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[2012年9月27日:掲載]

無料チケットで施術を受けた消費者に対し高額な美容医療契約を締結させるクリニック

街頭で声をかけられて案内された事務所で、美容外科クリニックの無料チケットをもらい出向いたところ、高額な美容医療の契約をさせられてしまった事例を紹介する。

相談内容

 繁華街を歩いていたところ、「アンケートに答えてくれたら、抽選で商品が当たるゲームができる」と男性から声をかけられ、近くのビルの中にあった事務所へ案内された。事務所には機械が設置されており、その機械でクーポンサイトにアクセスして無料の会員登録を行った。アンケート記入後、登録したサイトで抽選ゲームをしたら、美容外科クリニック(以下、クリニック)の無料特別優待チケットが当たった。チケットには「特別優待」「脱毛無料」などの文字が並んでいた。その場で予約を入れるように言われ、クリニックに電話して予約を取った。

 後日、クリニックに出向いた。受付に置かれた箱の中には何枚も同じチケットが入っており、待合室は人でいっぱいだった。問診表に記入し、医師から説明を受けた後、担当カウンセラーから無料のケミカルピーリング*1の施術を受けた。その後、担当カウンセラーから「特別優待で来る人はめったにいない」「特別優待は無料体験だけではなく、他にもお得なことがある」「特別優待を受けられるのは今日だけで、他の日だと高くなる。今契約すると、後で他のコースを追加契約するときも特別優待の値段で契約できる」などと言われ、お得ならよいと思って全身脱毛コースをクレジット払いで契約した。

 クリニックを出てから契約書を見ると、高額な契約をしていることに気がついたので、クリニックに戻り契約をやめたいと伝えたが、担当者が不在のため後日連絡をもらうことになった。無料のチケットを利用するだけのつもりでクリニックに行ったのであり、高額な契約をするつもりはなかった。解約したい。

(20歳代 女性 給与生活者)

  1. *1 化学薬品などを使って古い皮膚の表面をはぎ取り、新しい皮膚 を形成させる美容法。

結果概要

 相談を受けた国民生活センター(以下、当センター)は、相談者に信販会社から本件契約について確認の電話があったときに、契約しないように伝え、クリニックにも解約を申し出るよう助言した。相談者は、当センターの助言どおり、信販会社からの電話に対して本件契約をしない旨を伝え、クリニックにも解約を申し出たところ、了承された。

問題点

 相談は解決したが、本件契約には次の問題点がみられた。

  • 医療機関が、キャッチセールスのような行為で無料チケットを渡し、特典を強調し消費者を急(せ)かして契約させていること
  • カウンセラーが医療行為と思われる施術を行ったり、医療脱毛の契約を医師の診断なく契約させていること
  • クレジットの契約書には「医療費」とのみ記載されており、信販会社が契約内容を把握していないおそれがあること
  • チケットが医療法の医療広告に該当する場合「特別優待」「脱毛無料」などの記載は医療法上の禁止表現に該当するおそれがあること

 当センターから、信販会社、クリニックおよび所管官庁にこれらの問題点について確認したところ、以下のような回答があった。

信販会社

 「クリニックの販売方法について、特定商取引法(以下、特商法)に定める取引には該当せず、医師の診察も行われているため、特に問題があるとは思わない。また、当社にはクレジットの契約書と同時に、クリニックの契約書が送付されており、その書面で具体的な医療行為の内容などを確認している」とのことであった。

クリニック

 「新規の患者を獲得するためにコンサルティング業者と契約しており、本件の販売方法はコンサルティング業者が考えた方法であってクリニックは関知していない。また、医師が施術前にきちんと施術内容について説明している」とのことであった。

所管官庁

 「医療機関は、医療法第7条第5項*2により、営利を目的としてはならない。また、医師法、保健師助産師看護師法に定める資格を持たない者が医療行為を行うことはできない。カウンセラーが医師の診断なく医療脱毛を契約させていることについては、施術前に医師が診断を行う必要がある。本件のチケットが広告に当たるかどうかについては、事務所に呼び込んだ人のみがチケットを認知できる状態と考えられるため、医療広告には該当しない」とのことであった。

 クリニックは、単に無料の施術を受けに来た消費者に対し、特典を強調して美容医療の契約をさせているが、医師ではない者が勧誘や契約にかかわる行為を行っているのは問題である。

 また、クリニックの無料チケットは、抽選で珍しく当選したかのように消費者へ渡されているが、クリニックの受付に何枚も同じチケットがあったという相談者の話などからすると、クリニックはコンサルティング会社を通して無料チケットを多数の消費者に渡している可能性が高い。

 本件の販売方法は、キャッチセールスに類似している。しかし、契約のきっかけが無料チケットであっても、勧誘を行った業者と実際に契約したクリニックとは別業者であること、また、消費者が自らクリニックの予約を取り、いったん帰宅して後日クリニックに出向いていることなどによりキャッチセールスには該当しないと考えられる。

 クリニックは数年前からこのような勧誘を行っており、こうした脱法的な販売方法は問題が多いと考えられる。

  1. *2 医療法第7条第5項「営利を目的として、病院、診療所または 助産所を開設しようとする者に対しては、前項の規定にかかわ らず、第1項(開設)の許可を与えないことができる」

ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。