった。

 本件相談者については、相談から約1年後に決済代行業者による返金を受けることができたため、相談を終了した。

  1. *1 会社法第499条 清算株式会社は、第475条各号に掲げる場合に該当することとなった後、遅滞なく、当該清算株式会社の債権者に対し、一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、当該期間は、二箇月を下ることができない。


問題点

 本件は、エステティックサービス業者が解散し、その業務を引き継ぐという業者が現れ、顧客にサービスを提供するとして入会手数料を要求したにもかかわらず、引き継ぎ業者はほとんど営業しないままいなくなってしまったという案件であった。

 この業者に関しては同じような相談が複数寄せられていたが、全般的な対応状況をみると、代金の支払いにクレジットカードを利用した一部の消費者については、カード発行業者によるチャージバック*2や決済代行業者の負担により、返金を受けることができた。

 ただし、決済代行業者による返金については、個別案件における返金の可否の検討に長時間を要し、契約時期により返金の可否が分かれる結果となった。

 また、現金払いの相談者の場合には、契約先業者、引き継ぎ業者ともに連絡が取れないため交渉ができず、返金を受けることはできなかった。

  1. *2 チャージバックとは、イシュアー(クレジットカードを発行する会社)がアクワイアラー(加盟店契約会社)に対して代金の返還を請求する手続きで、国際ブランドが決めたルールである。チャージバックをするかどうかの判断はイシュアーに委ねられている。たとえ同種案件で国際ブランドが同じであってもイシュアーの考えにより被害回復の明暗を分けることがあり、イシュアーが消費者の立場に立って積極的にチャージバックをする場合もある。ウェブ版「国民生活」2012年11月号特集参照。



ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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