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[2012年10月26日:掲載]

安い価格を表示して予約を取り、実際は高額な手術代を請求する美容クリニック

未成年者(契約当時)に対し、美容整形を含む高額な包茎手術を両親の同意なく契約させた事例を紹介する。


相談内容

 インターネットの情報サイトで推薦されていた美容外科クリニック(以下、クリニック)のホームページを見たところ、包茎の治療でナイロン糸を使用した場合は約8万円、吸収糸を使用した場合は約10万円と書かれており、さらに美容整形の施術を加えた場合の例として30万円程度との記載があった。低料金で手術ができると思い、クリニックに電話してカウンセリングの予約をした。

 当日、カウンセラーから仮性包茎について説明を受けた。その際、両親に相談しておらず、手術について承諾を得ていないことを伝えた。別室で医師の診察を受けた後、カウンセラーから、「あなたはカントン包茎*であり、状態が良くない」と言われ、治療コースについて説明を受けた。30万円のコースだと美容整形の施術がなく、50万円のコースは美容整形施術があり、80万円のコースは、50万円のコース内容にさらに美容整形施術を追加したものとなっていた。手術後の失敗例などの写真を見せられながら、「総額100万円を超えるが、値引きして約80万円にする」と言われた。未成年のうちに手術を受けても大丈夫か聞いたところ、カウンセラーから「未成年者が手術代金を分割で支払う場合、金利が付かない」と言われた。失敗例を見ていたので、あのようにはなりたくないと、一番高額な80万円のコースを選び、手術を受けた。手術後にクレジットの申込用紙を渡され、親の同意が必要だったが、内緒で手術を受けたため、自分で父親の名前を書き、契約書には母印を押した。

 これまでに数回支払ったが、母親にクレジット契約書を見つけられ、父親から「なぜ相談しなかったのか。本来泌尿器科で受診すべきであり、手術代が高額だ」と言われた。契約を取り消したい。

(20歳代 男性 給与生活者)

  • *強く包皮をむくと何とか亀頭部が露出するが、そのままだと包皮の狭くなった部分が陰茎を締め付け血行を阻害して、亀頭部が壊死してしまうような状態やそれに近い状態。


結果概要

 相談を受けた国民生活センター(以下、当センター)は、相談者と両親の連名で未成年者契約の取消通知をクリニックに送るよう助言した。

 そして、クリニックから相談者に渡された施術明細を記した書面をもとに美容外科の専門医に手術内容などについて尋ねたところ、「カントン包茎は健康保険の適用を受ける。明細に記載されている内容はすべて無意味な施術である」との見解を得た。

 当センターよりクリニックに事実確認を行ったところ、診察については「医師が包皮の長さなどを計測して診断表を作成し、それをもとにカウンセラーが相談者に説明した」とのことだった。料金については、「ホームページに記載されている料金は基本料金である。基本料金でできる手術だけでは見た目が悪いので、自然な形になるようデザインする。3つのコースを案内し、分割にしても20歳前なら金利が付かないと説明したところ、相談者から80万円のコースにするという意思表示があった。手術の強制はしていない。材料を使用してよりきれいな仕上がりになるよう手術したのだから、最低限治療した部分は支払うべきだ」と主張した。

 当センターよりクリニックに対し、相談者へ診断表のコピーを送付するよう依頼するとともに、「相談者は、手術後の状態は良好なので未成年者取消しをしても利益を受けた限度で代金を支払う意向がある」と伝えた。

 その後、当センターは、相談者にクリニックの診断表を持って泌尿器科の診察を受けるように依頼した。後日、相談者から「泌尿器科に行ったが、既に手術を受けており異常もみられないため診察は受けられなかった。しかし、話を聞くことはできた。保険適用の場合は3割自己負担で6,000円程度、全額自己負担の場合は2万円程度であると言われた」と報告があった。

 当センターより、泌尿器科で言われた全額自己負担とした場合の金額である2万円を支払うことについて相談者に提案し、了承された。

 当センターが、クリニックに対して2万円であれば支払うと伝えたところ、クリニックは、「泌尿器科など一般の病院はただ単に切って縫うだけなので安価である。基本治療費8万円に亀頭直下のデザイン料を加算した19万円を支払ってほしい」と主張した。当センターが「カントン包茎との診断であれば本来保険の適用対象ではないか」と指摘したところ、クリニックは「相談者の場合は、カントン包茎でも保険適用になるほど腫れておらず重度ではなかった。基本治療費から既払い金を引いた5万円を追加で支払うのはどうか」との提案があった。当センターから相談者に亀頭直下のデザインについて聞くと、相談者は「デザインは希望しておらず、デザインについての説明は理解できなかった」と答えた。

 当センターよりこれを伝え、クリニックが対応を検討した結果、既払い金(約3万円)を返金しないことで合意し、相談を終了した。



問題点

 クリニックのホームページには、仮性包茎の手術が安くできると思わせる表示がある。ホームページを見ただけでは、診察後、結果的に美容整形施術が付加され高額になるという予想がつきにくい。

 また、クリニックは、未成年者(契約当時)である相談者に割引価格を提示して契約を急がせ、出向いた当日に手術を行っていた。そして、両親の同意を得ていないことを承知のうえで、クレジット申込用紙の項目すべてを埋めるように促し、さらにクリニックから両親に対し確認の連絡を取らないまま契約させていた。

 包茎手術の場合、若者が、親族にも相談できずにインターネットで情報を収集して美容外科に出向くことが多い。包茎手術のトラブルについては報道されにくく、消費者がトラブルを知る機会は少ない。学校教育の中で取り上げるなど、若者が正しい知識を身に着ける機会が必要である。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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