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[2011年8月26日:掲載]

身に覚えのないカードローン

 第三者が本人になりすまして勝手に契約を結び、本人が身に覚えのないカードローンの返済を請求された事例を紹介する。


相談内容

 貸金業者A社から「4年前に融資したカードローンの返済が昨年秋頃から滞っている。残債を返してほしいが本人の携帯電話にかけてもつながらない」という電話が実家にかかってきた。まったく身に覚えがなく、A社に連絡したところ「インターネット上で融資の申し込みがあり、無人契約機で運転免許証等の提示を受けた。申込用紙に携帯電話番号が書かれている」等の説明があった。

 以前、運転免許証等の公的身分証明書を紛失したことがあり、別人が自分になりすまして借金したのではないかと思った。その旨をA社に伝えたところ、A社からは「警察で被害届が受理され、その写しを送ってくれれば対応する。ほかにも複数の貸金業者からの借金があるようだ」等と言われた。

 借金はまったく身に覚えがない。請求を取り下げて欲しい。

(20歳代 男性 給与生活者)



結果概要

 国民生活センター(以下、当センター)では、相談者の借り入れ状況等を確認するため、相談者に次の対応を求めた。

  1. [1]A社が加盟している個人信用情報機関に対し、個人信用情報の開示を求めること。
  2. [2]A社以外の貸金業者に対し、別人が相談者になりすまして契約した旨を主張し、請求を止めるよう求めること。
  3. [3]A社に対し、相談者本人がカードローンを利用したと判断した理由の確認を求めること。また、A社の指示に従いA社に抗弁書を提出し、警察に被害届を出すこと。

 当センターの助言を踏まえ、相談者が個人信用情報の開示を求めた結果、A社を含む複数の貸金業者から合計約300万円の借り入れがあり、約200万円を超える額の残債があると記録されていることが分かった。いずれも相談者にはまったく身に覚えのないものだった。

 また、相談者がA社以外の貸金業者に事情を伝えたところ、B社に債権を譲渡したという貸金業者C社を除き、請求しないと言われた。A社からは「無人契約機で提示された運転免許証の写真と防犯カメラに映った顔が一致する」「申込用紙の署名と抗弁書の署名が似ている」等の説明があった。

 当センターでは「金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律」(以下、本人確認法*)に基づく本人確認が実際に行われたかを確認するため、相談者に対し、A社とB社に契約時の本人確認書類の写しの送付を求めるよう助言した。

 一方、相談者は警察に事情を伝えた。被害届は受理されなかったが、警察が相談者の心当たりのある知人に直接電話したところ、その知人が相談者になりすまして借金した事実を認めたということだった。

 その後、当センターは相談者と面談した。相談者が持参した資料等で確認した結果、相談者はその知人とまったく顔が似ておらず、A社が送付してきた契約用紙の控えの署名と抗弁書に相談者が自筆した署名も実際は似ていないことが分かった。

 以上の事実を踏まえ、当センターはA社に対し、相談者の知人が相談者になりすまして契約したことを認めており、その知人が借金の残債を全額返済する旨の誓約書もあること等を伝えた。

 A社は誓約書だけでなく、相談者が運転免許証等を紛失し再発行を受けていること、警察に相談していること等を含め相談の経緯を時系列にまとめた書面を提出するよう求めてきた。当センターがその旨を相談者に伝えたところ、相談者はこれに応じた。

 後日A社から、相談者の知人が残債を返済したため、相談者の個人信用情報を訂正し、契約書を返還すると連絡があった。その後、相談者は個人信用情報の訂正を確認し、A社から契約書の返還を受けた。

 また、当センターがB社と連絡を取ったところ「債権回収を代行しているだけなので、C社からの指示があれば請求は止められる。なりすましの事実が判明すれば相談者の個人信用情報の訂正の求めにも対応する」ということだった。

 後日B社から、相談者には残債の返済を請求しない旨の連絡があった。B社としては、今後は相談者の知人と直接連絡を取って返済計画を話し合い、返済計画の見通しが立てば相談者に債務不存在の文書を送付し、個人信用情報の訂正手続を進めるということだった。

 その後、相談者が個人信用情報の訂正を確認し、B社から債務不存在を証明する文書が届いたため、相談終了とした。

*08年3月1日「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の施行に伴い、本人確認法は廃止された。本件は廃止前の事案である



問題点

 本件のように、別人が相談者になりすまして借金をし、相談者が請求を受けたというトラブルでは、貸金業者に契約書類や取引履歴、本人確認のために取得した公的身分証明書の写し等の開示を求めることが重要である。また、身分証明書の管理方法が適切であったかどうか、貸金業者の本人確認方法が適切なものであったか、等の点も確認すべきものと考えられる。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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