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[2011年7月26日:掲載]

契約時に虚偽の告知を勧め後に保険金の支払いを拒む保険会社

営業員の勧めに従い、契約時に虚偽の事実を告知して終身保険等の契約をしたところ、後になって保険金の支払いを拒まれた事例を紹介する。


相談内容

 十数年前、職場に生命保険会社(以下、保険会社)の営業員が訪れ、終身保険等への加入を勧誘された。持病があり保険に入れずにいると言うと、「当社には病気でも入れる保険がある」「契約手続きの際の問診や告知書にはすべて『いいえ』と答えればよい」「加入後2年たてば、告知義務違反があっても、保険会社がその事実を見つけられなかったということで保険金は支払われる」などと繰り返し言われ、そこまで言われるのであれば大丈夫だろうと思い契約することにした。

 問診を受けたときも告知書にすべて「いいえ」と答え、終身保険等の契約をした。営業員から、加入後2年たつまでは保険会社への請求を一切しないよう念を押されていたので、加入後2年たってから、持病について保険の特約に基づく入院・手術時の給付金を請求したところ、順調に支払われた。

 数年前、保険会社から保険金の不払いがないか調査する手紙が届き、自分の病状は高度障害保険金の支払い対象であると知った。医師の診断書を添えて保険金を請求したが、保険会社から、告知義務違反の可能性もあり支払えないと連絡が来た。

 しかし、最近になって書類を整理していたら告知書にすべて「いいえ」と答えるよう指示するメモが出てきた。虚偽の事実を告知したのは営業員に指示されたからであり、保険会社も営業員を通じて私の持病を知っていたはず。保険金の支払いを拒まれるのは納得できない。

(40歳代 男性 給与生活者)



結果概要

 相談を受けた国民生活センター(以下、当センター)では、相談者から詳しい事情を聞き取るとともに、保険証券、約款、「すべて『いいえ』で答えるように」という営業員のメモ書きの写し等を取り寄せた。その結果、次の事実が分かった。

  1. (1)相談者が加入した保険は、契約者であり被保険者でもある相談者の死亡時のほか、相談者が高度障害になった際にも保険金が支払われるものだった。
    また、相談者が持病の治療のため手術代や入院費を負担した場合、給付金が支払われる旨の特約が付されていた。
  2. (2)今回、相談者に保険金が支払われなかったのは、約款上、保険の責任期間の開始前に発症した疾病を原因とする高度障害は保険金の支払い対象外となっているためだと考えられる。他方、約款によれば、保険の責任期間が開始して2年経過した後は、告知義務違反により保険会社から契約を解除されることはない。

 当センターでは、相談者に対し、約款の規定に反して保険金を受け取ることは難しい旨を説明した。そのうえで、営業員の勧誘行為が保険業法違反となる(保険業法300条1項)可能性はある、もし勧誘方法に問題があったと保険会社が認めた場合は、契約時にさかのぼって相談者の告知内容を修正し、実際の病状に応じて保障内容、保険料等を改めるか、保険契約を取り消して支払い済みの保険料を返金するよう求めることが考えられる、と伝えた。

 相談者が契約を取り消したいと言うので、契約に至る経緯を詳しく書いた手紙で勧誘方法に問題があったと主張し、保険会社に契約の取消しを求めるよう助言した。

 当センターの助言を踏まえ、相談者が保険会社に手紙を送ったところ、約1カ月後、保険会社から保険料の返金に応じる旨の回答があった。また、相談者のもとに、支払い済み保険料の総額から相談者が過去に受領した給付金等を控除し、残額を返金する旨の確認書が届いたということだった。

 後日、保険会社から返金の理由についてどのような説明を受けたのかを相談者に問い合わせたところ、保険会社から明確な回答は得られなかったということだった。しかし、保険料は確かに相談者に返金されたというので、相談終了とした。



問題点

 当初、相談者は、保険金を受け取ることによる解決を希望していた。

 しかし、保険の責任期間の開始前に発症した疾病を原因とする高度障害について保険金を受け取れないのは、約款に基づく保険契約の公平の原則からすれば当然のことである。勧誘方法に問題があったとしても、約款の規定に反して保険金を受け取ることは困難と考えられる。そのため当センターでは、相談者に対し、契約の取消しを主張して保険料の返金を求める、という解決方法を助言した。

 他方、当センターでは、本件以外にも、保険会社が保険料の返金に応じたものの、その理由が明らかでないケースを複数件確認している。

 保険会社は、単に保険料を返金するだけでトラブルの解決を図ろうとせず、どのような理由で保険料の返金に応じることとしたのか、消費者に明確な説明をすることが望まれる。今後注視していきたい。




ここに掲載する相談事例は、当時の法令や社会状況に基づき、一つの参考例として掲載するものです。
同じような商品・サービスに関するトラブルであっても、個々の契約等の状況や問題発生の時期などが異なれば、解決内容も違ってきます。

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